川島真;服部龍二 著/名古屋大学出版会/2007年6月 である。

いわば「日中歴史共同研究」の日本側主張の下地となった研究書の一つである。章ごとに質問があり、大学での教科書を意識している。

 

1. 琉球王国に関する著述がない。

彼ら諸研究者は、琉球処分は内政問題であって国際政治史ではないと考えたのであろう。しかし「近代東アジア史のなかの琉球併合/波平恒男/岩波書店/2014年6月」を見よ。日清修好条規下の琉球処分は、明らかに琉球王国を日本国に併合する施策であった。

でなければ、琉球国王を東京に拉致する必要もなかった。独立派を根絶やしにする必要はない。

 

2. 日清戦争(中日甲午战争)の評価が甘い。

「朝廷の宮廷を武力占領(京城事件)し傀儡政権を樹立した」(60頁)と述べるだけで、この1845年7月23日戦争もしくは王宮占領事件の歴史的意義を探求していない。

台湾征服戦争に至っては、「『支配』に対する『抵抗』は、以後の日本の植民地支配,占領をめぐる、当地の人びとの主体的表現をしている。だが、そうした抵抗だけが当地の人びとの歴史における主体性を表現するものでない(61頁)として、以後植民地人として差別される行為を、自ら否定している。

 

3. 日本は日清戦争後には既に帝国主義国家となっている。

辛丑和约(北京議定書)後に日本は帝国主義国家の仲間入りをしたのか? 「『半植民地』中国における反乱鎮圧の側に列強(the Strongs)の一員として加わった」(68頁)をメルクマールとしている。では、朝鮮侵略は帝国主義的侵略でなかったのか?

 

4. 日露戦争(日俄战争)の目的は韓国の完全確保

小中高の日本の教育が日露戦争は「アジアのナショナリズムや立憲運動を支えたとされる。だが、こうした日露戦争評価論は、戦時中、大東亜共栄圏の形成に都合のよいものとして、日本によって強調された面があることを忘れてはならない(71頁)

もちろん閔王妃の暗殺(乙未事変을미사변))には触れない。

(この写真は閔妃の写真として確定できる。大院君の同じ光景写真が残っている)

독도(独島,日本名;竹島)に至っては、朝鮮政府との公文書のやり取りを知らずに著述しており、研究者でないというそしりを免れない。

さらに日本の南樺太占領がポーツマス条約協議中の行為であり、日清戦争後の下関(马关)条約協議中の澎湖諸島侵略と同じく、日本の侵略的性格の本質である講和会議中の占領の指摘が欠落している。