
空知炭田と呼ばれ、「黒いダイヤモンド」こと動力の源 石炭を掘るための炭鉱が多くあった夕張山地。その名残として、現在は炭鉱があった自治体に資料館が多くあります。どこも素晴らしい展示が多くあるのですが、ここ 夕張市の「石炭博物館」は一味違います。
個人的意見としては「覚悟して楽しんでほしい」ところ。なんと実際に坑道に入れるのです。
しかも「すごい展示だった、これは入館料払った甲斐がありますわ~ 出口ここ?」と思えたあたりで"坑道の入口"が出てきます。
本当に石炭が見れる坑道であり、そして、それが逆に2019年の坑道火災にも大きく影響しました。
2019年4月。ちょうど夕張線が廃線となって半月を過ぎたころに、この模擬坑道から原因不明の火災が発生しました。ちょうどオープンに向けた整備が行われていたそうですから、その関係で何かがあったのでしょう。
それから6年たった2025年4月。クラウドファンディングやふるさと納税の支援もあり、ついに模擬坑道が再び公開となったのです。本当によかった…
場所はこちらです。
筆者はまだここが石炭の歴史村だったころにも来たことがあります。模擬坑道内は本物の炭鉱よろしく、ちゃんと暗くて懐中電灯を持ってこなかったことを後悔したほど。記憶が正しければライト付きのヘルメットを渡されたような?
さて、肝心の外観を撮影し忘れたのですが、まずは一般的な博物館と同じく 展示物のある建物に入ります。駐車場からちょっと歩くのですが、これもまた意味があるのです…(意味深)

模型も扱う弊ブログではこういうのも見ていきます。夕張駅のジオラマに、HOゲージのキハ58が置いてありました。

また、夕張の立坑のジオラマ、後ろには鉄橋のジオラマも。このあたりは全部 旧夕張(1代目)駅近辺の施設何ですかね…?
入館料を払って、まずは建物の2階へ。夕張を中心とした、夕張炭田の始まりから衰退までを学ぶことが出来ます。撮影OKとありましたが、そのあたりはぜひ行ってみてほしいのでここでは鉄道系だけ軽くご紹介を

夕張の鉄道の遺品。主に夕張鉄道に関する鉄道グッズが展示されていました。記憶が定かではないですが、石炭の歴史村のSL館にこれ系の展示があったと思うので、2018年のリニューアル時に移設したんだと思います。たぶん…
夕張は石炭関係で私鉄が非常に多くあった地域でもあり
国有
・国鉄(夕張~紅葉山/新夕張~… 登川~紅葉山)
私鉄
・夕張鉄道(夕張本町~野幌)
・大夕張鉄道(清水沢~南大夕張~大夕張)
専用鉄道
・真谷地炭鉱専用鉄道(沼の沢~真谷地)
・角田炭鉱専用鉄道(夕張鉄道の新二岐~角田抗 一時期電化!)
・平和炭鉱専用線(夕張鉄道平和駅~平和抗)
などなど、これ以外にも旅客を扱った私鉄専用軌道がいっぱいあります。
周辺の史跡を含め、結構楽しめますよ。

また、廃止となった石勝線夕張支線のグッズも追加されていました。「ファッション踏切」が残っているのが個人的にうれしいです(笑) ついこの間廃止となった滝ノ上駅の看板もありますね。
その先に行けばあるのは坑道で使われていたであろう人車と貨車でした。

ついでに「北炭の幌内炭」ののぼりがあります。ついこの間、青森でこの文字列の看板?があった建物が解体された気がしたのですが、どなたかご存じだったりしますかね~( 一一)
それを抜けると、エレベータが出てきます。

「立坑ケージ」と書いていて、地下1000mにご案内してくれるそうです。石炭の歴史村だったころからありました。実際のエレベータは、それこそ赤平の立坑でやっているガイダンスに参加すると見れます。あとは奔別公開日とかですかね。

というわけで、あっという間に推定地下1000mへ ここは明らかにトンネルって見た目ではありますが、各時代の炭鉱の様子が再現されています。ちなみに真夏でもそれなりに寒いです。最初に「覚悟して楽しんでほしい」といった理由の一つ目ですね。

本当の地下にあって雰囲気は抜群。ここも全体は見せずに、炭鉱の鉄道車両系を中心に見せていきます。トロッコが3台ほどいました。流石に復元ですかね…?

しばらく歩くと、開けた場所に出ます。窓の外には太陽が。あれー地上がずいぶんちかいぞー
貨車をひっくり返して石炭をおろす機械がありました。

奥にはトロリー終電の電気機関車が。坑内は火気厳禁で、空中放電も危険なので 終電方式の機関車は使わずにバッテリーロコ(BL)を用いるようになっています。結構古いってことですかね。

こちらは見た記憶のない車両ユニッククレーン車だそうです。こいつ、線路を走るんですね💦

その対岸には昭和後期~平成の 採炭末期における実際に石炭を掘るときの様子が再現されています。これ、動くらしいんですけどこの日は残念ながら見れず。今はやってないんですかね…?
このほかにも石炭を掘って運び出す様子が再現されています。

いやぁ、入館料の数倍のいい体験をさせてもらいました。出口はこの下り階段の先ですかね~。

(冒頭に戻る)
いや、初入場じゃないのでわかってるんですけども、改めてブログにすると本当こんな気持ちになります。ここからが本番です。閉所恐怖症なら普通にお勧めしない本格的な洞窟探検が待っています。
この坑道は明治後期に作らたものです。昭和ではなく大正を通り越して明治です。

ここは「天龍坑」と呼ばれる斜坑の補助坑道でしたが、のちに昭和天皇がご訪問された際に、見学用坑道として整備されたものになります。ただ石炭層が見られるだけでなく、本当に石炭を掘るときの坑道の配置となっていて、当然自力で地上に戻ってくることになるので覚悟が必要です。
まずは上の画像のように、坑道を下っていきます。すると上添坑道につきます。

石炭を掘るときは、この「上添坑道」と、下にある「ゲート坑道」の間に、石炭を掘るための枠(自走枠など)を斜めに通します。その中で、ドラムカッターなどで石炭を削り、石炭以外のもので埋め戻す という作業を繰り返すのです。
というわけで、今度はこの枠の横を降りていきます。言っちゃなんですが前より全然整備されていて明るいし歩きやすいです。昔はこのあたりが本格的過ぎて普通に怖かったです。

ゲート坑道まで降りてきました。ここがこの施設で一番深いところ。ですが、かつての炭鉱は地下400mとかまで降りていたそうなので、それから比べたらほぼ地上なんだと思います。
ここも、昔は真っ暗な場所が何か所かあったのですが、今はすっかり明るくなりました。

地下深くにも貨車がいました。このほかにもいろいろな展示などがありましたが、それは行ってのお楽しみということで…。

ラストは、80段あるらしい階段で、一気に地上へ抜けます。途中には「上添坑道」への連絡通路がありますが、ここは閉まっていたので使えない様子。
ここを登れないと我々は生還できませんので、覚悟を決めて上りましょう。途中に何か所か休憩できるポイントもありました。

出てくると、ありがたいことに駐車場の目の前に出ます。なので、帰る人はサクッと帰れて楽です。
特に男の子はとっても楽しめる施設なので、気になる人も冒険が好きそうなお子様をお持ちの方も、ぜひ行ってみてください。マジで冒険できます。
ではまた次回です~(*ノωノ)