カリスマ経営者は出来損ないの父。映画「スティーブ・ジョブズ / STEVE JOBS」 | 忍之閻魔帳

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スティーブ・ジョブズ マイケル・ファスベンダー


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▼カリスマ経営者は出来損ないの父。映画「スティーブ・ジョブズ」


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【関連記事】スティーブ・ジョブズ氏、死去
【紹介記事】映画「スティーブ・ジョブズ」&「STEVE JOBS 1995 失われたインタビュー」

ジョブズが亡くなってもう5年が経つ。
つまり、ティム・クックがCEOに就任して間もなく5年が経つわけだが
少なくとも私は未だにApple=ジョブズであり
アップルから新製品が発表されるたびに「ジョブズならGOサインを出しただろうか」
「彼ならもっと革新的なアイディアがあったのでは」と思わずにいられない。
iPhoneの進化が完全に頭打ちしていることや
Apple Watchの立ち上がりが鈍いこと等がさらに拍車をかけ
ジョブズを失ったことの大きさを改めて痛感している。

先週末から公開中の「スティーブ・ジョブズ」は
ジョブズが亡くなってから公開された3本目の映画である。
2013年公開のアシュトン・カッチャー版、
インタビュー映像をHD化した「失われたインタビュー」に続く本作は
Facebookの創始者マーク・ザッカーバーグを映画化した
「ソーシャル・ネットワーク」のアーロン・ソーキンが脚本を担当し、
「スラムドッグ$ミリオネア」「127時間」など
スピード感のある演出はお手の物なダニー・ボイルが監督を務めている。
主演は「SHAME」「FRANK」のマイケル・ファスベンダー、
共演は「愛を読むひと」のケイト・ウィンスレット、セス・ローゲン。



本作は「ブリッジ・オブ・スパイ」のような正統派の伝記映画ではない。
ジョブズが手掛けた3つの製品、1984年の「Macintosh」、
1988年の「NeXT Cube」、1998年の「iMac」の発表会の舞台裏を
「ソーシャル・ネットワーク」を上回る台詞量と慌ただしさで描いているため、
ジョブズに対してあまり予備知識を持っていない方が
彼の功績や人となりをこの作品だけで窺い知ることは難しいだろう。
2013年のアシュトン・カッチャー版とは比較にならないほど良く出来ているが、
映画だけでスティーブ・ジョブズという人物を把握するのであれば、
アシュトン・カッチャー版も観ておいた方がベターな作りになっている。
起業の瞬間から最初の成功、仲間との意見の食い違い、Appleを追われるまでと
あちらはジョブズの経歴を(表層的ではあるが)一応抑えているので
本作で省かれている「発表会と発表会の合間」が綺麗に埋まるのである。

ジョブズに対して少しばかり予備知識を持っている私からすると、
本作はアシュトン・カッチャー版(こればかり書いていると
カッチャーが悪者のようだがそうではない、映画がダメということ)で感じた
不満を全てフォローしてくれていて大満足だった。

「何故そんなに自ら嫌われようとするんだ」
「別に嫌われたいわけじゃない。でも嫌われても構わないとは思っている」

この短いやり取りだけでも、ジョブズの人物像がはっきりと見える。
何よりも美学を優先し、美しくないものは徹底的に拒絶する。
経営陣や仲間から嫌われても、世に出た製品をユーザーが愛してくれるなら
それでいいのだという、カリスマの真髄を見た気がする。
人間的なマイナス面を描きつつ、彼を愛して止まないファン(私含む)が
何故そこまでジョブズに熱狂するのかがちゃんと描かれているのだ。


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会社を追われることになっても“Think Different”を貫いた彼は
AppleIIへの謝辞を断り、アラン・チューリングの巨大ポスターを発表会場に貼る。
「彼こそコンピューターの父だ」との言葉に
「イミテーション・ゲーム」で初めて彼の名を知った私は
チューリングの悲劇的な晩年を思い出し涙腺が緩んだ。

自己中心的で気難しい反面、
自分が人として出来損ないであることも自覚していたジョブズ。
理想を語ること、製品をアピールすることには長けていても
夫として、父としての愛情表現はからきしダメだった。
コンピューターの父と仰ぐチューリングも似たタイプの偏屈な男だったが
善き理解者を得てエニグマの解読に成功した。
もしかするとジョブズは、チューリングと同じように
凡人の尺度で見返りを求めない、善き理解者を求めていたのかも知れない。

アシュトン・カッチャー版には出て来なかった重要人物が
ケイト・ウィンスレット演じるジョアンナ・ホフマン。
ジョブズの苦手とする周囲との協調、現状把握を全て独りで請け負い
妻や娘とのパイプ役も果たした彼女の存在なくしてジョブズの人生は語れない。
エンジニアとしての優秀さと女性的な奥ゆかしさ、
時に優柔不断な男の尻を叩く気の強さまで完璧に演じたケイトは、
ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞で最優秀助演女優賞を獲得している。

「そんな不格好に大きなものを持つな。
 音楽はポケットに入れて聴くんだ。
 100曲、1000曲がポケットに入るようにしてやる。」

大観衆の前に自信満々の笑顔で登場したカリスマ経営者が
ほんの一瞬だけ見せた父としての顔。
それは本人が言うほど出来損ないではないじゃないかと私は思った。

映画「スティーブ・ジョブズ / STEVE JOBS」は現在公開中。




発売中■Blu-ray:「スティーブ・ジョブズ」

2011年、56歳の若さでこの世を去ったスティーブ・ジョブズの伝記映画。
主演はジョブズの熱烈な信奉者であるアシュトン・カッチャー。
その言動が何かとメディアを騒がせたジョブズということで、
美辞麗句の並べ立てられた作品でないことはある程度想像していたのだが、
それにしてもこの映画には愛が無い。むしろ悪意すら感じる。
カリスマと呼ばれる人物は常識人の物差しでは判断し切れない。
これと決めたことに打ち込むエネルギーが尋常ではなく
目的達成のためには、時に他者を犠牲にすることも厭わない。
手段を選ばない強引さや過激な言動のせいで一部では敵を作ってしまうが
発表された製品はユーザーに絶賛をもって受け入れられ多くのファンを生むのだ。

ジョブズの体調が思わしくないと言われ始めた頃から
アップルの新製品発表会が行われる度にUstreamのコメント欄に溢れていた
「良かった、ジョブズ元気そうだ」の書き込みは
私達の生活を激変させてくれたジョブズを愛するユーザーの声だった。
しかし、本作からは規格外の天才であったジョブズのマイナス面ばかりが強調され、
人を惹き付けて止まないカリスマとしての魅力は描かれていない。

物語は1974年の大学時代からアップルを追われる1985年までがメイン。
ラストシーンで一気に10年時間が飛び、経営不振に陥ったアップルに呼び戻される
1996年がほんの少しだけ描かれて幕を閉じる。
映画では、アップルを去った後のジョブズが
まるで田舎で草むしりをしながら呑気に暮らしていたようになっているが
この空白の10年こそ、NeXTやピクサーを立ち上げた
「攻め」と「躍進」の時期であり、ここをすっぽり抜かしては
ジョブズのCEO就任がAppleの自滅によるタナボタに見えてしまう。
曲線の美しいiMacやiBookも、革新的な音楽プレーヤーのiPodも、
電話の概念を変えたiPhoneも、タブレット市場を開拓したiPadも登場しない。
冒頭で悪意すら感じると書いたのはこのためだ。

「ソーシャルネットワーク」のように、喰えない人物として描くことが
映画としての面白さを増幅させている様子もなく、
ジョブズを敬愛するひとりとして、ちょっとこの作品は辛かった。




発売中■Blu-ray:「スティーブ・ジョブズ1995~失われたインタビュー~」

マスコミ嫌いで知られるジョブズの貴重なインタビュー映像。
残念ながらマスターが紛失し、ほんの短い映像しか残っていなかったが
当時のディレクターだった人物の自宅倉庫から、埃を被った番組の
マスターのコピー(VHS)が発見され、HD化されて陽の目を見ることとなった。
映像収録はジョブズがアップルに復帰する直前の1995年。
NeXTのCEOだった頃のもの。
インタビュー内容をテキストに起こしたものがKindleでも配信中。

映画は70分しかないのだが、ジョブズがとにかく早口でほぼ休み無しに喋りまくるため
字幕を追うだけでも大変なほど密度の濃い内容。
ゆっくり話す人物のインタビューなら90分以上に相当するほどの情報量だった。
カリスマとしての魅力がきっちりフィルムに収められている。

映画と同じように自信家で野心家ではあるが、
根底にあるのは「良いものを作って世界を変えたい」というピュアな想い。
人とぶつかるのも、「本気で意見を闘わせれば
始めはゴツゴツの角ばった石でも最高に丸く美しいものになる」から。
だからこそ、「反対意見が間違っていないという証拠が見つかれば
僕はいつでも180度方針転換する。
最後の判断さえ間違っていなければいいんだ」と屈託なく笑うのだ。
「マイクロソフトの製品には文化も魂も感じない。マクドナルドと同じ。
あれば便利だが世の中を変えるほどの革新性はない」と言い切り、
「Macのユーザーは製品を愛してくれるんだ。
コンピューターにそんな感情を持ってくれるのは幸せなこと」と語る彼が
もし今も生きていたなら、世の中はどう変わっていったのだろう。

コンピューターは人が目指す到達点への作業を軽くしてくれる自転車のようなもの。
言わば「脳の自転車」さ。


私はもっともっと彼のデザインする自転車に乗りたかった。
改めて、そう感じた映画だった。



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