▼ 世話になっているヒトに,実家で採れた山の幸を届けに行く。
そのヒトには,故あってここ数カ月の間,病院業務を手伝ってもらっている。
実は,寿退職して現在は子育て奮闘中な彼女。
それを,「すまないけど,少し頼めないか」と,無理言ってスクランブル発進してもらっている。
彼女の自宅に伺うのは,これが初めて。
休日の午前11:00は,届け物には最も当たり障りのない時間帯。
しかし,携帯に何度も連絡してみるが返事がない。
固定電話にかけてみてもダメ。
しょうがないので,近くに住んでいるという彼女のお母さんに電話してみる。
っが,こちらも連絡が取れない。
どーしようかと迷うが,思い立ってここまで来た以上はモノだけでも届けたい。
手掛かりは,いい加減に聞いておいた住所のみ。
目指す自宅近くにいることは分かるんだが,どの家だかわからない。
狭い路地をうろうろして,やっとそれらしい表札にたどり着く。
やはり,家はもぬけの殻だ。
置手紙を添えて,玄関先に届け物を置いておく。
ポカポカ陽気の休日の真っ昼間。
ちょっと近くまで・・・と,それぞれの時間を楽しんでいるのだろう。
◆ お世話になった近隣病院の関係の方のお通夜に出向く。
外勤で某病院にお邪魔している頃,いろいろ教えて頂いたヒトが亡くなった。
職種は違えど,仕事の仕方がスゴイ人なので学ぶべき点は多々あった。
外勤先が変って5-6年経つのだが,時節の挨拶やらでちょくちょく連絡をいただいていた。
最近何かの折に,ちょっと心臓を患って入院していると聞いていたが,まさか亡くなるとは・・・・・
おそらくはまだ50歳代,お別れを言うには少し早過ぎる。
クルマで斎場に向かったワケだが,それはそれはすごい人出だ。
弔問に訪れたクルマで,すでに駐車場が一杯。
斎場駐車場の入り口では,ガードマンのヒトが丁重に入場を断っている。
加えて,この斎場は住宅地に位置しており,近くに駐車スペースは無い。
あちこちで違法駐車に目を光らせるガードマンが張り付いている。
しばらくうろうろするが,弔問客は増える一方だ。
結局,斎場に向って自分の気持ちを伝えるのみで退散する。
日曜夕の通夜式。
告別式は月曜日正午からと言われれば,みな明日は行けないから・・・となるんだろう。
● なんかツイテない。。。。。
自分の中でしっかり挨拶が出来てれば,それはそれでいいんだろうけど。
掛け違ったボタンのように,出口につながっていない入り口に入ってしまったように。
いっそ,そんな過程を楽しんじゃえば・・・っていう余裕も元気もわいてこない。
寒いんだか暖かくなったんだか,もう4月末なんだけどまだ春と言うんだろうか,分からない。
そんなちょっと戸惑う季節の,ウィークエンド・アフェア。
最近の昼食メニューにおけるマイ・トレンドはコロッケもの。
病院内の売店には,
おにぎり・菓子パン・寿司・丼ものなどいろいろある。
そんな中で,
見かけると自然についつい手を伸ばすのが,
コロッケものだ。
売店に入ると,
まずはサンドイッチ・コーナーへ直行する。
目指すはコロッケ・サンドだ。
耳を落とした食パンに,
ソースがかかったコロッケとレタスが挟んである。
コロッケの中身はジャガイモ主体で,
トウモロコシやらひき肉やらカボチャやら余計な物は入っていない。
たったそれだけ。
いたってシンプル。
けれど,
コロッケだけあって,
ボリュームがある。
値段は210円で,
そこそこ安い。
それが一番のお気に入りだ。
お昼時。
いつものように,
コロッケサンドをゲットしに売店へ行く。
すると,
向かう途中で某外科の先輩先生と一緒になる。
「あっ,お疲れ様です」
「おっ,シノ君か」
先輩先生は年齢で言えば二つ違う。
この先生は,
「浮浪雲」のように飄々として懐が深い。
ダンディーで女性にモテる。
昔から陰ながら尊敬し憧れてもいる先生だ。
そんな先生と世間話をしながら売店に入っていくと,
そこは昼食を調達するヒトで盛況だ。
いつものように,
一目散にサンドイッチ・コーナーへ向かう。
すると,
今日は自分のお目当てであるコロッケサンドが一つ残っている。
遅い時間帯では,
売り切れることが多い我がコロッケちゃん。
今日のところは,
なんとか間にあったようだ。
ラッキー!と,
我が親愛なるコロッケちゃんに手を伸ばす。
すると,
いつの間にやら隣にいる先輩先生が「あっ!」と言う。
イヤ,
実際にはそんなこと言わなかったかもしれんが,
そう聞こえたような気がした。
っん?
何かと思って隣に視線を転じると,
自分が手を伸ばしたところのコロッケちゃんを凝視する先輩が居る。
ひょっとして先輩もコロッケを?
「あ~~,ええよええよ」
先輩はニヤニヤしながらも,
先に取られた・・・という落胆がありありだ。
マズイ・・・・・
これって,
先輩の欲するものを後輩が先取りしてしまった?
どー考えても,
自分が手を引くべきだ。
「先輩もコロッケですか?」
「っん,まーね」
「じゃあ,どーぞ」
「そーか,悪りーな」
こんな感じで,
いちおう長幼の序の筋を通す。
そうして,
自分はスナックパン・コーナーの「コロッケパン」に向かう。
こちらはコロッケサンドに比べて,
サイズがやや小さいながらも,
味はそこそこやねんな・・・
四十代の年齢のヒトには,
コロッケものが人気あるんだろうか?
けっこう気になる・・・・・
病院内の売店には,
おにぎり・菓子パン・寿司・丼ものなどいろいろある。
そんな中で,
見かけると自然についつい手を伸ばすのが,
コロッケものだ。
売店に入ると,
まずはサンドイッチ・コーナーへ直行する。
目指すはコロッケ・サンドだ。
耳を落とした食パンに,
ソースがかかったコロッケとレタスが挟んである。
コロッケの中身はジャガイモ主体で,
トウモロコシやらひき肉やらカボチャやら余計な物は入っていない。
たったそれだけ。
いたってシンプル。
けれど,
コロッケだけあって,
ボリュームがある。
値段は210円で,
そこそこ安い。
それが一番のお気に入りだ。
お昼時。
いつものように,
コロッケサンドをゲットしに売店へ行く。
すると,
向かう途中で某外科の先輩先生と一緒になる。
「あっ,お疲れ様です」
「おっ,シノ君か」
先輩先生は年齢で言えば二つ違う。
この先生は,
「浮浪雲」のように飄々として懐が深い。
ダンディーで女性にモテる。
昔から陰ながら尊敬し憧れてもいる先生だ。
そんな先生と世間話をしながら売店に入っていくと,
そこは昼食を調達するヒトで盛況だ。
いつものように,
一目散にサンドイッチ・コーナーへ向かう。
すると,
今日は自分のお目当てであるコロッケサンドが一つ残っている。
遅い時間帯では,
売り切れることが多い我がコロッケちゃん。
今日のところは,
なんとか間にあったようだ。
ラッキー!と,
我が親愛なるコロッケちゃんに手を伸ばす。
すると,
いつの間にやら隣にいる先輩先生が「あっ!」と言う。
イヤ,
実際にはそんなこと言わなかったかもしれんが,
そう聞こえたような気がした。
っん?
何かと思って隣に視線を転じると,
自分が手を伸ばしたところのコロッケちゃんを凝視する先輩が居る。
ひょっとして先輩もコロッケを?
「あ~~,ええよええよ」
先輩はニヤニヤしながらも,
先に取られた・・・という落胆がありありだ。
マズイ・・・・・
これって,
先輩の欲するものを後輩が先取りしてしまった?
どー考えても,
自分が手を引くべきだ。
「先輩もコロッケですか?」
「っん,まーね」
「じゃあ,どーぞ」
「そーか,悪りーな」
こんな感じで,
いちおう長幼の序の筋を通す。
そうして,
自分はスナックパン・コーナーの「コロッケパン」に向かう。
こちらはコロッケサンドに比べて,
サイズがやや小さいながらも,
味はそこそこやねんな・・・
四十代の年齢のヒトには,
コロッケものが人気あるんだろうか?
けっこう気になる・・・・・
メガネのフレームが,
最近しっくりこない。
理由は分かっている。
鼻当ての部分が歪んでしまったためだ。
アホな話だが,
先日の勉強会で顕微鏡を覗いていたら,
居眠りをした。
いつものことだがなんだか意識が薄らいできて,
いつものことだがコックリとなる。
その勢いで,
メガネを思いっきり接眼レンズにぶつけてしまった。
その後からどーも具合が悪い。
いつものようにメガネをかけてるつもりだが,
メガネが少し斜めになっている気がする。
鼻筋に対して垂直になるようにかけ直すと,
今度はピントがずれてる様な気がする。
いちおう「見て診る」ことが仕事ゆえ,
こういったことは些細でも気になる。
ってことで,
新調のため,
近くのメガネ屋へ出向くことにする。
出向いたメガネ屋は,
いわゆる低価格店。
フレームとレンズの一式で3000円,
もう1セットを買うと1500円。
デフレスパイラルの極致だ。
ブランドものではないし,
品質や耐久性は未知数だが,
品揃えはそこそこ。
フレーム選びのため,
同行してくれたシノ妻も,
自分でいろんなフレームを試している。
(ちなみに彼女の視力は1.2でメガネ無し)
そうして受付する段階になって,
あたし最近どーも小さな字が見にくくって・・・
と言いだす。
オイオイ・・・
ここにくるまで,
そんなこと一言も言ってなかったやん?
たぶん,
価格に眼が眩んで,
シノ妻も一つ欲しくなったに違いない。
まるでミイラ取りがミイラになるように,
メガネ屋同行者がメガネ愛好者になり,
デフレスパイラルに微々たる加担をする。
帰り際。
そーいえば・・・
とシノ妻が言いだす。
長男いっ君(新中二)が,
近頃,
黒板の字が見にくいと言う。
今のタイミングで店員さんにうまいこと言って,
ついでにいっ君分も買ったとしたならば,
1500円分で済むかもしれん。
デフレスパイラルに完全に飲み込まれたシノ妻は,
いっ君に今すぐメガネ屋に来るように電話をする。
メンドクサそーに電話に出たいっ君は,
んなもん,いらん!
と親の奨めを聞く耳は無い。
視力が悪ければ,
授業に差し障るから,
今すぐに来い!
今なら安いから・・・などとは言わない。
しかし,
いっ君が言うには,
この新学期からは,
座る席が教室中央の一番前と決まったそうだ。
新クラスでは,
素行が悪いと評判の生徒への対策は,
万全なようだ。
メガネは当分必要ないかもしれん。
最近しっくりこない。
理由は分かっている。
鼻当ての部分が歪んでしまったためだ。
アホな話だが,
先日の勉強会で顕微鏡を覗いていたら,
居眠りをした。
いつものことだがなんだか意識が薄らいできて,
いつものことだがコックリとなる。
その勢いで,
メガネを思いっきり接眼レンズにぶつけてしまった。
その後からどーも具合が悪い。
いつものようにメガネをかけてるつもりだが,
メガネが少し斜めになっている気がする。
鼻筋に対して垂直になるようにかけ直すと,
今度はピントがずれてる様な気がする。
いちおう「見て診る」ことが仕事ゆえ,
こういったことは些細でも気になる。
ってことで,
新調のため,
近くのメガネ屋へ出向くことにする。
出向いたメガネ屋は,
いわゆる低価格店。
フレームとレンズの一式で3000円,
もう1セットを買うと1500円。
デフレスパイラルの極致だ。
ブランドものではないし,
品質や耐久性は未知数だが,
品揃えはそこそこ。
フレーム選びのため,
同行してくれたシノ妻も,
自分でいろんなフレームを試している。
(ちなみに彼女の視力は1.2でメガネ無し)
そうして受付する段階になって,
あたし最近どーも小さな字が見にくくって・・・
と言いだす。
オイオイ・・・
ここにくるまで,
そんなこと一言も言ってなかったやん?
たぶん,
価格に眼が眩んで,
シノ妻も一つ欲しくなったに違いない。
まるでミイラ取りがミイラになるように,
メガネ屋同行者がメガネ愛好者になり,
デフレスパイラルに微々たる加担をする。
帰り際。
そーいえば・・・
とシノ妻が言いだす。
長男いっ君(新中二)が,
近頃,
黒板の字が見にくいと言う。
今のタイミングで店員さんにうまいこと言って,
ついでにいっ君分も買ったとしたならば,
1500円分で済むかもしれん。
デフレスパイラルに完全に飲み込まれたシノ妻は,
いっ君に今すぐメガネ屋に来るように電話をする。
メンドクサそーに電話に出たいっ君は,
んなもん,いらん!
と親の奨めを聞く耳は無い。
視力が悪ければ,
授業に差し障るから,
今すぐに来い!
今なら安いから・・・などとは言わない。
しかし,
いっ君が言うには,
この新学期からは,
座る席が教室中央の一番前と決まったそうだ。
新クラスでは,
素行が悪いと評判の生徒への対策は,
万全なようだ。
メガネは当分必要ないかもしれん。
先日はグループ学習班のチューター担当で,医学部4年生の相手をした。
まずは担当グループ10名の出席を取るんだが,顔と名前が一致しない。
学生なんて全部で600人くらい居るような大所帯なので,ひとりひとりまで憶わらないのは無理からぬところだ。
っで,出席簿にある顔写真と照らし合わせるんだが,この証明写真も入学時のモノらしい。
4年間も学生をしてれば,パッと見の姿形はかなり変わっている。
変わりようがおもしろいので,コメントをしながら出席を取る。
「○○クン,メガネが変ってる」
「△△クン,髪型が変ってる」
「□□クン,髪が変色し髭がある」
・・・
そのグループには,紅一点,女性がいた。
証明写真の彼女は,セーラー服姿の清楚な感じ。
長い髪は,後ろに無造作に束ねられている。
丸っこくあらわになった小柄な顔の輪郭。
それを,これまた丸型の銀縁メガネが強調している。
その写真姿は,典型的なるガリ勉女子高生だ。
それが今や,殻を破り出たアゲハ蝶の如く,粉飾された女になっている。
その髪はショートでふんわりと流れている。
コンタクト(だと思う)に変えた目元は,二重がきりっと映えている。
若葉が混じったフラワーデザインのブラウスと,ロングのスカート。
その胸元を,貝がらが糸を伝って登って行くようなネックレスが飾っている。
写真から4年後の彼女は,まるで一青窈だ (あんま似てへんかもしれんけど,イメージやんな,イメージ!)。
このガリ勉→一青窈への進化は,そりゃ,よ~~く見れば分かるかもしれん。
しかし,ちらりと彼女を見ても全く分からなかった。
どっかのおねーさんが間違って来てしまったのかと思ったほどだ。
敢えて探すと,パッチリした目はどことなく似てるかな・・・程度。
もう一度写真を見て,また彼女を見る。
似てるけど,よくぞここまで変わるもんだ。
しばし自分と彼女の二人は見つめ合う。
約3秒。
「あんた,ホント同一人物?」
「ちょっとー,それって失礼ちゃう?」
「写真とは,メッチャ変わってるやん!」
「それ言ったら,ホンマ殺すでぇー!」
そんな無言の会話が,教官と女学生の間で交わされる。
結局,理性がコメントを封じ込め,彼女に対してはノーコメントな出席取りになってしまった。
なんだか後味が悪い・・・・・
「××さん,きれいに変わってる」とコメントしてやればよかったのか?
まだまだウブかもしれん,自分って。
まずは担当グループ10名の出席を取るんだが,顔と名前が一致しない。
学生なんて全部で600人くらい居るような大所帯なので,ひとりひとりまで憶わらないのは無理からぬところだ。
っで,出席簿にある顔写真と照らし合わせるんだが,この証明写真も入学時のモノらしい。
4年間も学生をしてれば,パッと見の姿形はかなり変わっている。
変わりようがおもしろいので,コメントをしながら出席を取る。
「○○クン,メガネが変ってる」
「△△クン,髪型が変ってる」
「□□クン,髪が変色し髭がある」
・・・
そのグループには,紅一点,女性がいた。
証明写真の彼女は,セーラー服姿の清楚な感じ。
長い髪は,後ろに無造作に束ねられている。
丸っこくあらわになった小柄な顔の輪郭。
それを,これまた丸型の銀縁メガネが強調している。
その写真姿は,典型的なるガリ勉女子高生だ。
それが今や,殻を破り出たアゲハ蝶の如く,粉飾された女になっている。
その髪はショートでふんわりと流れている。
コンタクト(だと思う)に変えた目元は,二重がきりっと映えている。
若葉が混じったフラワーデザインのブラウスと,ロングのスカート。
その胸元を,貝がらが糸を伝って登って行くようなネックレスが飾っている。
写真から4年後の彼女は,まるで一青窈だ (あんま似てへんかもしれんけど,イメージやんな,イメージ!)。
このガリ勉→一青窈への進化は,そりゃ,よ~~く見れば分かるかもしれん。
しかし,ちらりと彼女を見ても全く分からなかった。
どっかのおねーさんが間違って来てしまったのかと思ったほどだ。
敢えて探すと,パッチリした目はどことなく似てるかな・・・程度。
もう一度写真を見て,また彼女を見る。
似てるけど,よくぞここまで変わるもんだ。
しばし自分と彼女の二人は見つめ合う。
約3秒。
「あんた,ホント同一人物?」
「ちょっとー,それって失礼ちゃう?」
「写真とは,メッチャ変わってるやん!」
「それ言ったら,ホンマ殺すでぇー!」
そんな無言の会話が,教官と女学生の間で交わされる。
結局,理性がコメントを封じ込め,彼女に対してはノーコメントな出席取りになってしまった。
なんだか後味が悪い・・・・・
「××さん,きれいに変わってる」とコメントしてやればよかったのか?
まだまだウブかもしれん,自分って。
カガワ君は病理講座大学院1年生,
ピッカピカだ。
この4月から研究をしながら,
病理部に出入りすることになる。
実は,
カガワという名の病理医志望のヤツがいるという噂は,
以前から耳にしていた。
しかし,
ギリギリ顔と名前が一致する程度で,
自分とは直接の付き合いはない。
そんなほとんど初対面な状態で,
この4月から病理研修が始まることになる。
一体,どんなヤツなんだろう・・・・・
研修初日。
「シノ先生,カガワ君を紹介に来ました」
声の方に振り向くと,
教授先生の白衣に隠れるようにひっそりと佇む,
小柄でとんがり頭のヤサ男。
パッと見はスネ夫か?
イヤ,
スネ夫は金持ちだが,
カガワ君はと言えばちょっとみすぼらしい感じがする。
それに,
どっちかと言えば垂れ目だし,
とがった髪型もどことなくボサッとしている。
さしづめ,
リーマンショックのあおりで家業が倒産し,
すべての財産を失って世間の厳しさを知り,
これまでの数々なるイジワルな行為を悔い改め,
その性格が信じられないことに優しくなってしまったスネ夫
・・・・・ってところか。
「カガワです,いろいろ教えてください,よろしくお願いします」
優しい性格に加えて,
親の七光りや現金を振りかざすのではなく,
挨拶とか態度の良さで職場に溶け込もうとするスネ夫クン。
「研修として,彼にも病理標本を見せてやってください」
さっそく教授先生から申し出がある。
「ハイ,分かりました」
こちらとしては,もちろん断る理由は無い。
「カガワ君,もし時間があるなら,早速やってみる?」と聞いてみる。
「ハイ,ぜひお願いします」
優しい性格,
挨拶と上下関係への配慮,
それに真っ当なる意欲に満ち溢れるスネ夫。
スネ夫の皮を被った常識人。
適当に病理部の案内やら仕事の分担を確認した後に,
さっそくカガワ君に「切り出し」をしてもらう。
「切り出し」とは,
手術で取り出された病変を肉眼観察の後,
ナイフで切って標本にする部分を選ぶ,
という作業を指す。
カガワ君担当の記念すべき初症例は胃癌。
板状に太まった胃で,
病変の境界が分かりにくい。
いわゆるスキルスタイプで,
タフな症例だ。
ナイフを入れる力の入れ具合から角度・深さ,
それに場所の選択に至るまで,
慎重の上にも慎重を期するカガワ君。
経験がないという理由以前に,
検体を切るという,
まだ不慣れな行為に緊張しているのだろう。
加えて,
あーしたらこーなるし,
こーしたらそーなるけど,
そーしてもあーなって,
あーなったらどーなる
・・・・・っと,
いろいろ考えすぎて前に進まない。
これじゃ心配症なのび太だ。
取りだされたリンパ節もたくさん提出されている。
これもひとつひとつ標本にするために,
それぞれをナイフで半割しなければならない。
1~2ミリの小さなモノから,
1センチ程のモノまで様々なるリンパ節を,
それはそれはご丁寧に扱うのび太クン。
小さすぎるリンパ節は半割しなくてもいいと言ってやるが,
のび太クンはどれくらいから半割しなくてよいのかが分からない。
「これくらいは切りましょうか?」
切るべきモノを切ってないという事態を恐れるのび太クン。
「まぁそれくらいは切らなくてええよ」
「じゃあ,このリンパ節は?」
「そんなことより,番号をしっかり確認して!間違えてるやん」
「あっハイ,すいません」
些事にこだわるあまり,
木を見て森を見てないのび太クン。
スネ夫の姿形を持ち,
のび太の頼りなさと初々しさを備えるクソ真面目男。
病理なんて選ぶようなヤツは変わりモンに決まっている・・・
と思っているが,
彼の場合は意外に奇特でマジメなようだ。
これからの活躍が楽しみだ。
ピッカピカだ。
この4月から研究をしながら,
病理部に出入りすることになる。
実は,
カガワという名の病理医志望のヤツがいるという噂は,
以前から耳にしていた。
しかし,
ギリギリ顔と名前が一致する程度で,
自分とは直接の付き合いはない。
そんなほとんど初対面な状態で,
この4月から病理研修が始まることになる。
一体,どんなヤツなんだろう・・・・・
研修初日。
「シノ先生,カガワ君を紹介に来ました」
声の方に振り向くと,
教授先生の白衣に隠れるようにひっそりと佇む,
小柄でとんがり頭のヤサ男。
パッと見はスネ夫か?
イヤ,
スネ夫は金持ちだが,
カガワ君はと言えばちょっとみすぼらしい感じがする。
それに,
どっちかと言えば垂れ目だし,
とがった髪型もどことなくボサッとしている。
さしづめ,
リーマンショックのあおりで家業が倒産し,
すべての財産を失って世間の厳しさを知り,
これまでの数々なるイジワルな行為を悔い改め,
その性格が信じられないことに優しくなってしまったスネ夫
・・・・・ってところか。
「カガワです,いろいろ教えてください,よろしくお願いします」
優しい性格に加えて,
親の七光りや現金を振りかざすのではなく,
挨拶とか態度の良さで職場に溶け込もうとするスネ夫クン。
「研修として,彼にも病理標本を見せてやってください」
さっそく教授先生から申し出がある。
「ハイ,分かりました」
こちらとしては,もちろん断る理由は無い。
「カガワ君,もし時間があるなら,早速やってみる?」と聞いてみる。
「ハイ,ぜひお願いします」
優しい性格,
挨拶と上下関係への配慮,
それに真っ当なる意欲に満ち溢れるスネ夫。
スネ夫の皮を被った常識人。
適当に病理部の案内やら仕事の分担を確認した後に,
さっそくカガワ君に「切り出し」をしてもらう。
「切り出し」とは,
手術で取り出された病変を肉眼観察の後,
ナイフで切って標本にする部分を選ぶ,
という作業を指す。
カガワ君担当の記念すべき初症例は胃癌。
板状に太まった胃で,
病変の境界が分かりにくい。
いわゆるスキルスタイプで,
タフな症例だ。
ナイフを入れる力の入れ具合から角度・深さ,
それに場所の選択に至るまで,
慎重の上にも慎重を期するカガワ君。
経験がないという理由以前に,
検体を切るという,
まだ不慣れな行為に緊張しているのだろう。
加えて,
あーしたらこーなるし,
こーしたらそーなるけど,
そーしてもあーなって,
あーなったらどーなる
・・・・・っと,
いろいろ考えすぎて前に進まない。
これじゃ心配症なのび太だ。
取りだされたリンパ節もたくさん提出されている。
これもひとつひとつ標本にするために,
それぞれをナイフで半割しなければならない。
1~2ミリの小さなモノから,
1センチ程のモノまで様々なるリンパ節を,
それはそれはご丁寧に扱うのび太クン。
小さすぎるリンパ節は半割しなくてもいいと言ってやるが,
のび太クンはどれくらいから半割しなくてよいのかが分からない。
「これくらいは切りましょうか?」
切るべきモノを切ってないという事態を恐れるのび太クン。
「まぁそれくらいは切らなくてええよ」
「じゃあ,このリンパ節は?」
「そんなことより,番号をしっかり確認して!間違えてるやん」
「あっハイ,すいません」
些事にこだわるあまり,
木を見て森を見てないのび太クン。
スネ夫の姿形を持ち,
のび太の頼りなさと初々しさを備えるクソ真面目男。
病理なんて選ぶようなヤツは変わりモンに決まっている・・・
と思っているが,
彼の場合は意外に奇特でマジメなようだ。
これからの活躍が楽しみだ。