名古屋から木曽路を上る。
カタンカタンと単調に線路を鳴らす電車が、右へ左へと軽く蛇行しはじめる。
見下ろす木曽の水面は、深みを湛える緑から、水底がきれいな透明へと転じていく。
左右にせり立つ山なみが、だんだん近づいてきて、木曽の流れを細めていく。
その山あいを削りこむように、川と付かず離れず、もつれ合ってはほぐれつつ、電車は進んでいく。
いくつかトンネルを抜け切ると、視界がばっと広がる。
山なみは途切れ、だだっ広い盆地に辿りつく。
まわりを遠く囲むアルプスが、これまで住んでいた世界とのあいだを遮っている。
川から解き放たれた線路は、こんどは盆地を貫くようにまっすぐ進む。
見なれぬ果樹が、広がる畑に植わっているが、ブドウだろうか。
" まつもと~~~ まつもと~~~ "
電車から降りたつとすぐに、この出迎えが聞こえる。
昔から続くというこの声に、なにやらノスタルジックになる。
" まつもと~~~ まつもと~~~ "
その声を聞いた刹那、思いをあらたにしたヒトが、いったいどれくらい居ることだろう。
思い出したり、ホッとしたり、立ち切ったり、奮い立ったり・・・・・・
そこは信州・まつもとの駅。