180秒の熱量
山本草介著
双葉文庫
750円税別
不詳私が後援会長を務めた
ミドル級ボクサー米澤重隆君は
元アマチュアレスリングの選手
インカレで2位までの実績を残しつつ
大学卒業後も現役にこだわり
とはいっても実業団のチームに入ることなく
現役を続けた。
こういうことが選手にとってどれほど大変なことか
なんとなく理解はできるが
その後総合格闘技に移ったり
しているうちに
入門したボクシングジムからプロ転向を打診された。
それが30歳を過ぎてからのことで…
その米澤選手の試合を見たのが13年前の冬で
私はその時、
野球をやめて合気道を始めることを決意した直後だった。
運動実績豊富なサラリーマンボクサーに率直に感動して
ブログにそれを記した。
そこから長い付き合いが始まることになった。
競技生活について話を聞き
自分の野球から合気道に転向した時期の
不安定な気持ちを和ましていた。
「37歳の引退までどこまで行けるか頑張る」
当時33歳だった米澤選手とは
頻繁に交流して励まし合っていた。
当時の米澤選手との話題といえば
格闘技初体験の競技者として
その点では米澤選手は先輩に当たる。
一度目の選手経験から引退し
新しい競技を始めるという心境
セカンドキャリアなどについてだった。
いろいろと議論を重ねるたびに感じたのが
米澤選手のインテリジェンスだ。
スポーツ選手は勉強しないなんて
イメージが付いて回っていた時代に過ごした私にとって
はじめて感じる知的な会話だった。
もちろん恩師である谷沢健一先生との交流でも
その手のやり取りは感じていた。
でも、
谷沢先生から受け取っていたのは
トップアスリートの現場の緊張感が第一だ。
そんな中で谷沢健一先生が何を考え何をしていたか。
そこには一般人が感じ取るのが大変困難な
独特の世界がることだ。
谷沢健一先生がほかの野球選手が見せることがない
高い教養をアスリートの経験の中に入れて表現しているのに感心したものだ。
同じことを米澤選手に感じた。
どんな現場の出も最高技術に達した方々は
一般人では感じることのできない
独特の世界にいる。
それはぼんやりと過ごすだけでは感じ取れない
独特の世界なのだとしみじみ感じた。
研鑽せねば高みには登れない。
当たり前といえば当たり前のことを
はじめて感じることができた。