オタスケマン登場 | いつもどこかへ

オタスケマン登場

明細
書類作成はまだ終わらない。途切れ途切れに聞こえてくるキータッチ音と、窓越しにボスが急かす「come on!!」の怒鳴り声。


20分ほどかかって始末書ができあがった。どれほど難しい文書かと思いきや、のぞきこんだそれはパスポート№、氏名、持込物(リンゴ)などの入力箇所だけ太字の定型文。腰掛からずっこけそうになるほどガックリしたけど、苦手なものは仕方がない。少なくとも、一生懸命タイピングする姿を見ればそう思う。


で、気になる罰金。


重量を計る時点で、重量制なのは予想がついた。問題は金額で、指差されたのは後ろの金額表の一番安いCL$10,760、ということは…計算してもCL$のレートはうろ覚えなので日本円で数千円ぐらいかな…?くらいしか分からない。しかもまだ両替をしていないので現地通貨が手元にない。


ためしにアルゼンチンペソを見せると、首を横に振られる。それならと、プエルトナタレスに着いてから両替しようと思っていたUS$20紙幣を出したけど、これもダメ。金額が足りないのか外貨は禁止なのか、理由はわからないけど受け付けてもらえない。押し問答がしばらく続いた。


こうしている間にもバスの発車は遅れ、多くの乗客に迷惑をかけてしまう。苛立つボスが部屋に来、罰金の支払いでてこずっているのを察すると、この先のプエルトナタレスの事務所での支払方法を説明し始めたそのときだった


「Hey!!」



窓から身を乗り出して覗き込むのは、あのオシャベリスペイン人。



いつまでたっても座席に戻らないので様子を見に来たらしい。

私の手にはUS$20紙幣、そして3人の係官。一見して何が起こっているのかわかったらしい、係官と話を始めた。さすがスペイン語同士、話が早い。


「オレが代わりに支払うから、君はオレにそのUS$をくれ」

「Grasias!!」やるじゃん、いいとこあるねオタスケマン!!



オジサン係官が領収書にサインをし、今度はどれを控えてどれを渡すのか分からなくなり、しばしガサガサした後、哀れなリンゴはゴミ箱へ。


「ヨカッタネ」とにっこり笑う若い係官

「マッタク」という表情のボス

そして慣れない作業に疲れた表情のオジサン係官。




大急ぎで2人で大荷物とザックをバスに運び込み、バスは数十分遅れで発車した。


で、後で気づいたこと。CL$10,760はUS$20では足りなかったのだけど、まぁ彼はきっと今でもどこかでオシャベリを続けていることでしょう。そして始末書の私の名前のアルファベット、スペルの順番が入れ替わってました。ほんとに苦手だったんだね…オジサン。