▼2013年度 北米年間興収ランキング TOP20
01位:2013年05月公開「アイアンマン3」 4億900万ドル
02位:2013年11月公開「ハンガー・ゲーム 2」3億9100万ドル
03位:2013年07月公開「怪盗グルーのミニオン危機一発」3億6700万ドル
04位:2012年12月公開「ホビット 思いがけない冒険」3億300万ドル
05位:2013年06月公開「マン・オブ・スティール」2億9100万ドル
06位:2013年06月公開「モンスターズ・ユニバーシティ」2億6800万ドル
07位:2013年10月公開「ゼロ・グラビティ」2億5400万ドル
08位:2013年11月公開「アナと雪の女王」2億4800万ドル
09位:2013年05月公開「ワイルド・スピード EURO MISSION」2億3800万ドル
10位:2013年03月公開「オズ はじまりの戦い」2億3400万ドル
11位:2013年05月公開「スター・トレック/イントゥ・ダークネス」2億2800万ドル
12位:2013年11月公開「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」2億200万ドル
13位:2013年06月公開「ワールド・ウォー Z」2億200万ドル
14位:2013年11月公開「ホビット 竜に奪われた王国」1億9000万ドル
15位:2013年03月公開「クルードさんちのはじめての冒険」1億8700万ドル
16位:2013年06月公開「The Heat」1億5900万ドル
17位:2013年08月公開「なんちゃって家族」1億5000万ドル
18位:2013年05月公開「華麗なるギャツビー」1億4400万ドル
19位:2013年07月公開「死霊館」1億3700万ドル
20位:2013年02月公開「泥棒は幸せのはじまり」1億3400万ドル
▼2013年の映画を振り返る(10月・11月・12月編)
2013年の鑑賞リストまとめ最終章。
今年は一日あたり3ヶ月分ずつ消化したので去年より骨が折れた。
抜けがあるかも知れないが、何ぶん本数が多いのでノーチェックで。
<2013年10月公開作品>

・「パッション」
2010年公開のフレンチスリラーを、「スネーク・アイズ」「ブラック・ダリア」の
ブライアン・デ・パルマ監督がリメイク。
清楚な表の顔と底意地の悪い裏の顔を使い分けるレイチェル・マクアダムスと
負けん気の強さと行動力で押しまくるノオミ・ラパスという
タイプの異なる女優を起用して、二人にバチバチの火花を散らせる官能サスペンス。
リメイクでありながら「デ・パルマはこうでないと」と思わせる上々の仕上がり。
・「R100」
いい加減に映画から手を引いてくれ。
・「ゲキ×シネ シレンとラギ」
劇場の迫力を残しつつ、映画館でしか味わえない
カメラワークを駆使したゲキ・シネ最新作。

・「ムード・インディゴ うたかたの日々」
ビョークら数多くの名作PVを手掛け、「エターナル・サンシャイン」
「恋愛睡眠のすすめ」などファンタジックな恋愛映画を得意とする
ミシェル・ゴンドリー監督の最新作。
原作はフランスで定番の恋愛小説として読み継がれている
ボリス・ヴィアンの傑作「うたかたの日々」。
エンディングが若干変わっている意外はかなり原作に忠実な映画化がされていて
どう映像化するのか興味があった幻想的なシーンも
ゴンドリーマジックでかなり良い雰囲気。
ただ、主人公二人のうちロマン・デュリスがドンピシャのハマり役なのに対し
ヒロインがオドレイ・トトゥではとうが立ち過ぎてバランスが悪い。
「ヘルター・スケルター」の岡崎京子が描いたコミカライズ版の方が好み。

・「トランス」
「スラムドッグ$ミリオネア」「127時間」のダニー・ボイル監督の新作。
名画の盗難事件を軸に、犯罪者側と警備側の駆け引きを描く・・・ように見せかけて
最終的には一体誰が誰を騙しているのかの心理ゲームへとなだれ込む。
「X-MEN ファースト・ジェネレーション」のジェームズ・マカヴォイは
生真面目さと非道さを併せ持つ主人公サイモンを、
一時はダニー・ボイルと恋仲だったロザリオ・ドーソンは
セクシーな精神科医をまさに体当たりで演じていて、
周到に張り巡らされた仕掛けをさらに盛り上げる。

・「死霊館」
「ソウ」で彗星の如くホラー界に現れたジェームズ・ワンの新作は
超常現象研究家であるウォーレン夫妻の実体験を元にしたサスペンス・ホラー。
「心霊現象の大半は科学的に解明できる」と豪語するウィルソン夫妻が
その長い経歴において唯一「本物」と認めた1971年の症例がベース。
出血量や残虐表現に頼らず、緊張と弛緩の繰り返しだけで
観客をジワジワと絞め上げてゆく演出法と
母性をキーワードにした感動系のオチは
かつて世界に影響を与えていた頃のジャパニーズ・ホラーにも通じる上質な怖さ。
紹介時に『もしかすると今後、「永遠のこどもたち」の次に
「インポッシブル」を撮ったJ.A.バヨナのように、ホラーからも飛び出して
名作を撮るのかも知れない』と書いたのだが
何と「ワイルドスピード 7」の監督に大抜擢されていた。
・「陽だまりの彼女」
中学時代の同級生と偶然再会した一組みのカップルの姿を
「ソラニン」「僕等がいた」の三木孝浩監督が美しい映像で綴る青春ファンタジー。
そこかしこに「時をかける少女」を頂点とした
80年代ジュブナイルの影響が見えるが、キャストの知名度を除けば
同じ鎌倉を舞台にした「江ノ島プリズム」の方が上。
小学生から中学生ぐらいまでならそこそこお薦め。
中学時代の真緒を演じた葵わかなが素晴らしく良かった。将来が楽しみ。
・「ダイアナ」
世界で最も有名な女性と言われたダイアナ妃の
最後の2年間にスポットをあてた知られざる物語。
付け鼻までしてダイアナになりきったナオミ・ワッツの熱演は買うが
公務そっちのけで恋愛にばかりうつつを抜かしていたかのような脚本と演出は
パパラッチと大差ないぐらい悪意に満ちていて閉口。
死後16年経過して製作されたドラマがこれではダイアナも浮かばれない。

・スティーブ・ジョブズ1995 ~失われたインタビュー~
マスコミ嫌いで知られるジョブズの貴重なインタビュー特番。
映像収録はジョブズがアップルに復帰する直前の1995年。
NeXTのCEOだった頃のもの。
早口で休み無しに喋り、時折少年のように笑うジョブズの映像には
カリスマとしての魅力が詰まっている。
コンピューターは人が目指す到達点への作業を軽くしてくれる自転車のようなもの。
言わば「脳の自転車」さ。
私はもっともっと彼のデザインする自転車に乗りたかった。
改めて、そう感じた映画だった。

・「危険なプロット」
「8人の女たち」「スイミング・プール」のフランソワ・オゾン監督の最新作。
作家の夢を諦め国語の教師をしている男が
自身の受け持つクラスで才能豊かな男子生徒を見出すミステリー。
体験談しか書けないと語る男子生徒は倫理観スレスレの行動を繰り返すが
彼の紡ぐ物語の熱烈なファンになってしまった教師は止めることも出来ず、
ついには教師としてあるまじき行為にまで手を染めてしまう。
破滅的な行動と人を惹き付ける文章を書く男子生徒を演じた
ルンスト・ウンハウアーは本当に天才なのではと思うほどのハマり役。
「少年は残酷な弓を射る」で注目を集めたエズラ・ミラーに続く
期待の若手としてチェックしておきたい。
・「グランド・イリュージョン」
スーパーイリュージョンで人気を集める4人組「フォー・ホースメン」が
パフォーマンスと称して大規模犯罪を企てるクライム・サスペンス。
ざっくり言ってしまえば、本作は「オーシャンズ11」の変形版。
「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグが
十八番のオタク青年を封印してイケメンを演じれば、
「アベンジャーズ」でハルクを演じたマーク・ラファロは
温厚キャラを封印して対抗。そこそこ。

・僕が星になるまえに
「SHERLOCK / シャーロック」の大ヒットをきっかけにして
今年最も日本で知名度を上げたであろうベネディクト・カンバーバッチの主演作。
29歳の若さで末期ガンに見舞われた青年が「世界で一番好きな場所」を目指し
心の許し合える友人と旅に出るヒューマン・ドラマ。
残された時間の中でトラブルに見舞われ、仲間とぶつかりながら
やがて彼が辿りついたのは・・・。
「スタンド・バイ・ミー」と「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」を
ミックスした感じ、と言うと乱暴だろうか。90分とコンパクトなのも良い。
・「潔く柔く」
「ただ、君を愛してる」「僕の初恋をキミに捧ぐ」の新城毅彦監督が
長澤まさみ、岡田将生、中村蒼、波瑠、池脇千鶴、高良健吾ら
若手キャストを集めて送る恋愛ドラマ。
核となるキーワードは「喪失」のはずだが、
この映画には始終春の温かさにも似た空気が満ちている。
「ソラニン」や「僕等がいた」のような、リアリティのある悲劇を求めるのは
筋違いだと納得しても、脚本にはやや疑問が残る。
高良健吾はこれで何度目の死ぬ役だろうか。
<2013年11月公開作品>
・「劇場版 SPEC 結(クローズ)漸(ゼン)ノ篇」
・「劇場版 SPEC 結(クローズ)爻(コウ)ノ篇
二部構成で公開された人気ドラマの完結編。
ドラマと劇場版のテイストの違いは承知していたが
「爻(コウ)ノ篇」の「幻魔大戦」ぶりはさすがにやり過ぎでは。
初期のノリに戻った「零」のラインで作って欲しかった。

・「42 世界を変えた男」
史上初の黒人メジャーリーガーとして名を残す伝説のプレイヤー、
ジャッキー・ロビンソンの感動の伝記ドラマ。
まだ黒人差別の激しかった1940年代にいち早く黒人選手の必要性を見抜き、
周囲の反対を押し切ってジャッキーと契約したドジャースのGMブランチ・リッキー。
彼の期待に応えるため、チーム仲間からの冷たい仕打ちにも耐えたジャッキーは
次第に観衆の支持を得てスタープレイヤーになってゆく。
オーソドックスなドラマではあるが、永久欠番「42」を獲得した名選手の
エピソードだけあり見応え充分。
GMを演じたハリソン・フォードが実に良い枯れ具合で作品の重厚感を増している。
・「スティーブ・ジョブズ」
2011年、56歳の若さでこの世を去ったスティーブ・ジョブズの伝記映画。
「ダイアナ」同様、製作者の悪意すら感じる失敗作。
Appleを追われて再び戻るまでの空白の10年を
完全スルーしている時点で観る価値がない。
NeXTやピクサーを立ち上げた「攻め」と「躍進」の時期であり
ここをすっぽり抜かしては、CEO就任がただのタナボタのように見えてしまう。
ジョブズの熱烈な信奉者であるアシュトン・カッチャーは
この役を演じながら何を考えていたのだろう。

・「サプライズ」
過剰防衛どころか痛快やり返し過ぎな爆笑ホラー。
ジューサーミキサーまで使うか普通?という悪のりっぷりに
付いていけるかどうかが評価の分かれ目。
「ハンガーゲーム」に出場しても生き残れそうな某人物の強さは圧巻。
一般にはそれほど薦められないが、B級好きなら是非。

・「恋するリベラーチェ」
悪趣味なド派手衣装に身を包み、コミカルなトークで
ショーを盛り上げる人気エンターテナー、リベラーチェの物語。
繊細かつダイナミックな演奏を披露する一方で、
舞台を降りれば恋多き男であったリベラーチェの人生を
彼に人生を翻弄された付き人&恋人のスコット・ソーソンの視点から描いている。
優れたエンターテイナーほど性欲は強いもの。
「常に新鮮な刺激を受け続けていなければ良い物なんて作れない」という言葉を
その辺の浮気性の男と一緒くたにして否定することは
凡人の尺度でしか物事を計れない人間の戯言。
偉大なる芸術家の伴侶として、努力できる限りのことは受け入れようとした
スコットが何故リベラーチェを訴えることになったのか。
そして、こじれた関係でありながら最期を看取ることになったのか。
1970年代の世相を反映し、ドラッグやカムアウトの問題を含みつつ
出口は正統な「恋愛映画」でまとめたソダーバーグの技が光る作品。
役者魂を見せてくれたマイケル・ダグラスとマット・デイモンには拍手を贈りたい。
・「キャリー」
「キックアス」「モールス」のクロエ・グレース・モレッツ主演で
デ・パルマの名作ホラー「キャリー」をリメイク。
キャリーの母親役には「キッズ・オールライト」のジュリアン・ムーア。
ストーリーはオリジナル版とほぼ同じだが
出産シーンを加えたり、敵味方の区別がはっきりしていたり
リメイク版ならではの追加要素もあり。
クロエ・グレース・モレッツが可憐過ぎていじめられっ子に見えないのは残念。
いじめている側のクリスよりも手助けしてくれるスーよりも可愛いので
何故この子が学校中でいじめられているのかが今ひとつ伝わって来ないのだ。
・「清須会議」
邦画界きってのヒットメーカーである三谷幸喜監督の最新作。
題材にしたのは、話し合いだけで歴史を動かしたと言われる清須会議。
織田信長の亡き後、強大な権力の座を狙って様々な思惑が動く様を
三谷氏らしいコミカルな演出を交えて描いている。
お人好しの勝家は常に防戦一方であり、物語を引っ張っているのは秀吉。
誰の懐にも潜り込む愛嬌とフットワークの軽さを持ちながら
ふとした瞬間に野心家としての顔を覗かせ、ただならぬ威圧感を与える。
勝家が派手に動き回れば回るほど、「これでは秀吉には勝てない」と思わせる
圧倒的な存在感は、大泉洋にとってドンピシャのハマり役と言えよう。
役所広司演じる勝家の醸す小物感もサポートとして絶妙な効果を生んでいる。
見慣れた役者の新たな魅力を引き出すことが得意な三谷氏。
今作では寧を演じた中谷美紀と、松姫を演じた剛力彩芽が出色。

・「悪の法則」
「ノーカントリー」の原作者であるコーマック・マッカーシーの脚本を
リドリー・スコット監督が映画化したクライム・サスペンス。
ブラッド・ピット、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス、ハビエル・バルデムら
超豪華キャストの頂点に立つのは「SHAME / シェイム」のマイケル・ファスベンダー。
キレ者の弁護士が慢心から麻薬取り引きに手を出し裏社会から制裁を受ける。
冷静を取り繕う仮面がマフィアの非情ぶりによって破壊されてゆく。
ペネロペとキャメロンはこれまでのイメージなら逆に配役されていたはず。
妖艶でしたたかなキャメロン・ディアスが今回のMVPか。
乾いた空気とヒリつく緊張感に最後まで惹き付けられる上質な作品。
・「マラヴィータ」
リュック・ベッソン監督の新作はあるマフィア一家の物語。
製作総指揮はマーティン・スコセッシ。
ロバート・デ・ニーロがFBIの監視下にあるマフィアのボスを好演。
妻のミシェル・ファイファー、娘のダイアナ・アグロンは揃ってキレ易く
末っ子の長男は小回りの利く天才肌。
一家全員のキャラがしっかり立っていて
マフィア版の「Mr.インクレディブル」と言ってもいいかも知れない。
そんな彼等を見守るFBI捜査官のトミー・リー・ジョーンズがまた良い。
・「夢と狂気の王国」
スタジオジブリスタッフへの密着と内部撮影を許された
砂田麻美監督のドキュメンタリー。
ジブリに迷い込んだお嬢ちゃん以上の情報量はなく
ドキュメンタリーと言うよりは「動く絵日記」。
既出情報(映像)が多過ぎたのは残念。

・「かぐや姫の物語」
高畑勲監督14年ぶりの劇場公開作品。
日本最古の物語として知られ、絵本やアニメーションで広く親しまれている
「竹取物語」を映画化したもの。
悩みも争いもない、清浄そのものの月で暮らす姫が
何故罪を犯してまで地球に憧れたのか。
その答えを137分かけて丁寧に描いてゆく。
精緻を極めたアニメーションで綴られる姫の物語を見ていると
恐れも悩みも知らず、ただ母親の胸に抱かれて乳を吸い、眠っていた頃の記憶まで遡り
姫の成長と共に己の人生を振り返っているような錯覚に陥る。
20代ぐらいの方が観てもピンと来ないかも知れないが
人の心の機微を学び、子を持つようになった頃にもう一度観て欲しい。
これほど贅を尽くした作品は、今後日本のアニメでそうそうは出て来るまい。
・RED リターンズ
引退した凄腕エージェントをブルース・ウィリス、ジョン・マルコヴィッチ、
ヘレン・ミレンらのシルバーエイジが演じて大ヒットしたアクションの第2弾。
ノリは前作そのままで、未見でも何とかなってしまうほど単純明快。
オスカー俳優のキャサリン・ゼタ=ジョーンズと
アンソニー・ホプキンスがゲスト参加し、スケールアップした物語に花を添える。
殺し屋として登場するイ・ビョンホンが良いアクセントになっていて
ブルース・ウィリスとの腐れ縁は次回作でも楽しめそう。
ヘレン・ミレンは相変わらず美しくカッコいい。
・あさひるばん
何とも歯切れの悪いコメディ。
人気漫画家だからと言って名監督にはなれなかった。
・すべては君に逢えたから
クリスマスを舞台にしたハリウッド風のC級オムニバスドラマ。
どのエピソードもキャストが活かされていないし、何より脚本が酷い。
「ラブ・アクチュアリー」を100回観て出直せ。
<2013年12月公開作品>
・「47RONIN」
「四十七人目の赤穂浪士は赤毛の浪人だった」がコンセプトのトンデモ時代劇。
和と洋、2次元と3次元をごちゃ混ぜにしたような世界観は
懐かしの角川全盛期を思わせるが、80年代に比べて役者の魅力が圧倒的に足りない。
・「利休にたずねよ」
本当にこれで良かったか、利休の墓前にたずねに行け。

・「ゼロ・グラビティ」
敬愛するアルフォンソ・キュアロン監督の最新作。
地球を周回するスペースシャトル上で発生した事故と、
生き残ったエンジニアのライアン(サンドラ・ブロック)と
コワルスキー(ジョージ・クルーニー)が地球に還るため奮闘する様子を描いている。
綿密な世界観の構築やストーリー構成はせず、
シチュエーションを限定し、映像で押しまくる演出が大正解。
言葉に出来ない孤独感や絶望感が、3D映像によって何倍にも増幅され
映画館に居ながらにして宇宙旅行を擬似体験できてしまう革命的な作品。
まだ宇宙に行ったことがない、おそらく生きているうちには叶わないであろう私でも
この映画をとても「リアルだ」と感じた。
幼い頃から何度も妄想していた宇宙がちゃんとそこにあった。
それだけで私は大満足だ。

・「武士の献立」
「釣りバカ日誌」の朝原雄三監督が、江戸時代に実在してた料理方、
通称『包丁侍』にスポットを当てて描く夫婦の形。
長男の急逝により、急遽父の跡を継がされることになった次男が
料理自慢の嫁に叱責されながら料理人として目覚めるまでを描いている。
登場する加賀料理の数々は、無形文化遺産に登録された和食の素晴らしさを
スクリーン一杯に映し出し、加賀騒動と絡めた夫婦愛の着地点も美しい。
時代劇でありながら現代にも通じる人情劇であり、料理も添え物で終わっていない。
時代劇初挑戦の高良健吾は若干硬いが、上戸彩が驚くほどハマっていた。
大きな大きな欠点はチャラの歌う主題歌。
これが死ぬほど合わない。イントロが流れた時点で全ての余韻がぶち壊し。
間違いなく今年最悪の主題歌。(曲のクオリティではなく、相性の話)
・「永遠の0」
「ALWAYS~三丁目の夕日」の山崎貴が監督を務めた
『万人が気持ちよく泣ける戦争映画』。
「戦争版 ALWAYS」ぐらいの認識であれば号泣必至だが
正直、この映画を観ただけではベストセラーになった理由が良く分からない。
生前の宮部久蔵(岡田准一)を知る生き証人として
平幹二朗、山本學、田中泯、橋爪功の四人がそれぞれ違ったベクトルから
戦争の爪痕を語っていて、そこだけは文句なしに素晴らしかった。

・「麦子さんと」
「純喫茶磯辺」「さんかく」の吉田恵輔監督が
堀北真希を主演に迎えて撮った母娘モノ。
父を亡くした兄妹の元に、長く連絡の途絶えていた母(余貴美子)が突然訪ねてくる。
兄(松田龍平)は面識があるが、妹(堀北)はないため
目の前の女性が母なのか、憎むべき存在か、愛を乞うべき存在なのかすら分からない。
しかし、末期癌を患っていた母は、どう接して良いか悩んでいる間に亡くなってしまう。
絆が芽生える前にこの世を去ってしまった母の遺骨を抱えた娘は、
母の生まれ故郷を訪れる。
是枝監督の「歩いても 歩いても」に通じる部分もあるが
吉田恵輔監督の持ち味であるコミカルさが随所で観られるため
ウェットな物語でありながらさらっとしているのが良い。
母を知る人々から聴かされるエピソードで少しずつ思慕の念が強くなっていっても
既に母は居ない。本人から直接聞くことも出来ない。
手料理を味わうことも出来ないし、甘えることも、喧嘩することも出来ない。
キャラクターごとの設定や物語の背景はもっときっちり作られているのだろうが
本作はおそらく意図的に『余白』の部分を多くしている。
言葉足らずな部分は、各自の想い出と照らし合わせて補完すれば良いのだと思う。
「純喫茶磯辺」「さんかく」に比べて毒気がぐっと控え目になった分、
万人向けの良作に仕上がった。
2014年公開の映画「銀の匙」の監督にも抜擢された吉田監督の
ブレイク前の決定打と言えそう。
堀北真希にとっても間違いなく代表作となる1本。
・「ハンガー・ゲーム2」
ティーン向けに的を絞ったハリウッドの大ヒットシリーズ第2弾。
時間配分は「1」とほぼ同じで、ゲーム開始までに約1時間を要するが
この1時間が後の展開で重要な意味を持っていて、単なる水増しになっていない。
各々のキャラクターが背負うドラマも厚みを増し、
カットニスを旗標とし、歴代の優勝者がタッグを組む胸熱な展開。
何故フィリップ・シーモア・ホフマンほどの名優が
脇役で出演していたのかも後半になって判明するが
いよいよ!のところで「2」は終了してしまう。
中継ぎとしては上々。単体としては消化不良。

・「バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち」
ステージ上で熱唱し、ファンを熱狂の渦に巻き込む大スター。
華やかなスポットライトを浴びるスターから
ほんの数メートル後ろに立っているのがコーラスガール。
力量だけならいつでもソロデビュー出来ると言われ、
トップスターから厚い信頼を得ながらも
決して数メートルの差を埋められない彼女達の苦悩の歴史と
これからをインタビュー形式で綴ったドキュメンタリー。
ダーレン・ラヴや、メリー・クレイトン、リサ・フィッシャー、タタ・ヴェガら
素晴らしい『歌手』が何人も登場する。
「THIS IS IT」でマイケル・ジャクソンと共演を果たし、
一躍時の人になったジュディス・ヒルの顔も。
エルヴィス・プレスリー、フランク・シナトラ、キャロル・キング、
ブルース・スプリングスティーン、スティーヴィー・ワンダー、
シェリル・クロウ、ベット・ミドラー、パティ・オースティン、、、
誰でも口ずさむことが出来るほどのヒット曲に関わっていても
曲名を聞いて浮かび上がるのはジャケットにクレジットされたスターの名前だけ。
レコードがCDになり、CDが配信になったことで歌詞カードが軽視され、
曲単位でどんなミュージシャンが関わっているのか気にしない方が増えた気がする。
自身もコーラス出身であるルーサー・ヴァンドロスのアーカイブ映像が
とても温かくて胸が熱くなる一方で、名前こそ出て来ないものの
アギレラやブリトニーがコーラスを軽視していることもこっそり暴いてみせる。
過去の栄光を振り返りつつ、「年々仕事が減っている」とぼやく彼女達は、
それでも決して歌を捨てない。彼女達の笑顔とパワフルな歌声は
商業的な成功ももちろんだが、何よりも生きる為に歌が必要なのだと
何よりも雄弁に物語っている。
どんなに上手くても陽が当たらない。
そこから這い上がるためには、力量以上の「何か」が必要。
その「何か」を発見し、掴めた者だけがスポットライトを独占できる。
ショー・ビジネスの厳しい現実を見つめつつ
歌に生きる素晴らしさも教えてくれる秀逸な作品。

発売中■CD:「バックコーラスの歌姫たち オリジナル・サウンドトラック」
配信中■iTMS:「20 Feet from Stardom / バックコーラスの歌姫たち」
サントラが欲しくなること請け合い。
<2013年、見逃したままの作品>
01月公開「渾身 KON-SHIN」
05月公開「ビル・カニンガム&ニューヨーク」
08月公開「ザ・タワー 超高層ビル大火災」
09月公開「わたしはロランス」
10月公開「ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート」
10月公開「ハンナ・アーレント」
10月公開「眠れる美女」
11月公開「ザ・コール 緊急通報指令室」
11月公開「母の身終い」
11月公開「キャプテン・フィリップス」
11月公開「ウォールフラワー」
11月公開「ファッションを創る男~カール・ラガーフェルド~」
11月公開「四十九日のレシピ」
11月公開「父の秘密」
11月公開「ばしゃ馬さんとビッグマウス」
12月公開「鑑定士と顔のない依頼人」
12月公開「ブランカニエベス」
10月から12月の公開作品はまだ間に合うものも多いので
新作公開の少ない1月に補完したい。