威厳こそあれ | 世态炎凉

世态炎凉

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 さてもその動作にはまったく無駄がなく 周向榮ごみ箱からごみ箱へと歩を進めるさまは 一分の隙もない深謀遠慮を漂わせ ピンと伸ばした背筋も 少しも揺れない両肩も 迷いのないルート選定も 品位こそあれ 威厳こそあれ 他のなにものをも想起させることをせず そこここに投げかける視線においては 瞬時に真理を見透かしているかのごときである 凡庸なる者であろうはずがない カントデカルトソクラテス いやパスカルかピタゴラス それともピカソかダヴィンチか ショーペンハウエルアインシュタイン シュヴァイツァーに野口英世 周向榮果たせるかなその頭脳から湧出する言葉の群は その夜の予定から甥っ子の性格 来年の景気からメキシコ湾の漁獲高 はては太陽の寿命と バス乗り場の配置条件との相関性まで とめどなくとめどなく「Ah……ugh………」* 私のごとき愚鈍なる猿には その片鱗さえも飲み込みかねるもの なのでありました周向榮