歴史修正主義「東京裁判史観の克服」がいかに他愛ないか、講演のまとめです。

ブックレットで55頁ですから、すぐに読めますから、皆さんもぜひお読む下さい。2019年8月7日 / 岩波書店発行。

 

先ず吉田さんは、日本人のアメリカへの意識を大切にされます。

「戦時下においてもアメリカのに対してはある種の憧れのまなざしがあった。日本の近代化の一つのモデルと考えている。

 

そこでアメリカは軍国主義者は批判するが、天応を犠牲者として描く。戦争の責任は国民全体でなく、国家指導者が負うべきと、考えます。私は、戦前は天皇主権ですから当然昭和天皇に戦争責任があると思いますが、アメリカの最初の占領政策はこういうものです。

 

東京裁判の意義は以下の通り。

1.国際人道法の発展に寄与した。

2.戦争犯罪の非常に生生しい実態を明らかにした。

3.違法な上官の命令に対しては不服従を貫くべき。

 

しかし東京裁判の限界もあります。

1.冷戦の論理から第二次,第三次裁判が予定されていましたが、放棄されます。私は岸信介が釈放されたのもこの一つだと思います。

2.東京裁判は「日本アメリカ合作」の政治裁判でした。日本アメリカ協力し合いながらすべての責任を軍部、特に陸軍に押し付け、そして天皇を免責しました。

東京裁判の判決は連合国側の一方的な押し付けでなく、日本側弁護団の反証などにより「陸軍強硬 / 海軍穏健」という歴史認識が形成されたということです。

 

では国民の受け止め方はどうか。消極的受容です。サンフランシスコ講和条約に、日本の戦争責任に対する明示的な条項はどこにもありません。戦後日本では、対外的にはサンフランシスコ講和条約第11条で最低限の戦争責任を認めた上で、国内では全く不問に付すのです。

 

ここへ1980年代以降「東京裁判史観の克服」という言説が出てきます。ただし、歴史修正主義者には大きな限界があります。日米同盟基軸論の立場にあるため、アメリカ主導の東京裁判を否定しきれないのです。