「シノ先生・・・・・少し話があるんですが・・・・・」
研究助手のZさんが夕方に突然ひょっこり現れた.
Zさんの顔を伺うと,作り笑いはこわばり,目は笑っていない.
なんか深刻なことがありそうだ.
研究助手Zさんは,主に研究方面の仕事を手伝ってもらうために,数年前から働いてもらっている.
仕事内容が研究なため,医学部病理講座と病院病理を行ったり来たりしてもらっている.
研究施設が病理講座にあり,研究を指揮する人(=シノ)が病院にいるので,こういうことが起こる.
医学部棟と病院は少し離れているため,行き来をするZさんにはいつも済まなく思う.
大学教官である以上,教育・研究・診療のどれもが大切である.
しかし,自分の場合は,病院病理常駐ということもあって「教育・診療」に多くの情熱を注いでいる.
で,「研究」に対しては,残りの燃えカスのようなものでなんとかお茶を濁しているというか,なんとか持っているっていうのが現状か.
したがって,どうしても研究担当のZさんに細かい目が行き届かなくって,
時には指示するのさえ忘れてほったらかしになってしまい,
「今,何をしてもらってるんだっけ?」という逆に質問が飛んでしまうこともあり,
業を煮やしたZさんの「しっかり指示ください!」という直訴も,
「ちょっと待って,あとでね」とその場はかわされて,
果てにはその直訴さえも忘れられてしまい,
うっ憤が弾けんばかりに溜まってしまう始末.
「わたし,何をするためにここにお世話になってるのかわかりません」
こんな感じで,これまでに2回ほどZさんに激しく叱られた.
自分よりも年上のZさんに言われると,厳しい姉に叱られているような気分になる.
叱られた直後は素直に反省して,実験の指示をあれやこれや山積みにするのだが,
それも数カ月すると実験し終えてしまって,また元の木阿弥.
こんなんじゃあイカンなぁっと思いつつ,なかなか治らない自分.
今回も案の定,「シノ先生の指示がないために・・・・・」とか「〇〇染色にようやく慣れてきたのに・・・・・」とか「病理講座で気を使ってやっていて・・・・・」とか,数か月で溜め込んだものを大放出.
つらい思いばかりさせてしまってスマン・・・・・,素直に大反省する.
それならばと,しなければならぬ実験の指示をあれこれ出すけれども,「これくらいで3カ月くらい持つかな」とちらっと思ってしまう.
まったくもって懲りない自分.