レベル上げの要らないRPG。映画「エンダーのゲーム」 | 忍之閻魔帳

忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)



▼レベル上げの要らないRPG。映画「エンダーのゲーム」

「ヱヴァ」の庵野氏が愛読していたとの理由からか
アニメ・ゲーム関連の情報サイトなどにも積極的にプロモーション展開していた
映画「エンダーのゲーム」だが、蓋を開けてみれば公開初週で興収6,900万円。
しかも全国474スクリーンを使用しての拡大公開である。
先週末公開された「THE IDOLM@STER MOVIE」が1/10以下である
39スクリーンながらアベレージ300万オーバーの超高稼働をマークして
興収1億5千万円を稼ぎ出したのとは対照的な惨敗である。
海外でも苦戦した同作だが、日本では「パシフィック・リム」が海外不振を覆す
ヒットで話題になったこともあり、同様の成功を目論んでいた関係者も多かったはず。

監督は「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」ギャヴィン・フッド。
主演は「ヒューゴの不思議な発明」のエイサ・バターフィールド。
共演には、「トゥルーグリッド」で注目されたヘイリー・スタインフェルド、
すっかり美しく成長したアビゲイル・ブレスリンの他にも
ヴィオラ・デイヴィス 、ベン・キングズレー、ハリソン・フォードと
オスカー受賞歴を持った大物が脇を固める豪華キャスト。

これだけのお膳立てをして一体何がいけなかったのか。
打ち切られる前に取り上げておきたい。



「ヱヴァ」に影響を与えたとすれば、
第3の子、通称「サード」と呼ばれる少年エンダーが
仲間を率いて敵を撃破する、というメインの部分だろうか。
年齢の割には物事に悲観的で、お世辞にも社交的とは言えない
エンダーの性格も、なるほどシンジと良く似ている。
ただ、共通しているのはキャラクター付けの部分だけで
本編は少年版の「スターシップ・トゥルーパーズ」
もしくは「スター・トレック」といった雰囲気で作られている。

Kinectがゲーム以外の分野で活用されているニュースを聞くまでもなく
現代は様々な場面でゲームのノウハウが導入されている。
本作のように、優れたパイロットの発掘や育成を
ゲームの上級者から選び出す時代が近い将来本当にやってくるかも知れない。
「ゲームが上手いだけで喰える」なんて、ずんの飯尾も大喜びだ。

と、基本設定まではなかなか良かったのだが、
上下巻の原作を2時間でまとめるのは難しかったのか
「宇宙戦艦ヤマト」の古代進や「スター・トレック」のカークが通ってきたような
主人公エンダーがリーダーとしての器を身につけるまでの過程が
豪快に省かれているのは惜しい。
まるでレベル上げの要らないRPGのように
上官(ハリソン・フォード)から与えられた課題をサクサクとこなしてゆくエンダー。
RPGの善し悪しを判断する上で戦闘バランスが重要な位置を占めるように
こうもトントン拍子にチームのトップまで上り詰められると
仲間を率いて闘う後半がクライマックスとして盛り上がりに欠けるのも仕方あるまい。
ムズ過ぎてもダメ、ヌル過ぎてもダメなのである。

喜怒哀楽の振り幅が小さく、いかなる戦局にも冷静に対処してきた子供達が
ラスト数分で感情を大きく乱される。
大人の狡猾さと、大人に見えて心はまだ少年のエンダーとの対比が
ようやくここで実を結ぶわけだが、このクオリティを全編に渡って貫いて欲しかった。

駆け足のため薄味になってしまったのは残念だが、
経験値をリアルマネーで買い、シナリオだけを楽しみたいという
RPGファンも増えている現代のユーザーに嗜好を合わせるなら
前後編や三部作など壮大過ぎて付き合っていられないとも言われかねず、
案外これぐらいサクサクな方が良いのかも知れんな。
などと思いつつ、昔気質のジジィゲーマーは劇場を後にしたのであった。

映画「エンダーのゲーム」は現在公開中。

最後におまけ。
敵のボスとの対面シーンは、思わず「風の谷のナウシカ」を思い出した。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:エンダーのゲーム
    配給:ディズニー
   公開日:2014年1月18日
    監督:ギャヴィン・フッド
   出演者:エイサ・バターフィールド、ハリソン・フォード、他
 公式サイト:http://disney-studio.jp/movies/ender/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



発売中■BOOK:「エンダーのゲーム 新訳版(上)(下)」
発売中■Kindle:「エンダーのゲーム 新訳版(上)(下)」

原作小説。
ちょっと読んでみたくなった。




発売中■Blu-ray:「スターシップ・トゥルーパーズ」
発売中■Blu-ray:「スター・トレック」
発売中■Blu-ray:「スター・トレック イントゥ・ダークネス」
発売中■Blu-ray:「スター・トレック イントゥ・ダークネス 3D & 2D」



▼角川のKindle本セール、50%OFFで継続中

角川書店 Kindle
角川書店のKindle本、50%OFFセール開催中

53%OFF(270円)■Kindle:「天地明察 上(角川文庫)」
50%OFF(300円)■Kindle:「光圀伝 電子特別版(上)」
54%OFF(220円)■Kindle:「氷菓」
53%OFF(290円)■Kindle:「グラスホッパー(角川文庫)」
53%OFF(330円)■Kindle:「四畳半神話大系」
50%OFF(280円)■Kindle:「僕だけがいない街 1(角川コミックス・エース)」
52%OFF(280円)■Kindle:「紅殻のパンドラ 1(角川コミックス・エース)」
52%OFF(270円)■Kindle:「新世紀エヴァンゲリオン 11(角川コミックス・エース)」
50%OFF(280円)■Kindle:「機動戦士ガンダムUC 虹にのれなかった男(角川コミックス・エース)」
52%OFF(280円)■Kindle:「シャアの日常(1)」
49%OFF(310円)■Kindle:「トニーたけざきのガンダム漫画」
50%OFF(330円)■Kindle:「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」
48%OFF(300円)■Kindle:「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 上」

角川のKindle本セール、70%OFFは終了したが50%OFFで継続中。
変動後の価格一覧はこちらのページでご確認を。
1冊あたり100円ほどの値上げにはなったが
それでも紙のコミックに比べればまだまだ激安。