「ゲームのせいだ」と咎める大人達でさえも忘れかけている
人が人を殺めるということの意味を、
これらの映画で今一度見つめ直してみたい。
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■DVD:「ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション」
まずはこちら。
24日発売になる「ホテル・ルワンダ」から。
1994年、アフリカのルワンダで民族間の紛争が勃発、
たったの100日間で100万人もの民間人が虐殺された。
(日数部分にタイプミスがあったようだ。指摘感謝)
たかが小国の諍いと国連までもがこの事実から目を背け孤立無援となるルワンダ。
そんなルワンダで「ホテル・ルワンダ」の支配人をしていたポールは
ひとりでも多くの命を守る為に立ち上がる決意をする。
これは「アフリカのシンドラー」と呼ばれた男の姿を描いた実話である。
2004年度のアカデミーで主要3部門にノミネートされていながら、
「名も知らぬ国の出来事は共感を呼ばないため商売にならない」との判断で
日本の配給会社はどこも名乗りを上げず、
日本での公開は絶望視されていたのだが、
評判を聞きつけた一部の映画ファンが上映を求めて署名運動を開始、
単館ながら上映にこぎ着け、半年近くに渡る超ロングラン上映となった。
この映画の中で、私が忘れられない台詞がある。
「世界の人々は、ニュース映像を見て『怖いねえ』と会話した後、
また何事も無かったかのようにディナーに戻る。そんなものさ」
悲劇だとは思いながら、所詮は遠い国の出来事だと
他人事でいた己の無自覚をズバリと言い当てられたようで苦しかった。
ニュース映像の向こうで乱れ飛ぶ銃弾が
今日も確実に人の命を奪っているのだ。
この記事で初めてルワンダ大虐殺を知った方も、
「ホテル・ルワンダ」という映画の存在を知った方もいると思う。
もし、少しでも興味を持っていただけたなら絶対に観て欲しい。
世の中には、知らなくて良い事と、知っておかなくてはならない事がある。
エンドロールで流れる歌も素晴らしい。
観終わってすぐにサウンドトラックCDも購入してしまった。
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■DVD:「イノセント・ボイス 12歳の戦場」
こちらは少し前にも紹介したのだが、もう一度取り上げておこう。
13歳でアメリカに亡命した少年の手記を元にした作品。
12歳になると強制的に政府軍の兵士として徴集される
1980年代のエルサルバドルを生々しく描いている。
主人公チャバは現在11歳。狩り出されるまでの猶予期間はあと僅か。
銃声の鳴り止まない中で生活していながら、
河原でプロレスをし、憧れの女の子に淡い想いを抱き、
やっていることは日本の子供達と何ら変わりはない。
彼等の笑顔が輝けば輝くほど、「現実」が重くのしかかってくる。
こちらは既にDVDも発売中。
レンタルショップにも置いてあるはずなので是非ご覧いただきたい。
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■DVD:「バフマン・ゴバディ DVD-BOX」
本当は「亀も空を飛ぶ」という作品を紹介したいだけなのだが、
残念ながら単品では発売されておらず、このBOX内に収められている。
アメリカ軍のイラク侵攻が目前に迫る中、
イラク北部にあるクルディスタンで生きる子供達の姿を追った作品。
「12歳の戦場」と同じく、こちらも子供目線の戦争映画。
監督のバフマン・ゴバディはイランのクルド人。
「ホテル・ルワンダ」同様、テレビのニュースでは見られない
イラク内部の様子を克明に描きつつ、
悲劇一辺倒で終わらせないよう、少しのユーモアも織り交ぜている。
変則的な販売方法であることが悔やまれる。
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■DVD:「ランド・オブ・プレンティ スペシャル・エディション」
「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」の名匠・ヴィム・ヴェンダース作品。
アメリカ全土を揺るがした「9.11」そのものではなく、
「9.11の遺した物」を描いている。
「9.11」事件をきっかけにベトナム戦争を思い出し、
壊れてしまった叔父の言動が、
そのまま今のアメリカを表しているようにも思える。
こちらもエンディングが印象的。
かなりスローテンポな作品なので、じっくり落ち着いて映画を観る派の方に。
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■DVD:「父と暮せば」
■DVD:「黒木和雄 戦争レクイエム三部作DVD-BOX」
トリは日本ということで。
惜しくも遺作となってしまった「紙屋悦子の青春」が
12日に公開されたばかりの黒木和雄監督の作品。
BOXには「Tomorrow 明日」「美しい夏キリシマ」「父と暮せば」の3本が
収録されているのだが、私のお勧めは「Tomorrow」と「父と暮せば」。
「父と暮せば」は、井上ひさし原作の映画化。
宮沢りえと原田芳雄のほぼ二人芝居で展開する舞台色の強い作品で
原田芳雄をも圧倒する宮沢りえの名演が見物。
広島への原爆投下から3年が経過した今も、
自分だけが生き残ってしまった後ろめたさから解放されない美津江と、
そんな娘を励ますべく現れた父・竹造とのやり取りを描いている。
「Tomorrow」は、1945年8月9日、
長崎に原爆が投下される直前までを描いた作品。
原爆投下を知らずに何事もなく日々を過ごす人々を淡々と描き続け、
最後の最後で、長崎を「光」が包んで終了する。
光った後の姿を一切描かないことによって、
その瞬間、全てが「無」になってしまったことを強烈に印象づけるのだ。
私としては、本作が戦争を描いた邦画のNo.1だと思っているのだが
不思議なほど知名度が低いのが残念でならない。
「男たちのYAMATO」など観る暇があるなら、
絶対にこちらを観ておくべきだ。
レンタルにも置いてあると思うので、未見の方は是非。