では、愛知大学国際問題研究所と愛知学院大学文学部准教授広中一成が傀儡政権を「対日協力政権」ということが誤りであることを指摘します。

         文書内に赤字で書きましたように、全て日本軍の指導下にあります。

 

文書は、1941年の

中国側軍隊其他の武装団体の状況竝に其の指導概況

です。

         国立公文書館 アジア歴史資料センターにあります。

(原文をデジタル化した。旧漢字カタカナ書き縦書き、差別用語を変え、洋数字、西暦に変えた。また「皈順」を帰順に変えた。)

          地図は著作権があるので、示すことができない。

 

 

 

 
1. 治安総署(綏靖軍総司令部)

 

      綏靖(すいせい)は「治安維持」の漢語です。

 

1、 治安総署は華北政務委員会組織条例並に之に基く治安総署組織大綱に依り「華北治安事務を管理す」る公署にして左6局2処を置く

1、総務局(庶務関係)

2、軍諮局(作戦、情報、運輸、交通に関する事項)

3、軍務局(人事、編成、兵器に関する事項)

4、軍学局(教育関係事項)

5、軍需局(経理関係事項)

6、警政局(警察関係事項)

7、軍医処

8、軍法処

 

2、 治安総署は陸軍上将斉燮元を督弁、陸軍中将社賜釣を署長とし各局長は少将、処長は上校を以て之に充てあり

 

3、 治安総署は軍令、軍政、教育の1切を掌る。別に統帥機関として華北政務委員会組織条例第11条「本会は華北の治安を維持する為綏靖軍を設置し且之を指揮することを得

華北綏靖軍に総司令1名を置き治安総署督弁をして之を兼任せしむ」に拠り華北綏靖軍総司令部を設け左の職員を置く(略)

 

4、 現在華北綏靖軍総司令部の職員は全部治安総署の職員を以て兼任せしめありて専任の人員を設けず

 

5、 警察(警察、警備隊)の中央統轄機関たる警政局は本来内務総署に隷属すべきものなるが軍隊と警察警備隊は治安維持の為密接なる連繋を保持するを要する現況に在るを以て暫行的に警政局を治安総署に隷属せしめありて其指導は顧問部附兼勤憲兵将校をして之に当らしめあり

 

6、 治安総署(綏靖軍総司令部)の指導は軍事顧問竝に顧問輔佐官たる顧問部々員に於て之に任しあり、督弁以下概ね能く顧問竝輔佐官の指導に従ひ両者の関係円滑なり

 

 

 2.  学校

 

 

1、 華北に新設する軍隊の幹部を養成する為左の学校を設く

(以下2、から6、の見出しのもの)

 

2、 陸軍軍官学校は1938年6月創設し初級士官たるべき学生を教育す

学生の状況は左の如し

第1期生  (1939年10月卒業)    約350名

第2期生  (1940年10月卒業)    約950名

第3期生  (目下教育中にして本年(1941年)10月卒業の予定) 約800名

 

3、 陸軍軍士教導団は下士官の養成機関なり

第1期生  (1939年3月開始  同年10月卒業)        約800名

第2期生  (1940年6月開始  同年10月卒業)        約1600名

第3期生  (1941年7月開始  同年10月卒業予定)     約800名

 

4、 陸軍軍官隊は中級軍官補充の為嘗て軍官たりし者を募集し之に再教育を施したる上治安軍の校官上尉に充当する機関にして教育期間は約1ヶ年なり

第1期生  (1939年10月卒業)                     約170名

第2期生  (1940年10月卒業)                     約180名

第3期生  (目下教育中にして1941年10月卒業の予定)  約90名

 

5、 各種訓練班(経理、軍医、獣医、軍法、訳務の各班)は軍官相当官の養成機関にして各々専門の学校卒業者を採用し約1ヶ年教育の上経理官、軍医、獣医、通訳官等に任用す

 

6、 陸軍憲兵学校は華北憲兵の補充教育竝再教育期間なり

 

7、 各学校には顧問部配属の日本将校竝治安総署庸聘の日系教官を配し中国側の教育指導に任ぜしめあり

 

 

 3.  治安軍

 

 

1、 1938年末の大陸指示「華北方面軍占拠地域に於ける武装団体指導要綱」には具体的兵数を指示せられあらざりしが方面軍に於ては概ね十万を標準とし建設に着手せり

2、 然るに本年(1941年)1月大陸指第824号「中国側武装団体の整備竝指導要綱」に依り当分の内  華北治安軍約10万以内(剿共軍等を含む)

         と示され華北行政機関の財政状態、地方の特性、治安の状況等を考慮して決定する如く定められ方面軍が従来計画実施し来れる所と吻合するに至れり

 

3、 建軍概況

1.編制

イ、集団を以て最大の単位とす  集団は司令部及2ヶ団より成る

ロ、団は3ヶ営と機関銃、迫撃砲、通信各1ヶ連より成る

ハ、営は3ヶ連、連は3ヶ排、排は3ヶ班(小銃2班軽機1班)より成る

ニ、1ヶ連の人員は137名、1ヶ団は1811名なり

 

2.第1期建軍

1939年8ヶ団(15000)を編成し約1ヶ年教育訓練の後昨年10月以来討伐警備に従事せしめあり

 

3.第2期建軍

1940年末14団(26000)を編成し目下教育訓練中にして本年10月頃警備に就かしむる予定なり

 

4.第3期建軍

        本年末新に編成すべき兵力は6ヶ団(11000)の計画にして目下準備中なり

 

4、 治安軍の素質

1.集団指令、団長

        指令及団長は日本又は支那の士官学校又は軍官学校其他正規の陸軍の学校を卒業し嘗て旅長団長等の職に在りたる者にして経歴竝其人物は概して可なり

 

2.営長級

        旧軍官を募集し軍官隊に於て再教育をなせるもの大部分を占めあるも素質、能力に径庭あり治安軍全般を通じ此階級に属するものに於て最も能力低下しあるものと認む

 

3.連長級

        連長級は軍官学校第1期生と軍官隊出身者、各々概ね半数宛占めあり

        前者は新進溌剌討伐行動勇敢なるも年齢経験少く思慮周密ならざる点あり    後者は之に反す

 

4.排長級

       全部軍官学校第1、第2期生にして新進の意気に燃えつつあるも実戦の経験少く部下の統率未だ十分と認め難し

 

5.軍士級

        全部軍士教導団卒業者にして概ね純朴真摯なり

6.兵

        各兵団に依頼し募集せるものにして大部分は農民の子弟にて純朴にして困苦に堪へ旧軍隊の兵の如き悪習を有せず、但し各郷村に対し義務的に人員を配布し募集せるものなるを以て本人の自由意志に依らざるもの約半数に達しあり、之れが為昨1年間に逃亡者約1割5分を生ぜり

 

7.結論

         之を要するに治安軍は創設日尚浅く光輝ある歴史を有せず、団結未だ拳固ならざるも旧軍閥の悪風より概ね脱却し戦力亦漸次増加しつつあるを以て将来の指導訓練により治安維持の為有効に使用し得る軍隊たり得るものと認む

         6月29日遷安(地名)南方4km瓜村(地名)附近に於て橋梁警備に任じありし1ヶ連が連長を殺害逃亡せる事件を出したるは遺憾にして目下其真相調査中なり

 

5、 治安軍の配置

        治安軍の従来の配置並現在の配置は別紙要図第1乃至第3の如し(地図略)

         要図第3の如く第1次建設の7ヶ団は本年5月以来之を冀東地区に配置し数県の警備を担任し相当の成績を収めつつあり

之が指導の為戦闘司令所(行営及顧問部出張所)を濼県(地名)に開設しあり

 

6、 治安軍の指導

        集団司令部団本部には日本軍佐官若くは大尉1名団内の各営には中少尉1名宛配属し之が指導に任ぜしめあ

 

 

 4.  憲兵

 

       北京に憲兵約700名あり。事変前より北京に駐屯しありし旧兵大部を占む、之が指導の為日本憲兵佐官2名を附属しあり

 

 

 5.  警防隊

 

      元冀東政府所属保安隊を改編せるものにして目下兵力約4000にして現在京古線(京承铁路前身)密雲、平谷(いずれも地名)附近の警備を担任しあり。

       該部隊は従来相当の功績あるを以て本年末頃警備を治安軍交代せしめ一地に集結し不良者を淘汰訓練の後之を治安軍に改編する予定なり

      司令王鉄(人名)は阿片癮者にして幹部中にも悪癖を有するものあり成るべく速に不良幹部を裁撤し軍容の一新を図るの要あり

 

 

 6.  剿共軍

 

1、 帰順匪団中兵力大にして素質比較的良好なりしものを臨時政府治安部の所管とし政府より毎月一定の軍費を支給し所在日本軍の指揮下に治安警備に任ぜしめ来れる剿共軍とす

        現在剿共第1、第2、第3路軍あり兵力約8000人其素質は第1路軍以外は概ね良好なり、将来逐次内容を整理し良好なるものは治安軍隊を改編せる計画なり

        軍費は首領に対する請負制度にして治安総署の支出する金は半額約250万円なり

         該部隊の指導は顧問部として直接実施せず各兵団毎に実施しあり

 

 

 7.  其他

 

1、 皇協軍

        帰順匪団中兵力多く素質比較的良好と認められしものは前述の如く剿共軍なる名称を与え華北政務委員会より固定軍費を支給し来れるか其他の帰順匪団は方面軍にて治安費として華北政務委員会より受預しある経費中より暫行的に軍費を支給し逐次之を整理解消する如く指導しあり、斯くの如き帰順匪は1般に皇協軍なる名称を以て称呼せられあり

        其兵力約17000なり

        右部隊の指導は各兵団に於て実施し軍事顧問部は其指導に関与しあらず

 

2、 和平救国軍

        開封―徐州間隴海鉄道沿線に和平救国軍と称する帰順軍約25000あり、其指導は参謀部第2課之を任ず

3、 一般帰順軍は其素質剿共軍と同様若くは夫れ以下にして           之に大なる期待を懸くる能はざるのみならず治安回復せる地域に駐屯せしむるときは県政の発達を阻害する虞尠からず

 

 

 8.  警察警備隊の現況

 

1、 県警備隊は県の自衛力強化の目的を以て県保衛団県警備隊等を1律に改編せるものにして方面軍としては治安軍隊の創設と共に極めて重要視来れり目下各県の現況左表の如し

         県警備隊現況表                         1941年3月30日調

 
                

備考  1、山東省は省警備隊を含む

           2、河北省の一部は重軽機・自小の調査を欠く

           3、山西省は治安維持会9を含む

                   4、山西省は4月末現在

        指導は各県駐在の日本軍隊之に当り之に対する中央統轄機関は治安総署にして其指導は軍事顧問部之に任じあり

 

2、 警察は河北及山東省等に在りては其人員装備に於て既に事変開始前の状態に復帰しあり其能力向上の為各省及道に警察訓練所を設け警察官の再教育及補充警察官の教育を実施しありて訓練所には日本側教官(憲兵又は警察官出身)を入れて指導しあり

 

3、 省及特別市公署に於ける警察業務の指導の為めに数名の専員(憲兵又は警察官出身)を入れあり、又各県警察の指導は各県城に駐屯しある現役日本憲兵之に任じあり

 

4、 華北警察全般の中央統轄は治安総署内の警務局にして其指導は軍事顧問部之に当る

5、 警察の現況左表の如し

警察現況表                                    1941年3月31日調

備考  1、河北省の1部は機銃の調査を欠く

           2、山西省は治安維持会11を含む

 

 

 9.  結言

 

         軍事顧問部長は軍司令官に隷属し参謀長の指示を受け現役将校6名(部長を含む)特別志願及予備役将校98名、庸聘職員27名、合計131名を指揮し政府顧問約定、軍事顧問服務章程に拠り華北政務委員会治安総署の所管事項に関する指導に任じあり

         中国側軍隊の育成指導に関しては新兵を主体とし装備は小銃、軽重機迫撃砲を以てし当分の間我占拠地域の治安粛正に協力し郷土の自衛安民を主眼とし、既に第1、第2期の建設を終り第1期建設部隊が警備に就き得るに至れば方面軍粛正建設計画に基き冀東道全部の警備負担するに至るべし

         唯予算の関係上将来の兵力増加には相当の困難を伴うべく大本営指示の如く十万の治安軍を建設するには相当の時日を要するものと思考す、尚軍事教官要員目下既に不足を感じあり軍隊の増加に伴ひ益々不足を感ずるを以て尚150名を増員する如く陸軍省に申請中なり

         治安軍の素質に関しては既述の如くにして其戦力は固より十分ならざるも訓練を重ぬるに従ひ優良なる軍隊となり日本軍の一翼として華北の治安に任じ得べきは信じて疑はざる所なり

         特に中国在来の旧式軍の如く日本軍官憲に対し社交的態度巧妙にして表面を糊塗し暗々裡に人民を搾取するが如きこと無からしむる件に関しては顧問部の指導上特別に重要視する所にして目下此点は概ね理想