クライアントさんに多いのが、「肩と背中が痛い」という訴えです。

背中、特に上部が圧倒的なのですが、背中でも肩甲骨周辺という場合が殆どです。

ボディセラピストは、大抵、肩こりと肩甲骨周辺の凝りをセットで考えています。

 

肩甲骨周辺と肩こりにどんな関係があるのでしょうか?

 

関係どころか切っても切れない縁、のようなものです(笑

 

肩こりが強い人に多いのが「肩甲骨が正しい場所にいない」ことが多いようです。

肩甲骨というのはぶら下がっているだけです。何かの骨に付いている訳ではありません。人体の中でも特殊な骨です。

 

役割としては、肩と腕の運動や安定性において重要な役目を果たします。

 

1番目として、腕の動きのサポートをします。

肩甲骨は腕の広範な動きを可能にします。肩甲骨が動くことで、肩関節の可動域が広がり、腕を前後左右、上下に動かすことが出来ます。

 

2番目として、筋肉の付着点です。

肩甲骨は多くの筋肉の付着点となっており、肩と腕の動きを調節します。例えば、僧帽筋や菱形筋、前鋸筋などが肩甲骨に付着しています。

 

3番めとして、肩関節の安定性です。

肩甲骨は肩関節の安定性を保つ役割を果たします。肩甲骨と鎖骨が一緒に動くことで、肩関節の位置を安定させます。

 

4番目として、力の伝道です。

肩甲骨は体感から腕に力を伝達する役目も果たします。これにより、腕や手で物を持ち上げたり押したりする動作が効率的に行えます。

 

最後に、姿勢の維持です。

肩甲骨の位置と動きは姿勢に大きな影響を与えます。肩甲骨が正しい位置にあることで、背骨の自然なカーブが維持され、良い姿勢が保たれます。

 

肩甲骨はこれらの機能を通じて、日常生活の様々な動作やスポーツにおいて重要な役割を果たしているのです。

 

このようにたくさんの役割と重要な役割があるのが肩甲骨ですが、最後の「姿勢の維持」という重要な役目を担っているにも関わらず、正しい位置に肩甲骨がない人が多いのが現状です。

 

どうして正しい位置からずれてしまうのかというと、「凝りが強い」ことが原因で、凝っている筋肉群に引っ張られてしまった結果、ぶら下がっているだけの肩甲骨が下にズレたり、横にズレたりしてしまうのです。

 

パソコンやスマホの時間が長いことで、腕の疲労や目の疲労から姿勢が崩れ、段々と凝りに発展して、という話は第1話でしました。大抵、姿勢の崩れは巻肩になることが多いのです。

 

巻肩になると肩甲骨が横にズレてしまいます。横にズレることで左右の肩甲骨が広がってしまいます。すると、不思議なことに肩こりが強く出てきます。パソコンの作業中やスマホの操作中のみ巻肩になっていると、その時だけ凝りが強く出るのですが、これが癖になり、常時巻肩になっていると何もせずとも肩こりに襲われます。というよりも、慢性肩こりになってしまいます。

 

この状態が続くと横にズレたまま段々と肩甲骨は下にもズレるようになります。すると背中が丸まってしまいます。年齢を重ねたご年配の方が背中が丸まっているのを見かけますが、あれは長い時間を掛けた凝りと癖でそのような姿勢になるのです。

 

もうこうなってしまうと中々元に戻せません。癖は筋肉だけでなく、骨という骨格に関係してくるので余程の筋トレでもして筋肉に引っ張られないと戻せません。

 

そしてもう一つ、第3話で書いたように肩甲骨周辺が凝ると肋骨部分が凝ってしまいます。すると呼吸と関係しますので、更に凝りは進みます。

 

ぶら下がっているだけの肩甲骨ですが、肩こりとは切っても切れない関係です。

しっかりと筋肉で保持されないとアチコチいってしまうので厄介です。

男性よりも女性の方が肩こりが多いのは全身の筋肉量の差です。女性の方が筋肉量が少ないので、ぶら下がった肩甲骨がアチコチにいきやすいのです。

 

「羽根」とも形容される肩甲骨ですが、肩甲骨周辺に凝りがないと本当に羽が生えたように軽くなるものです。是非ともケアしてみてください。

 

軽い運動、入浴、筋トレなどが有効です。

一つしかない大切なお身体を労わってあげて下さいませ。