
(C)2008 Paramount Pictures Corporation and Warner Bros. Entertainment All Rights Reserved.
今回は、2月22に発表予定の本年度のアカデミー賞において
主要4部門を含む最多の13部門にノミネートされている大本命、
「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」を紹介しよう。
作品賞
主演男優賞(ブラッド・ピット)
助演女優賞(タラジ・P・ヘンソン)
監督賞(デヴィッド・フィンチャー)
脚色賞
撮影賞
編集賞
美術賞
衣装デザイン賞
メイクアップ賞
作曲賞
録音賞
視覚効果賞
1918年、ニューオーリンズでひとりの男の子が産まれた。
しかし、生まれながらにして80歳の老体で生まれた彼を恐れた父親は
とある老人養護施設で置き去りにしてしまう。
施設で働く女性クイニーの目に留まった彼はベンジャミンと名付けられ
多くの愛情を受けて育てられていく。
ベンジャミンの体の変化はまだ続いていた。
成長するにつれ、髪は増え、皺が減り、曲がっていた背筋も
次第に真っ直ぐに伸びていく。そう、彼は年と共に若返っているのだ。
監督は「パニック・ルーム」「ゾディアック」のデヴィッド・フィンチャー。
数奇な人生を歩む主人公ベンジャミンには、「セブン」「ファイト・クラブ」でも
フィンチャーとタッグを組んでいたブラッド・ピット。
ベンジャミンと人生を歩む女性デイジーには、
「エリザベス・ゴールデンエイジ」のケイト・ブランシェット。
ベンジャミンの養母となるクイニーを演じたタラジ・P・ヘンソンは
本年度のアカデミー助演女優賞にノミネートされている。
印象的な音楽は「クィーン」「ラスト、コーション」のアレクサンドル・デスプラ。
■YouTube:「ベンジャミン・バトン 数奇な人生 予告編」
この物語は、80歳の老体から徐々に若返る男の人生を描いた作品だが、
実は「若返り」を通じて「老い」を柔らかく描いた作品だと感じた。
数奇な運命ゆえ、老人ホームで余生にも似た少年時代を生きたベンジャミンは
幼くして「死」というものを緩やかに受け入れ、
その特別な運命を背負いながらも、義母の愛を受けて穏やかに生きていた。
普通の男と同じ様に恋をし、愛する人を見つけ、
出会いや別れを繰り返し、幸せと葛藤を噛み締める。
違うのは、自分は若返っていくが、周りの人々は老いていくということだけ。
その特別な体は、彼に普通の人生を送らせてはくれなかったが
人生の始まりも終わりも、何ら普通の人間と変わりないという、
とても普通な事を描いている。
この映画の凄さは、時間を逆回しにすることで見えてくる「老い」の姿。
そしてその「老い」に至るまでの人生には無意味なものなどひとつもなく、
全ては運命の積み重ねなのである、という明確な答えがあるところだ。
ベンジャミンは確かに特別な男だったが、周りの人々も皆どこかに特別な部分を持ち、
運命に人生を委ねているだけなのである。
昔は若さ溢れる熱血ゲーマーもいつしかジジィになり、
今こうしてブログを書いているのも何かの運命であるし、
この記事を読んでいる方々の人生にも、無意味なものなどひとつもない。
全ての人間が特別な何かを心に抱え、運命に揺られながら老いていくだけ。
必要なことは、自分の「特別」とは何なのかを自覚し、
それが小さかろうと大きかろうと、有りのままに受け入れて後悔せずに生きていくこと。
そして、その運命を共にする周りの人達と正面から向き合うことなのかもしれない。
ベンジャミンの恋人役を演じたケイト・ブランシェットは
相変わらず素晴らしかったが、どうしてブラッド・ピットも負けていない。
プライベートでも数奇な人生を送っているブラピなので、
設定からしてハマり役といえばそうなのだが、
ケイトと並んでも見劣りしないところに、役者としての彼の底力を感じた。
多くの登場人物が40年近い人生を入れ替え無しに演じているにも関わらず
映画全体から人生を感じてしまうくらいに、皆が普通に老いていくのは驚いた。
中でも養母のクイニーを演じたタラジ・P・ヘンソンの印象が強く、
彼女がアカデミーの助演女優賞にノミネートされたのも頷ける。
ベンジャミンが教えてくれたのは
特別であろうとなかろうと、人の行き着く先は同じだということ。
ゆっくりと瞼を閉じる瞬間に、寄り添う人と心が繋がっていれば
これ以上幸せなことなど、この世には無いのではなかろうか。
▼関連商品
■Book:「ベンジャミン・バトン 数奇な人生(角川文庫)」
■Book:「ベンジャミン・バトン 数奇な人生(イースト・プレス)」
■CD:「ベンジャミン・バトン 数奇な人生 オリジナル・サウンドトラック」
■BD:「ゾディアック ディレクターズ・カット」
■DVD:「ゾディアック 特別版」
原作本(文庫版とワイド版の2種類)と、サウンドトラック。
「ゾディアック」は、実際に起きた未解決事件を、膨大な資料をもとに再現した作品。
ともすると技巧に走り過ぎるフィンチャーが「じっくり撮る」ことに
比重を置き始めたのが、この「ゾディアック」からではないかと思う。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
タイトル:ベンジャミン・バトン 数奇な人生
配給:ワーナー
公開日:2009年2月7日
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/benjaminbutton/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★