とてっぽの次は、いよいよ広尾線沿線に行ってみます。
今もあるのかわかりませんが、北海道内のお土産屋さんに行くと、どこからともなく「愛国 → 幸福」と書かれた、365日それぞれの日付の切符がキーホルダーで売ってたりしました。
その元ネタがこちら。広尾線にある愛国駅 と 幸福駅です。
ちなみに:この2駅間はそれなりに近いとはいえ、隣駅というわけではなく、間に大正駅をはさんでいて、10km以上離れています。
広尾線は、他の国鉄廃線と同様に、利用客低迷による廃線で、1987年廃止となっています。一瞬ですらJRになれなかった組です。北側へ向かう士幌線とは異なり、沿線は農業が盛んな地域故にベッドタウンになったところはなく、今残っていても特に利用は増えなかったかな…といったところ。
さて、「愛国→幸福」きっぷのうち、帯広側にあるのが愛国駅です。
・・・この写真だけだと、正直あと1時間くらい待てばキハ40とかH100がやってくるんじゃないのかと思えます。駅前通りもきれいに整備されていて、国道から駅前通りに入った瞬間の光景たるや、現役そのものです。
この駅からちらっと見えるSLが、また本物っぽくていいですね~~~。
というわけで、愛国駅には9600型蒸気機関車の19671が保存されています。SLの全廃が1975年、広尾線本線の廃線が1987年ですので、その間はどうしていたのかと調べてみたら、どうも帯広市内の公園に保存されていたようです。とてっぽ の十勝鉄道4号機ももともとそこにいたようなので、行ってみたら保存場所の跡とか残っているかも…ちょっと気になります?
今回見る蒸気機関車は、9600型とか8620型とか、旧制度車番(いわゆるD51とかC11みたいな表記じゃない)のものばかり…というかそれだけで終わりそうです。
帯広方を見てみます。
愛国駅自体は廃止時点で1面1線でしたが、道内で良くある交換設備撤去型ではなく、交換設備を使用していた際の側線がそのまま残る特殊なケースです…といっても、国鉄時代だと普通なのかもしれませんけども←
現在残っているのが、客扱いをしていた本線のレールとホーム。それ以外はきれいさっぱり公園になっています。
愛国の駅跡の横には、まだ帯広が近いことに加えて、国道も隣接していてアクセスがいいためか、モデルハウスが建っていました。そのため、ホームに止まる蒸気機関車の背景に、平成~令和のめっちゃきれいなお家が映り込み、さながらタイムスリップが起きたのかというカオスな空間が見れました。楽しい!
だいぶ見辛いですが広尾方向。こちらもホーム終端と一緒にレールも途切れています。きれいに公園にできていて素晴らしい感じでした。お手入れもしっかりされていますし。
ただ、キャブの中には入ることが出来ませんでした。鍵がかかってます。
おまけ
筆者のこの「保存車両」を追うシリーズでは、車輪・台車がない貨車を流用する「ダルマ」の保存・使用例は、キリが無いので取材の対象外としていますが…ちょっと特例
愛国駅前には、売店として使われていたヨ3500型「ヨ4353」が残っています。愛国駅前の奇麗な様子とは打って変わって、放置されています。売店をやめたのはかなり前と思われ、かなりひどい有様です。ちなみに、音更駅に保存されていたものと同じ型式ですね。
また来たいな、と思いつつ、次は幸福駅を見てみましょう。あ、愛国ー幸福間の中間「大正駅」は保存車が無いため今回は通過です。機会があれば覗いてみたいと思いますが、公園があるだけのはずです。
と着いたところで、すごいです
愛国駅は、車を止めるスペースがあるといっても10台くらいで、止まってる車は私を含めて4台でした(1台は、実は映り込んでいますがなぜか帯広自動車学校!?)。しかし、幸福駅は30~40台は止めれる駐車場に加えて、観光バスから大量に韓国の方がいらしておりました。完全に観光地ですよこれ…。
これまで、保存車と言えば蜘蛛の巣とサビとその他、虫やクマを警戒しつつ、けがをしないように探索するものでしたが、十勝エリアはみんな、ある意味で現役で使われています。音更の公園なんかは、子供が遊具として遊びまわってましたし、こちらは観光客まみれ。愛されてます。
とってもいいことです。使われない見られない保存車なんて、一般から見れば廃墟ですし。
ただ…その結果、人にカメラを向けないように気を使ったため、写真があんまり撮れなかったので、その点ご容赦ください。具体的には幸福駅の全体像とかとか。
幸福駅ですが、その観光地としての現在の規模とは裏腹に、駅の構造自体は1面1線で脇線が1本もない超ローカル駅。開業当初からのようなので、仮乗降場上がりといったところでしょう。なお、ホームは例によって人が映り込むので撮っていません。みなさんも極力人の写るようなアングルは控えましょうね…人に嫌な気持ちをさせてまで撮るものではないです。(と言いつつ、どうしても映ってしまうこともあるんですけどね…)
普通でしたら廃線時に跡形も残らないタイプ駅ですが、この「幸福」という駅名のおかげで、廃線後に観光地になるという、信じられないほどの大出世を遂げております。
幸福駅にはキハ22型の200番台が2台保存されています。まず1両目はキハ22-221 幸福駅跡に停車するような位置で置いてあります。観光地となってるだけあって、清掃がしっかりされています。反面、観光地なので、それなりにいたずらもされてます。一長一短ですが、中を探索できるという点では、こっちの方がうれしいかも?
車内も現役当初のままといったところ。ただ照明関係とかは死んでいると思います。観光地なので扇風機とかを復活させてもと思わなくもないですが、そこまでするほど収入が見込めるのかは…怪しいですね。
広尾側 - つまり駐車場側の乗降口のみ開放、空いているのは一般の鉄道と同じくデッキと客室のみで、運転台には入れません。
ただし、キハ22ですので、後ろの窓から運転台の写真を撮ることが出来ます。これは小樽とかでも同じでしたが、現在小樽は車内に入れなかった気がするので、案外貴重になってきたかも…。
お色直し等も行われ、比較的奇麗な状態を維持してくれています。強いて言えば、字体は国鉄フォントではありませんね…このあたり塗装屋さんが頑張るしかないでしょうし、書いてくれてるだけでも御の字…。文字のお色直しについては、塗装前に文字がかすれているせいで修復前後で字が異なるケースも偶にあります。三笠とか。
続いてはキハ22-238です。同じくキハ22の200番台です。これ2両も必要なのか…?
こちらは、幸福駅からやや広尾側の本線上に止まっています。
せっかく2両いるなら連結してほしかった…というのが鉄ちゃんとしてのわがまま。別々に置いておけばそれだけで前後合わせて4か所で鉄道車両の先頭部と記念写真が撮れますから、観光地としてはこっちが正解なんだと思います。
車内も現役のまんまで休憩所扱いにでも…
なってませんでした。きれいにリフォームされ、展示スペースとなっています。わーお。
2両保存されているケースでの強みですね。1両が現役の姿なので、誰にも文句は言わせませんスタイル。いいと思います。
個人的に好きだったのがこちら。キハ22は、デッキ端の3か所だけシートが横向き(ロングシートと同じ向き)となっているのですが、リフォームの際にこの席は撤去は行わず、シートだけを外して板張りにしています。超カチカチのベンチシート(ガチ)です!(笑)
もちろん、このキハ22は立場上「休憩場所」なのでいいですけども、このキハ22が本線を走った日にはおしりと背中が大変なことになりそう(((((
…と、幸福駅にはもう1台。モーターカーが保存されていました。これ、ここに持ってくる必要あったんですかね…?観光地にあっても当然誰も見向きもしないからか、こいつだけは手入れされてないようで、蔦が伸びていました。本当に、何で持ってきたんでしょうね…。
…と、長くなりましたが 愛国 & 幸福 編はここまでです。次は中札内!!もう書くの疲れてきた!!
ではまた次回です~(-_-)