マゼラン海峡 | いつもどこかへ

マゼラン海峡

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翌日の朝食はバスが発車して間もなく配られた、砂糖がたっぷり入った猛烈に甘い煮詰まったコーヒーとサンドイッチ。ブラック派の私にはこの甘さは耐え切れず、残したのが失敗で、ガタガタと揺れる車内でいくつかの持ち物がベタベタになってしまった。

長距離バスの中は、ウシュアイアに向けて出発するツーリストなどで込み合い、後ろの座席では不機嫌な夫婦連れと、男性がダブルブッキングで席の取りあいになり、ちょっとした言い合いになっている。私の隣はピアノ線のような直毛の髪をした小柄なチリ人で、彼は車内で流される映画のダイナマイトボディーのお姉ちゃんに、目を輝かせて釘付けになっていた。町を抜けるとどんよりとした空に、どこまでも続く放牧場になる。


やがてバスは船着場に到着し、そのままフェリーに乗り込んだ。乗客はめいめいバスから降り、かの有名なマゼラン海峡を眺める。


潮風が心地よい、でもふと疑問に思った。かのマゼランはなぜここが海峡とわかったのだろうか。対岸が見えるほど狭いのに、ここを通過できると信じて進むその度胸はたいしたものだと思う。まして地図を見れば太平洋側は小島が連なり、かなりの難所に見える。そう思うのは地図が出来上がっている現代だからなのだろうか、大航海時代の彼らにとっては航海は探すことであり、価値観も目的も違ったのかもしれない。そんなことを考えているうちに対岸に着き、バスは再び陸を走り出した。