静寂の庭
運転手のおじさんが、折り目から破れびりびりになった観光地図を広げ、どの遺跡だか教えてくれる。そして遺跡の方を指差し「This way」と言う。3時間の間、遺跡に着くたびにこの繰り返しだった。わたしにしてみれば、このほうが好都合で、好きなように見ることができた。
アユタヤはタイの古都で、14世紀から400年間隆盛を誇ってきた。外国との交易も活発だったようで日本人町も形成されていたと言う。18世紀に宿敵ミャンマー軍に破壊された。
残されたお寺や仏塔、仏像はことごとく破壊され、仏像は全て頭部と手がない。人間の感情や意思を示す2つの重要なパーツがない というのは、生理的に不安を感じさせる。
同時に、その2つがないことにより意思を伝えるものがなく、静寂の庭でもあった。
徹底的に破壊され尽くした庭を見て、「なぜ、ここまで」という疑問がわいていた。
戦争とは、なぜ争うのか。なぜ、ここまで破壊されなければならないのか
人間の歴史は戦いの歴史であるが、美しさと息苦しさがわたしの中にあった。
つづく