開業医ランの愚痴 | 『しのゼミ』

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日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

お昼過ぎに,同級生で近所に開業している「ラン・クリニック」へとある用事にて訪れた.

今日は土曜なため午後は休診.

静かなクリニック内だが,この一週間も実は大変だったようである.


「あのなシノ,開業医ってさぁ,午前の診察が終わったら,昼間は昼寝でもしていて,目が覚めたらおもむろに夕方からの診察を始める・・・ってなふうに思うやろ?」

「まあね」

「じつは午後ってさぁ,書類書きとか,紹介状書きとか,調べもんしたりとか,薬屋さんと話したりでさぁ・・・・・・ほとんど休む暇なく仕事でつぶれるんや」

「へぇ~,知らなんだわ~」

「先日も午後のクソ忙しいときに,モッキーが突然来てさぁ・・・・」


モッキーとは,これまた近くでクリニックを開業している同級生の女医さんである.

ランとモッキーは同じ医局出身であり,いわば「同じ釜の飯を食った」間柄.

しかもクリニックがご近所同士で,何かと会っていろんな話をするらしい.


「しょうがないので,近くの○○って喫茶店に行ったワケよ・・・」

「あ~,あそこね」

「あそこって,このあたりのヒトがいっぱい来るんだわ」

「・・・そうそう,このあたりのヒト達のタマリ場的な店だよね・・・」

「あそこのマスターや女将さんも,うちのクリニックによく来てくれるワケよ・・・」


喫茶店○○は,場所が便利な所にあるので,なんやかんやでよく利用されるお店である.

お客さんの多くが地元民で占められている.


「で,カウンター席で開業の苦労話をしてたらさぁ,モッキーの声がまたでっかくなってきてさぁ」

「ふむふむ」


・・・以下,喫茶店での場面を再現・・・

   「あのなぁ,ランさん,私らは外科じゃん?患者さんを切って治してきたじゃん?」

   「まぁ,切ってナンボやからなぁ」

   「でもな・・・開業じゃあ,それではいかん!」

   「ほう?」

   「患者さんにはなぁ,いつも来てもらわないかん」

   「まぁ,そうやな」

   「だから,治したらあかんのや

   「はっ?」

   「そうしたら,みんないつまでも来てくれるやろ?」


・・・その時,ランは見たそうだ.

マスターのコーヒーを淹れる手が止まったのを.

しかも,店内にはクリニックの患者さんらしき数名もいた模様.


   「・・・・・・・・・・声でかいって (←小声のラン)・・・・・・・・・」

   「は~あ,治らん病気があったらええなぁ

   「・・・・でかいって・・・・」

   「は~あ,冗談冗談!あはは」


「まったく,あははじゃねえよ・・・・冗談っつうのがタイミング的に遅いって!・・・・・あの声デカ女め・・・・・」

「あはは・・・・(けっこうおもしろ)」

「それでさぁ,モッキーが帰ったあと,マスターに言い訳みたいなこと言わなきゃあかんかったし・・・・・っで,その日は何もできずに午後がつぶれてさぁ・・・」

「あはは・・・・(そりゃたいへん)・・・・っで,それから患者さんの数どう?」

「・・・気のせいか,モッキー効果で少し減ったかもしれん・・・」


・・・まぁ愚痴ならいつでも聞くが,二人仲良しでなによりでした.