蟻の一穴 | 忍之閻魔帳

忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)

ニンテンドーDSの発表から昨年末まで、
任天堂は何もかもが順風満帆であった。
業界の誰もが「何とかしなくては」という焦燥感を抱きつつも、
結局のところ何をして良いのか分からないまま
量的拡大で従来のユーザーを繋ぎ止めるしか出来ない中、
ニンテンドーDSはわずか1年で次々に新規層を開拓していった。

ハード発売時には「スーパーマリオ64 DS」や
「さわるメイドインワリオ」など、
知名度の高いキャタクターを使った作品で
ゲームユーザーの興味を引いておき、
年末年始の需要が一段落したあたりで
女性ユーザーを意識した「nintendogs」を発売、
5月には、より年齢層の高い社会人をターゲットにした
「脳を鍛える大人のDSトレーニング」「やわらかあたま塾」を、
夏商戦には、新色本体に合わせてキャラクターゲームの王道、
「JUMP SUPER STARS」を発売、秋口から年末にかけては
「だれでもアソビ大全」「おいでよ どうぶつの森」「マリオカートDS」
「もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング」など、
まさに全包囲網的なソフト展開で
発売2年目とは思えない、爆発的な売り上げを記録した。
3月2日の「DS Lite」の発売は、
DSの勢いをさらに増し、これまで築き上げてきたポジションを
ますます盤石なものとするはずであった。

が、

今回の「Lite」発売までのドタバタ劇で、
任天堂は自らDSの勢いに氷水をぶっかけてしまった気がする。
出荷数量が減少した理由や今後のスケジュールについては
憶測の域を出ないデマも随分と流れているようだが、
そんなユーザーに直接関係のない話はこの際どうでも良い。
問題は、2色の延期を決定した後の任天堂の対応の遅さだ。

今(2月26日深夜)の時点で、まだ「Lite」のCMは継続している。
昨年末に発売された「デッド・オア・アライブ4」も、
発売延期後も元の発売日表記のままCMが流れていたりしたが、
今回は何と言っても新型のハードである。
CM自体の投下量も、CMが与える誤解の規模も桁違いだ。

2色の発売延期については、任天堂としてもギリギリまで
検討した上での苦渋の決断であろうし、
商品として合格ラインに達していない物を強行に発売するよりは
まだマシだと私個人は思っている。
しかし、CMの差し替えぐらい出来るはずではないのか。
「Lite」の発売に合わせて相当数のCM枠を
押さえていたであろうことは想像に難くないが、
CMの取り止めや録り直しは出来なくとも、
「聖剣伝説DS」や「瞬間パズループ」「バテンカイトス2」など、
新作ソフトのCMと置き換えるぐらいのことは出来るはずだ。
今こうしている間にも、
「いよいよ来週発売だ」と思っているユーザーが増え続けていることを、
任天堂が気付いていないはずはあるまい。

DS好調の原動力になっているのは、
ゲーム雑誌やゲーム系のニュースサイトなどを
ほとんど見ないライトユーザーのはずだ。
ライトユーザーにとっての情報源は、ほぼCMのみと言っていい。
逆に言えば、CMさえ差し替えれば
混乱はかなり抑えられるはずなのだ。
3月2日までもうあと4日しかないというのに、
何故未だに従来通りのCMが流されているのか理解に苦しむ。

公式HPでの告知も地味過ぎであろう。
あれでは気付かない人も多いと思う。
クラブニンテンドーからも(今のところ私のところには)音沙汰なし。
登録ユーザーに延期を知らせるメールを出すぐらい、
発表と同時に出来たはずではないか。

企業の信頼度は、トラブルが発生するか・しないかより
発生した時の対応で決まるものだ。
今のCMを継続したまま発売日を迎えるようなことがあれば、
DSの今後に多大な影響を与える
「蟻の一穴」にもなり兼ねないと思うのだが。

【2月28日追記・TB紹介】

■「任天堂の約束」(すーきー’s キングダム)

クラブニンテンドーでプレゼントされていた
ミクロの2コン柄フェイスプレートの話から
今回の騒動までの意見がまとめられている。

■なんか、DS Liteが大変みたいですがー(さいばーぷらねっと)

気になったのはこの部分。

>常々、私もライトユーザーさんは取り込むに
>越したことないとは思ってるんですけど
>ゲームを作って売っての流れの中で
>必要不可欠な存在として位置付けて
>寄りかかってしまうには
>危険な存在だとも思ってるのでー(汗)

>「その程度で離れてしまうような層なんて
>計算に含めなくても、十分やっていける
>…と、いうのを見せてもらって
>ゲーム好き的に安心しときたいー♪」
>…なんて願望みたいなものも
>実は、ちょっとあったりしてー(苦笑)

半分だけ同意、という感じ。
私は「ゲームが好き」ではなく
「面白いこと(もの)が好き」という
ユーザーの掘り起こしに成功したからこそ
DSの躍進があったものと考えているのだ。
「脳トレ」を購入したシルバー世代の多くは
「DS」を「ゲーム機」として位置づけていない気すらする。
「その程度で離れてしまうような層」を取り込んで初めて
ムーブメントが起こるのだと思うのだが。

3月1日、さいばぱん子殿より再び回答がアップされていた。
回りくどいやり方にお付き合いいただき感謝。
今回の追記を読ませていただいて、
私が何故PS2の品不足の時にどうも思わなかったのか分かった。
ここ1~2年の任天堂があまりにも用意周到過ぎて、
今さらこんなところで躓くとは思っていなかったのだと思う。
今の任天堂なら、過度の期待をかけても応えてくれると、
そういう段階に上りつつあったので
余計に過剰反応してしまったのかも知れぬ。

■hokorobi(珈琲おいしい)

こちらの記事中でも取り上げられている、

>「ゲームボーイ ミクロを『諦める』という発表が
>同日中に判明したことにより、
>『MOTHERファンを利用したゲームボーイ ミクロの在庫解消だ』などの
>批判を生みMOTHERファンの皆さんの反感を買ってしまった
> 『MOTHER3 DELUXE BOX(デラックスボックス)』」



>一部では工場がえらいことに!なんてのも聞きましたが
>ソレも噂の範囲を出ませんし。

についてだが、
「諦める」というのは任天堂の発表ではなく、
勝手な解釈に過ぎない。工場の件にしても同じだ。
「噂」は「噂」として処理して欲しい。
広がり過ぎた「噂」は、
いつの間にか「真実、のようもの」になってしまうものなので。