オダギリジョー主演「ゆれる」2007年2月23日DVD発売決定 | 忍之閻魔帳

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■DVD:「ゆれる」

メジャー系の映画を好んで観る方に
「今年観た中で面白かった邦画は何ですか」と聞けば、
「THE・有頂天ホテル」「DEATH NOTE」「涙そうそう」
あたりが挙って来そうな気がする。

単館系を好んで観る方に同じ質問をすると、
挙って来るのはおそらく
「かもめ食堂」「フラガール」「ゆれる」がトップ3になるのではないか。
「フラガール」のような万人向け(というか日本人向け)の感動作でもなく、
「かもめ食堂」とは180度真逆に位置する
かなり重い作品だが、観終わった後に多くのことを考えさせられる傑作だ。

主演は、今や日本で一番忙しい俳優、オダギリジョー。
松尾スズキが脚本を手掛けることでも話題の
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」でも主役のボクを、
来春公開予定の実写版「蟲師」でも主役のギンコを演じている。

「ゆれる」は、私が敬愛する是枝裕和監督のもとで
助監督を務めていた西川美和監督の作品で、
劇場用作品は「蛇イチゴ」に続きこれが2作目。
田舎に嫌気がさし、都会で暮らす奔放な弟(オダギリジョー)と、
家業を継ぎ、実直に暮らす温厚な兄(香川照之)を結ぶ
深い信頼関係と、その裏に潜む激しい憎悪を
女性監督らしからぬ骨太な演出で描き出している。

オダギリの映画初主演作である「アカルイミライ」という映画でも、
浅野忠信と塀の内と外とで会話するシーンがあったのだが、
「アカルイミライ」の頃は明らかに浅野にリードされていたオダギリが、
本作では香川照之を向こうに回して火花を散らしている。
ここ数年で役者として大きく成長した証であろう。
ラストシーンの表情も含め、
2006年のオダギリジョーを代表する作品になることは間違いない。
映画好きなら絶対に観ておきたい作品だ。


■DVD:「蛇イチゴ」

西川美和監督のデビュー作。
デビュー作ながら手法は既に確立しており、
「ゆれる」と共通するテイストがふんだんに盛り込まれている。
どちらの作品も「森」で締めくくられているのが興味深い。


■DVD:「花よりもなほ 愛蔵版」

是枝裕和監督の最新作。
ちょうど来週発売。
時代劇のスタイルを借りてはいるが、
ここで描かれているのは「仇討ち」は何も生まない、という
非常にシンプルなもの。
ドキュメンタリーを多数手掛けてきた是枝監督らしい、
被害者の傷んだ心を包み込むような作品に仕上がっている。
主演の岡田准一が予想以上に好演。
はっきり言って「武士の一分」の数倍は面白い。


■DVD:「誰も知らない」

是枝監督の名を一気に世間に広めた傑作。
実際にあった事件をもとにしている。
出演者の素顔を引き出しつつ、
そうと意識させないようにストーリーを転がして行く
是枝マジックの真骨頂が見られる作品だ。