MK←この意味分かる? | 『しのゼミ』

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日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

今日のポリクリ(医学生実習)での一コマ.


シノ:・・・じゃあ,今日はMKの症例を実際に顕微鏡を使って見てもらうことにします.

学生一同:・・・???・・・

シノ:んっ?・・・なんか,わからんか?.

某学生:・・・ええと,MKがなんかわからんっす.

シノ:えっ?MKって聞いたことないの?.

学生一同:ハイ

シノ:ほんまかいな・・・・・?う~ん,まいったな・・・.


MKとは胃がんの略語である.

いわゆる医療従事者の間だけに通じる「隠語」と言ったらいいか.

ドイツ語で胃は「マーゲン Magen」で,がんは「クレブス Krebs」,

よってMKとなる.

ちなみに有名どころを列挙すると,LKが肺がん,PKが膵がん,MMKが乳がんなど.

まだ学生とは言え,さすがにMKくらいは知っていると思ったが.

こういう言葉は,講義や実習の合間に,教官の「ネタ」というか「世間話」として聞く機会が多いように思う.

少なくとも自分の学生時代はそうであった.

しかし,今時の学生はこんな与太話もろくに教官から聞かされていないと見える.

それだけ,現状の教官には学生に対する余裕というか遊びみたいなものが足りなくなっているのかもしれん.



こんな医療従事者だけに通じる言葉ならいくらでもあるが,思い出がある言葉として「ハルン」がある.

思い返せば学生時代のこと.

自宅近くで開業されている先生のところへ,夏休みに「学生実習」と称して勉強しに行っていた.

実際には「診断」や「治療」はできないので,検査のお手伝い(例えば心電図をとる・尿検査をするなど)をしながら,心電図やX線画像の典型例や希少例を見せてもらったりしていた.

開業医さんといってもけっこうはやっていて,午前中でおそらく50人近くの外来患者さんがみえていたと思われる.

確か実習に伺っていた時がちょうど検診の期間に重なっていたため,余計忙しかったのかもしれない.

よって,外来の舞台裏もけっこうてんやわんやであり,二人いる看護婦さんのうち一人は先生についていたり検査を行ったり患者さんを呼び出したりカルテを運んだりしていて,もう一人は指示のあった注射を打ったり,点滴をしたり,心電図をとったりで・・・

まさに猫の手も借りたい状態だった.

そんな中に「実習でお邪魔します」とノコノコやって来た医学生.

まさに「飛んで火に入る・・・」である.

実習一日目から,「シノ君,心電図お願いね」と言われてそのやり方を教えてもらい,練習無しのすぐに本番である.

まぁそんなに難しくないので,患者さんに迷惑をかけることはなかったが.

その次に看護婦さんに言われたのが「シノ君,ハルンお願いね」であった.


・・・ハルって・・・春?・・・でも今は夏・・・

・・・ハルって・・・患者さんの名前で「ハルさん」?・・・でも該当者おらず・・・

・・・ハルって・・・貼る?・・・湿布を貼るサービスかな?・・・


でも湿布もなければ「ハル」という名の患者さんもおらず,ただ尿検査のカップが置いてあるのみである.

まったくわからんわ~・・・


「・・・すいませんが看護婦さん,ハルってなんでしょう?」

「おしっこの検査のことよ.そこのスティックを尿カップに入れて,色の変わりを見といてね」

「ハルって,おしっこなんですか?ボクはまた,春には梅が咲くので,梅毒の検査でもするのかと・・・」

「難しいこと言ってないで,早く検査をやったやった・・・あ~忙し」


それにしても,やっぱ教える側には余裕や遊びがないのは,今も昔も変わらんかもしれん.

ちなみにハルンとはドイツ語で「Harn 尿」のこと.