先手必勝
マゼラン海峡と羊毛で栄えたプンタ・アレーナスは、往時の面影を残す華やかな建物が並ぶ小奇麗な町だった。人の流れのあるほうに進み、適当な宿を探した。目に付いたのはホテルカラファテ。昔、何かに使っていたであろう落ち着いた造りで、値段を聞くと設備の割りに安い。
2階への螺旋階段を上がりながら、機械的に説明するフロント係。部屋は大きな窓があり、廊下を挟んでバスルームがある。
さて、まずはこの微熱をどうにかしなければならない、風邪は先手必勝。ここから先、熱を出して体力を消耗しながらの道中なんて冗談じゃない。スタミナと抵抗力を回復するための食料を買いに出た。
町は小規模ながらもショッピングモールがあり、商店街は本屋やCD、雑貨屋、靴屋など一通りの店がならぶ。観光資源に依存するプエルトナタレスと、交易で栄えた商業の町は成り立ちからの差を感じる。とにかく寒さにはたんぱく質と脂肪、スタミナ回復はビタミン、酢とタウリンが有効なはず。スーパーのバイキングで手っ取り早く思いつく限りの栄養源を買った。
【メニュ】
牛ステーキのトマト煮込み一枚
パンたくさん
ムール貝のマリネ
ヨーグルト
グラハムビスケット
とうきびのポタージュ
りんご
プリン
大量の水
いきなりこれだけ食べても、ほとんどは代謝で流れてしまう。まぁでも何もしないよりはいいだろうと、仕上げに持っていた風邪薬を飲み、ベッドに転がりながら大きな窓からの眺めを楽しんだ。