▼良作なれど食べ合わせ悪し。映画「マン・オブ・スティール」
海外での人気は互角でも、日本ではMarvelの快進撃の陰に隠れて
ややマイナーな印象が強いDC COMICSが、再度「スーパーマン」を仕切り直す。
製作は「ダークナイト」シリーズのクリストファー・ノーラン、
監督は「300 <スリーハンドレッド>」のザック・スナイダー。
これまで守られてきた正しく強いスーパーマン像に
ノーランらしい重厚感とザック・スナイダーの持ち味である力押しなCGをミックスし
新たな化学反応を起こそうというわけだ。
主人公のクラーク・ケントに抜擢されたのは、
ターセム監督の「インモータルズ 神々の戦い」で彫像のような肉体を披露して
一気に注目を集めたヘンリー・カヴィル。
若干30歳にして、新生「スーパーマン」シリーズ三部作の顔を務める。
共演は、こちらも今ノリにノッているエイミー・アダムス、
クラークの父親にはラッセル・クロウ、
育ての親にはケヴィン・コスナー&ダイアン・レインと脇役も豪華な顔ぶれ。
クリストファー・ノーランもザック・スナイダーも
どちらもテイストがはっきりしているので
大方こんな風になっているのではないか、という予想そのままの仕上がりだった。
クラーク・ケントが新聞社に務め始める前までを描いた
エピソードゼロとしては申し分のないストーリー。
息子に最後の希望を託した本当の両親の気持ちと
愛情たっぷりに育ててくれた育ての親の気持ち。
自分が何者なのかを知りたい欲求に駆られながら
無償の愛を注いでくれた母親との絆を手放すつもりもない。
「マン・オブ・スティール」は、クラーク・ケントがどのような幼少期を過ごし
素晴らしい教育を受け、正しい人間に育っていったかを描く親子の物語である。
ケヴィン・コスナーとヘンリー・カヴィルが交わす短いアイコンタクトのシーンが
クライマックスを上回る印象的なシーンとして描かれているのも、
本作が「スーパーマン、前夜」の映画であることの証だ。
ただ、クリストファー・ノーランとザック・スナイダーが組んだことで
ケミストリーが起こったかと言われると、残念ながらそれはない。
物語中心の前半から中盤まではクリストファー・ノーラン色が強く
ザック・スナイダーは名ばかりの監督として特技を封印されたように進み
アクション中心の後半でそれまでのストレスを倍返しするように
一気にザック・スナイダーの映画へと変貌する。
ノーランが製作の割に出しゃばり過ぎたのかは分からないが
両者の持ち味は最後まで混ざることなく、まるで分担作業のように
シーンごとに別の監督が撮っているかのようだった。
この違和感が払拭されていれば、本作はさらなる名作になっていたように思う。
「X-MEN」のブライアン・シンガーならその辺もクリアできたのでは・・・
と思ってよくよく考えたら「スーパーマン・リターンズ」はシンガーの監督作品であった。
新世代のクラークを任命されたヘンリー・カヴィルは
顔立ちが少々古臭いタイプの男前なのでスーパーマンにはぴったり。
シリーズの記録を塗り替えるほどのヒットを出しながら
未だに「ボンドじゃない」と言われ続けているダニエル・クレイグとは違い
これなら往年のファンも新規のファンも納得だろう。
エイミー・アダムスが魅力的に描かれていないこと、
「スター・トレック イントゥ・ダークネス」に比べて
悪役の存在感が希薄なこどなど、あと一歩な部分もあるが
三部作の序章としては充分合格点。次回作も楽しみ。
映画「マン・オブ・スティール」は本日より公開。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
タイトル:マン・オブ・スティール
配給:ワーナー
公開日:2013年8月30日
監督:ザック・スナイダー
出演者:ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、他
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/manofsteel/
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配信中■iOS:「マン・オブ・スティール」(ユニバーサル)
映画公開にあわせてオフィシャルのiOSゲームが配信開始。
ユニバーサル対応(iPhone/iPadのどちらにも対応)。

発売中■Blu-ray:「スーパーマン モーション・ピクチャー・アンソロジー」
「スーパーマン」の全部入り。
ワーナーは廉価版を何度も出す割にこういうタイミングでは出さない。

発売中■Blu-ray:「スーパーマン リターンズ」
毒舌クマ「TED/テッド」の中でも馬鹿にされていた
ブライアン・シンガー×ブランドン・ラウスによる「リターンズ」。
メリケンさん達は一体何がそんなに気に入らないのか分からないほど
私的にはお気に入りの作品。久しぶりに見返してみるか。