「天道は漸を以て運り,人事は漸を以て変ず.必至の勢は,之を却けて遠ざからしむる能わず,又,之を促して速かならしむる能わず.」
『天然自然の道はゆるやかに運り動き,人間界の現象もゆるやかに変化するものである.しかし,ここには成るべくして成る必至の勢いがあり,この勢いはさけようとして遠く離すこともできず,またこれを促して,速くしようとしてもできないものである.』
(「言志四録」佐藤一斎著/川上正光訳 講談社学術文庫)
<しの訳>
世の中すべてのことは,ゆっくりとしかし確実に変化していく「必至の勢い」があるので,急いても避けようとしてもしょうがない.
まぁなるようにしかならんしなぁ・・・・・っとあきらめ半分な気持になりそうだが,必至の勢いを「読む」ことが大事なように思う.
「必至の勢い」には,突然発生的なものは少ない.むしろ,その前兆がそこかしこに転がっており,それらが絡まって相加相乗的に一つの大きな流れとなる場合の方が多いだろう.よって,予兆や小さな流れを丹念に観察することで,必至になる勢いを「読む」ことが出来そうだ.そのためには,つまりは日々の勉強が欠かせんっちゅうことか.
たとえば地球温暖化,たとえばBRICの台頭,たとえば薬害肝炎・・・・・・・.
それらにはさかのぼって見れば確実な予兆があったし,この必至の勢いを以前から確実に「読め」ていたヒトもいたはず.その「必至の勢い」に対してできるかぎり早目に手を打てば,ひょっとすると「勢い」を方向転換することが可能かもしれない.
まあ,必至の勢いはあるがままに受け入れ,自分を適応させていくのが,生きていく知恵なんだろう.しかし,そんな中で自分の信念を貫くことも大事かもしれん・・・・・.その強固な意志は,あらたな「必至の勢い」を作る源になるかもしれん・・・.