ラスコーⅡ洞窟
ラスコーのあるモンティニャックの町は静かだった。年末なので観光客はまったくいなく、人気も少なかった。
シャワーのような小雨が降る中、留学中のあいちゃんと歩く。町を抜け、畑の中を少し歩くと丘になった。坂道を上ると雑木林があり、その中にラスコー洞窟のレプリカ「ラスコーⅡ洞窟」がある。ここに来る時に乗ったタクシーの運転手さんによると、5年に一度発見者である4人の少年の親戚が本物に入って見学することができるという。
そして、このおじいさんはその「親戚」にあたり、2年後に孫を連れて見にいくんだ。と張り切っていた。
洞窟の見学チケットはモンティニャックの町であらかじめ手に入れ、見学時間は3時過ぎだった。入り口には家族連れが集まっている。子供達はアジア人が珍しいのか、会話する私たちをしきりに見ていた。
時間になると、係員が中へ案内してくれる。地面に作られた重そうな扉を開け中に入る。真っ暗だ。次の扉を開ける、洞窟壁画に関する説明の展示がある。壁画を描いた人々が用いた簡単なランプ、パレット、絵の具などである。
そして3つ目の扉が開いた。
踏みこむとそこはホールのような広がりを感じさせる空間であり、天井近くの壁面には牛や馬が、丸い空間をぐるぐると駈け回るように描かれている。写実的ではないが、それ以上にリアルを感じさせる力強い絵だった。
少年たちによって発見されるまで、静かに存在しつづけてきた牛たちの絵
「そこに人間がいた」という痕跡の意味と、果てしない動乱のなか、静かにここに「ただあった」という事実が、私を身震いさせた。
翌日は、原始壁画の宝庫、レゼジーに行くことにしていた。こちらは、本物の壁画をみることができるのである。