検疫 | いつもどこかへ

検疫


果物持込禁止
入国スタンプを押した後の検査台前で、ふさふさのヒゲを持つ係官から申告書の記載内容に間違いがないことを確認され、重たいザックを台に載せた。


隣ではボストンバッグが開かれ、私のザックも腕を肩まで入れてゴソゴソと中を探られる。


「そのポケットはさっき見たよ…」


手早く済ませようと一生懸命なのは分かるけど、どうにも要領が悪いオジサン担当官、ザックの上蓋の同じチャックを何度も開け閉めしている。いくら中を調べても洗濯物と日用品しか入っていないんだけどなぁ…と他人事のように眺めているときだった。次の手荷物を調べていた彼の表情が何かに気づいた。







眉を寄せ、への字口の係官の手には

ザックから取り出されたリンゴ。










「リンゴ リンゴね。」

それだったら別にいらないから、後ろのでっかいゴミ箱へどうぞ。






と思っていたら、話はそれほど簡単ではないらしい。

担当していたオジサン係官に従い、隣室へ直行となった。