一生分の恋。映画「サヨナライツカ」中山美穂 西島秀俊 | 忍之閻魔帳

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1975年のバンコク。
高級ホテルのスウィートルームで暮らし、何不自由ない生活を送っている真中沓子。
彼女はある日、バンコクに赴任して来たサラリーマン、東垣内豊と出会う。
スポーツ万能、同僚からは好青年と呼ばれ、日本には美しい婚約が待っている豊に
興味を持った沓子は、自分から豊のマンションに押し掛けて一夜を共にする。
婚約者への罪悪感に苛まれつつも、沓子の魅力に抗えない豊。
恋愛を遊びの一環のように捉えていた沓子だったが、
会う度に深まる豊への想いが本物であることを自覚し始めていた。
主演は、本作が12年振りのスクリーン復帰となる中山美穂。
豊には、「東南角部屋二階の女」「ゼロの焦点」の西島秀俊、
豊の婚約者、光子には「誰も守ってくれない」「おとうと」の石田ゆり子。
監督は、「私の頭の中の消しゴム」のイ・ジェハン。




これは難しい。
一見、男性にとってのみ都合が良い話なので
沓子にも豊にも共感出来ないという方は大勢いると思う。
身も蓋もない突っ込みをすれば、人の男に手を出した沓子がどうなろうが自業自得、
浮気した豊は最低、大人しく待っている光子だけが良い人、で終わりだからだ。
Yahoo!映画のユーザーレビューが両極端に分かれているのも、
結局は「不倫」というテーマを許容出来るかどうかが決め手になっているフシがある。

しかし、人はいつもご立派に生きられるわけではない。
頭ではいけないと分かっていても、どうしようもなく引きずられる恋というのは存在するし、
またそういう恋ほど、罪悪感をガソリンにして大きく燃え上がってしまったりする。
本作の豊と沓子もまさにそのパターンなので、今現在、道ならぬ恋をしている方や、
ほんの数ヶ月間の恋を未だに忘れられずにいる方が観ると、
沓子の姿と自身の人生がシンクロして、号泣してしまうかも知れない。
始まった時から終わりがうっすらと見えているような恋に一生をかけてしまった
沓子の生き様に対し、共感する部分も多かろう。

かつて、死ぬ間際に思い出すのは「愛されたこと」だと即答していた沓子が
生涯をかけて貫いたのは、愛する人が幸せであること。
人生はいつでもやり直しがきく、遅過ぎるということはない・・・などというのは嘘だ。
その瞬間を逃すと、二度と手に入らなくなるものもたくさんある。
年の数だけ後悔が増えるまっとうな人生か、
多少道を踏み外しても自分の心に素直に生きる人生か。
どちらかを選べと言われたら、私は後者を選ぶ人間でありたい。

細かな難点もいくつかある。

・長い(134分)
・登場人物の感情の流れが突発的過ぎる
・有り得ない設定がチラホラ
・歯の浮くような台詞がチラホラ
・加藤雅也の老け芝居がコントのよう

この辺は破壊屋氏あたりが嬉々としてネタにしそうなので
それはそれで楽しみにしておくか。

12年振りの中山美穂は、多少年齢は感じるものの39歳とは思えない美しさ。
主演だからというだけでなく、彼女が登場しないシーンでは
いきなり冗長に感じるほど映画を引っ張っている。
中島美嘉の歌う「ALWAYS」を、出来れば中山美穂の歌で聴いてみたかった。
ちなみに、原田知世は42歳、小泉今日子は43歳、薬師丸ひろ子は45歳である。
すごいぞ、日本の女優陣。

発売中■BOOK:「サヨナライツカ / 辻仁成」
発売中■CD:「ALWAYS / 中島美嘉」

辻仁成の原作本(文庫)と、主題歌の「ALWAYS」。

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  タイトル:サヨナライツカ
    配給:アスミック・エース
   公開日:2010年1月23日
    監督:イ・ジェハン
    声優:中山美穂、西島秀俊、石田ゆり子、他
 公式サイト:http://sayo-itsu.com/
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