「はぁ~腹へった~・・・」
いっ君から一日に何度この言葉を聞くことだろう.
小5で育ち盛り真っ最中!の長男いっ君.
近頃は,身長が伸びること竹の子の如し,体重が増えること雪だるまの如しである.
早々とおかあさんを抜き去って,そろそろ父親に迫る勢いである.
そのための原料というか栄養源というか,日々の食事量が尋常ではない.とにかく食べるわ食べるわ.
いつも白御飯大盛りのおかわりは当たり前.
しかもよく見ていると,ほとんどモグモグモグと噛んでいない.
だいたい5~6回ムシャムシャとしたかと思うと,すぐにゴックンである.
ヘタに回転寿司など行こうものなら,ハイパー状態になってしまい,平気で20皿程度はぺろりである.
学校の給食では,いつも一番早く食べて,たくさんおかわりをするのがどうも自慢らしい.
こんなんじゃ,家でどういう食生活をさせてるんだ?と,親としての品格を疑われかねぬ.
そこで,これまでずっと温めてきた秘密計画,題して「いっ君のムチャ食い抑制計画」を実行に移すことにした.
その内容としては,科学的根拠に基づいて,「あんまりムチャ食いするとマズイんだなぁ」といっ君に自覚させることを目標にする.
具体的には,血液検査をしてもらって,たとえば「中性脂肪」が高くって高脂血症となれば,いやが上にも「これじゃあイカン」と思うだろう.
さっそく近所でクリニックを開業中の同級生ランに相談して,「コレステロール」「中性脂肪」「HDLコレステロール」を計ってもらうことにした.
採血の日.
「いっ君,血の検査で異常が出たらどうする?」
「う~ん,わからん」
「小5で異常なら,まちがいなく早死にするぞ~」
「そんなん,わからんやん」
「お父さんは医者やからわかる!」
「うそつけ」
「まぁ,ご飯のおかわりを一回だけにすれば助かるかもな」
「ホントかよ」
「とにかく,血の検査が異常だったら,食べる量を減らすこと!.わかった?」
「はいはい・・・・・でも,もしどれもが正常の数字だったら・・・・・」
「だったら,なに?」
「・・・ゲーム買ってくれ」
「なんでゲームがでてくるんじゃあ~アホッ」
「血を取るのってすごく痛いから,それくらいしてくれてもええやん」
「・・・まぁ,わかったわかった.早くご飯食べて,すぐにクリニックへ行こ!」
・・・・・ふふふははははははっ・・・・・じつはここに本計画の最も重要なキーポイントがある.
一般に「中性脂肪」は食事後には高くなって異常値を示す.
したがって,中性脂肪を正確に計ろうとする時は,絶食したうえで計るのが原則である.
今回のいっ君には,しっかりと食事を食べさせる.
そうすれば自然の摂理として「中性脂肪」が少し高値になる.
そのあたかも異常値に見える高値を見たいっ君は,「こりゃイカン」というふうになって・・・・・
ふふふははははははっ・・・・・
完璧すぎる計画!
クリニックで採血してもらって数日後.
ラン先生からいっ君の血液検査の結果を知らせるメールが来た.
さ~てその結果は・・・・・・・・
どれどれ・・・・・・・・
コレステロール:正常
中性脂肪:正常
HDLコレステロール:正常
なっ・・・なんで正常やねん?
うっそ~・・・くっそ~・・・
そんなに正確な数字ださなくっても,このケースはちょっとくらい増やしてくれてもいいのに.
さてさて,どうやってゲーム買うとの約束をごまかそうか?
ダメ親の悩みは尽きぬ.