大昔の壁画とカビ | いつもどこかへ

大昔の壁画とカビ

奈良県明日香村の国宝、高松塚古墳が、遺跡保護のため解体・修復されることになりそうです。これは7世紀から8世紀にかけてつくられたもので一般公開はされていません。管理には相当気を使っていたようですが、外気に触れたためかカビが発生しました。最初に書いた解体・修理はこれによるものです。

 

 このニュースを聞いて、頭に浮かんだのは、数年前に訪れたフランスはペリゴール地方のラスコー洞窟です(正確にはラスコーⅡ洞窟)。

 

 この壁画は、人類が人間らしくなり始めたクロマニヨン人が描いたとされるもので、数万年も前のものです。発見され、一般公開されることにより、多くの人が押しかけました。そして、自然の作用で天然に保護されていた壁画が傷み始めてしまったのです。

 

 そのサイクルは次のとおりでした。

 

 洞窟に壁画が描かれる→洞窟内は石灰を含む水分が壁画を覆い、天然の皮膜ができる→外気から遮断され、気温・湿度ともに安定した状態→4人の少年によって発見される→多くの人が押しかけ、その吐く息に含まれるCo2により壁画の皮膜が融け始める→外気に触れたこと、湿度の上昇等のさまざまな要因により、壁画にカビが発生→何度除去を繰り返してもカビの発生はおさまることがなく、洞窟は閉鎖。

 

 以上の理由で閉鎖されたラスコー洞窟ですが、すばらしい壁画をこのまま見られなくなるのはもったいない!というわけで、フランス政府は考えた。

 

それなら、そっくりなレプリカを作ってしまおう!!

 

こうして、本物の洞窟を凹凸、岩肌まで限りなく精巧に再現したラスコーⅡ洞窟が作られたのです。壁画は、フランスの女性画家がこれまたそっくりに描きあげたのです。

 

さすがフランス。その実行力はお見事です。

 

つづく