楳図の傑作「神の左手、悪魔の右手」が映画化 | 忍之閻魔帳

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楳図かずお
神の左手悪魔の右手 (3)「黒い絵本」収録


■「金子修介監督:那須監督メガホンを継承 楳図ホラー映画化」(毎日)

敬愛する楳図かずお作品の中でも最高傑作だと思っていた
「神の左手、悪魔の右手」が実写で映画化される日が来ようとは。
ヒロイン役を渋谷飛鳥が演じるということで
年齢的にも「錆びたハサミ」か「影亡者」あたりではないかと思っていたのだが、
公式サイトのトップ画面が「黒い絵本」の冒頭に出て来る
パパの描いた絵本からの引用でさらに驚いた。
「黒い絵本」は、「神の左手~」の中でも私の一番のお気に入りなのだ。
今でもすぐ手に取って読める所に置いている
「神の左手」の文庫版(全4巻)の3巻に収録されている「黒い絵本」は、
私に「トラウマ」というものを初めて叩き込んだ心底恐い作品である。
初めて読んでからしばらく、私はショートケーキが食べられなかった。
この年齢になるまで、映画、コミック、小説と、
数え切れないほどの「ホラー作品」に触れてきたが、
未だに「黒い絵本」を超える作品には出会っていない。
(より残虐というだけの物なら掃いて捨てるほどあったが)
「漂流教室」や「おろち」など、楳図作品はテーマ性の深い傑作も多いが、
「恐さ」だけで選ぶなら間違いなく「神の左手」が最高峰であろう。

渋谷飛鳥が演じるのは、原作では主人公である想の姉、泉であり、
本作では想を助ける為に泉が奔走するというストーリーになっているらしい。
想(少年)から泉(少女)に主役が変わっているのは、
「クロスファイア」の矢田亜希子、
「ガメラ」の前田愛、「あずみ2」の上戸彩など、
「女の子を可愛く撮りたい」と公言している
金子修介監督ならではのアレンジと言えそうだ。

狂気の父親を演じるのは「プロジェクトX」での
朴訥としたナレーションでも知られている田口トモロヲ。
ハマればホラー界最恐のキャラクターにもなれる
上手いキャスティングだと思う。

亡くなった方を悪く言うのは失礼だと重々承知ではあるが、
個人的には那須監督から変更になってホッとしている。
那須監督の遺作と言えば、あの「デビルマン」である。
「神の左手」で「ほわーーーん」を再現されてはたまらない。
そんなことにでもなれば、
今度こそ私が那須邸を焼き払いに行かなくてはならなくなる。
夫人の那須真知子が脚本を手掛けていないことも、
私にとっては安心材料のひとつだ。

楳図作品は原作には傑作が多いものの、
映画化、ドラマ化となると「漂流教室」しかり「洗礼」しかり、
どうにもパッとしない物が多い。
金子監督の手腕に期待するしかないのだが、
完成が楽しみなような、そうでないような。

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本館過去ログ:「愛がないなら原作物に手を出すな『デビルマン』」

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  タイトル:神の左手、悪魔の右手
    配給:東芝エンタテイメント
   公開日:2006年
    監督:金子修介
    出演:渋谷飛鳥、前田愛、清水萌々子、紗綾、田口トモロヲ、他
 公式サイト:http://www.kaminohidarite.com/
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