では13回目の授業
2-11. アジアの植民地化と抵抗
だいたい4つの社会変革事業、しかも時代がことなるものをひとくくりにして教えるということ自体に無理がある。1事件10分。
時系列を考え、中国史,オランダ領東アメリカ,アメリカ領フィリピン,ヴェトナムの各国史で考えないと、歴史の本質は見えない。科目「歴史総合」の本質が見える
(1) 本当はこの本が良い。それは史実に関してであって、副題のように皇帝なき挫折と政治批判している。これは一般に現代日本の中国史研究者の共通する姿勢である。
ただし2020年12月発行で考察している「『歴史総合』の授業」より新しい。そこで同じく菊池秀明の「ラストエンペラーと近代中国 / 2005年9月」を用いる。
太平天国の乱は、洗礼を受けていない洪秀全(hóngxiùquán)が起こした。拝上帝教とは、上帝という中国古代からの名称を用い、すれすれのところで禁教にならず、むしろ中国民間信仰の現世利益的要素を付け加えたものである。
1851年3月に洪秀全は天王に即位し、行き場をうしなった客家(粤語の発音でハッカ)を集め、金田村(jīntiáncūn)から約1万人で清軍に挙兵した。20万人以上の兵力で南京(nánjīng)を占領天京とした。
「探究活動で『天朝田畝制度』から考えてみよう」とするが、この制度は「その復古的な内容ゆえに有効な社会建設のプランとはならなかった」(菊池:講談社/44頁)
むしろ郷勇(乡勇;xiāngyǒng)の活躍、常勝軍の活躍は何かを知るべきである。そうでないと第二次鴉片戦争も分からない。
(2) 「近代化と現代的な諸課題」という学習指導要領の内容に対し、アジア各地民族の近代化(植民地化)への反抗ということでこの2-11節があると思う。しかしちょっと無理が多い。
オランダのインドネシア支配と独立運動は現行の「高校世界史用語集」ですらジャワ戦争, 強制栽培制度, イスラーム同盟, 劉永福, 黒旗軍しかない。
が良い。
ではオランダ領東インド。ぼくはマラヤ語が出来るが、インドネシアでも通じる。理由は石出法太が言うようにオランダとイギリスがマラッカ海峡でマラヤ人を人為的に区切ったからである。高校教員時代、マレーシア人の教え子に開国について書きなさいと言ったところ、「スマトラのパレンバン王族出身者が……マラッカ海峡を渡り、建国したと言われる。」(東南アジア史10講 / (岩波新書(新赤版) ; 1883) / 古田元夫 / 2021年6月)
と書いた。
かように西方諸国の近代化の嵐は、民族まで引きちぎる。
オランダ領東インドはジャワ島のジャワ戦争によって東インド政庁の財政悪化を生み出した事件。その後1830年代からジャワ島を中心に強制栽培制度が行われ、人口増加につながった。
1912年にイスラーム同盟が作られ、「1920年代に入って、オランダ植民地支配を覆してつくる新しい国家の名称にふさわしい」とされた(古田:125頁)
残されたマラヤ半島はどうなるか? 錫の採掘に華僑が決定的だった。
(3) スペイン領フィリピン
フィリピンの植民地支配は、クリオーリョ(植民地生まれの白人), メスティーソ(白人と先住民の混血)と比較的富裕なインディオ(先住民)で行われ近代教育が行われ、スペイン留学した。そのなかに1892年にフィリピンに帰ったホセ リサールであった。1996年に銃殺された。「独立の父」である。
(ホセ リサール記念碑:マニラ)
実際にスペインからの独立してからの状況は「『歴史総合』の授業」を考察する通り(60頁)。
(4) アジアの植民地化と抵抗--劉永福のたたかい。古田元夫は黒旗軍と劉永福を評価していない。北部国境地帯は「太平天国の流れをくむ黒旗軍などの華人武装集団が跋扈する地域だった」(古田:99頁)。つまり清フランス戦争の結果、フランスの植民地になったことに起因する。



