「こと整体や進化体操などの身体調整、そのほか武術やスポーツ、ダンスや楽器演奏などの身体操作において、皮膚感覚や触覚を主にした「体感型イメージトレーニング」は、あなたのナチュラルな能力を引き出すのにものすごく有効です」
ということを前回書きました。
イメージという言葉を検索してみると
「像」「彫像」「画像」「聖像」「偶像」「心像」などを指す英単語である。
日本において単に「イメージ」と言った場合は「心に思い浮かべた映像」や「~の様に思い浮かべた」「全体的に心に抱く印象」という意味で使われる事が多い。
と、ありました。
だから、いわゆるスポーツなどに取り入れられている「イメージトレーニング」というのは、勝利した時などの「映像」が主体になるのは当たり前です。名は体を表しているのです。
しかし、整体や進化体操の改善のための試行錯誤を山のようにしている中で「うまくいく方法」を並べていくと、いい結果を招くために別に映像にこだわることは無いじゃないかとなったわけです。
成功のためのイメージトレーニングというのは、要するに「実際には起こっていないことをあたかも起こっているかのように脳に錯覚させる技術だ」言えます。なおかつ何日か、何週間か、何か月か、何年か後の映像を思い浮かべるということが多いようです。将来未来の映像なわけです。
たしかに人間の五感の中で、もっとも遠くにあるものを認識できるのが視覚ですから、将来の成功という「遠くにあるもの」をとらえるなら、視覚を使うのは有効だろうとも思うのです。
でもこと整体や進化体操(からだの使い方)の講習という日々の中で、「10年後には整体のチャンピオンになるぞ」という成功イメージは最優先にはなりません。今目の前にいる人への手当てをもっと効果的にするにはどうしたらいいか、適格にするにはづしたらいいかという「ただ今」の改善が最優先です。
一番遠くにあるものをとらえるのが得意なのが視覚なら、一番近くにあるものをとらえるのが得意なのは「触覚」です。得意と言うより、距離がゼロでないと感じられない。距離を時間に置き換えれば、時間がゼロというのは「今」なのです。
だから「今日ただいまやっていること」を改善するのに、触覚を盛り込むことで、想像できない速さで技術の改善が進むのはそういう関連があるのかもしれません。
触覚と表現していますが、もう少し広く「皮膚感覚」という表現の方が今講習に取り入れていることに近いかもしれません。そしてこの「肌で感じるもの」という感覚が日本人は長けているのではないかと思い当るのです。
町工場の職人さんの話です。
精密機械で削っても百分の一ミリまでの精度までしか平らにできない。ところが熟練の職人さんの手は、「ここが分厚いから削り直し」ということが千分の一ミリで分かると言います。ドラマ「下町ロケット」でも出てきたセリフですが、実際に町工場のおやじさんが書いた本で読んだことがある話です。
遠い将来の成功を映像イメージで描くのが西洋的なイメージトレーニングなら、今日ただいまの「今やっていること」を皮膚感覚のイメージで改善を図るのが「和のイメージトレーニング」。イメージトレーニングという言葉を当てるのは違うかもしれませんが、ものすごい可能性を感じています。
今、愛知講習会の昼休みです。朝の二時間の講習を初めて受けた人同士が、とろかせあっています。触覚イメージを使うと全然違います。