野を超え山を越え
バスは鬱々とした大平原を走る。広々というよりは曇天のためどうにも重苦しく、時折太陽の光が差すと気持ちに余裕が出た。
やがてアルゼンチン国境へ入り、ヨーロッパ風の建物の中で長蛇の列の手続きが始まる。肩の力の抜けたキャラクターに鮮やかなブルー。このあっけらかんとした雰囲気はどこから来るのか不思議になるくらい国柄はチリと異なる。
さて、パスポートの中の私はOLとして働いていた頃の化粧姿。ところが、係官の前にいるのは化粧ッ気はなく、髪型もワイルドになりつつある。さらに国内にいても年齢不詳なのに、他の国の人から見たらいったい何歳に見えているのか、何度も何度も顔写真と見比べられた。
時刻は15時をまわり、バスは再び走り出す。
うんざりするほど長い時間。それでも平原を眺めるのは楽しい。湿地のようなところには谷地坊主があり、見たことのない嘴を持つ水鳥や、フラミンゴが水溜りに集まっている。
夕方、リオ・ガジェゴスの街で給油をし、さらに進む。もう考えることもなくなり、ずるずると姿勢を変えながら眠りにつき、目が覚めた頃には針葉樹林の中を走っていた。