いっ君の約束 | 『しのゼミ』

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日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

長男小6のいっ君が手に負えない。

明日の授業で使う写真を撮ったらしいが,

その写真の現像が間に合わないとわかって周囲に当り散らしている。

授業で近くの城跡の紹介当番に当たっているいっ君。

友人と二人してその城跡の取材をして,写真を撮ってきた。

その写真が明日の授業で必要なんだが,そんな事情を言い出すのが寸前の前日真夜中。

しかも写真はデジカメではなくフィルムカメラで撮ってある。

もうとっくに近くの写真屋は閉まっているし,かと言ってもう一度写真取りに行こうにも城跡は暗闇の中。



いっ君の要求は更にエスカレートする。

「知り合いの写真屋に電話して,すぐに写真を現像してもらえ!」とか,

「24時間オープンのフィルム現像屋をインターネットで調べろ!」とか。

そんないっ君の不遜な態度に腹を立てた父母による臨時緊急会議が開かれ,自業自得を知らしめることと,自分で解決させることを申し合わせた。

っで,「急にそんな大事なこと言われても知らんわ,自分でなんとかしなさい」と母。

「現像お願いって頼んだのにやってないお母さんのせいや」

「そんなに大事だったらね,いっ君,前もって事情をヒトに説明したりして,自分で責任持って確認するべきやわ」

「写真の現像お願いねって絶対言ったし!」

「いつまでに必要ってことも言ったの?なんでもかんでもヒトのせいにして・・・」

「そんなもん知るかクソババア」

普段は従順な母の諭しにも耳を貸さない。



「写真が間に合わなかったって,先生に正直に言って叱られろ!」と父の出番。

「うるさい,黙れ!」

「あのないっ君,アメリカの初代大統領のワシントンが子供の頃・・・」

「そんなもん知らんわクソジジイ」

歴史引用で煙に巻く父のお決まりの作戦にもまったく耳を貸さない。



「いっ君,写真はもうあきらめろ」

「お父さんは口出しするなって」

「しょうがないので,代わりに絵を描いたらどうや?」

「そんな時間ないし,風景なんて忘れとるし・・・・・絵なんか描かん」

父のナイスアイデアもダメ出し。



しかしそもそも写真がそんなに必要なモノか?

旧跡紹介なら写真なしでもええんちゃう?

父のブログも写真無し文章だけの無味乾燥なものやけど・・・ってこれは関係ないか。

とにかく理想がそのまま現実になるのはまれで,予定は狂ってくるのが世の中。

写真なしでなんとかやってみる「妥協」を教えるのも教育かもしれん。

あるいは、授業で先生に叱られるのがそんなにイヤなのか?

素直に否を認める正直さを教えるのが教育ではないか?

あの正直なワシントンが切った木って桜らしいけど・・・ってこれも関係ない。

とにかく尋常ではないいっ君の写真へのこだわりよう。

じゃあもう知らんわ・・・って突き放すと,

自室にこもって泣きながらフテ寝してしまういっ君。



それからしばらくして。

フテ寝するいっ君から母が聞いた話によると,

実は写真を一緒に撮りに行った友人に約束したんだそうだ。

明日の授業に間に合うように写真を現像してくると。

その約束が果たせないと,明日の授業でその友人に迷惑がかかると。

だからどうしても写真を現像する必要があるんだと。



だったら尚更大事なもんはしっかり責任もってやらなアカンと諭すも,

こだわりの理由がわかってホロッてくる。

なんや,ええとこあるやん・・・・・

「走れメロス」やなぁ・・・・・

子供の話はしっかり聞いてあげることが基本か。