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僕がバイクの師匠と仰ぐSさんと取りとめのない話をしている時に、Sさんが


「お前にカブやるよ」


って言い出した。

新聞配達で使っていたカブの、更に部品取りした後の車両で、邪魔で置き場が無いからあげるって。


聞くと、随分と酷使された車両みたいで既に7万km以上走っている上、部品取りだから当然そのままでは動かない。

しかも50cc。

だけど、


「要らないならください」


って言ってしまった。

ピン!と来たんだ。



スクーターに乗る様になって、Sさんが手に入れたスズキのK125を眺めたりして、なんだか僕は最近そういうもの凄く単純な機械に惹かれている。

とてもシンプルで、とてもプリミティヴな機械に。

例えば、僕はホンダのXR系のRFVCエンジンが好きだし、ヤマハのSRのエンジンもシンプルで気になる。

それ以前に、ウチにはヤマハのSRXっていうシンプルで秀逸なバイクも有る。

だけど、好きなんだけど、それらに費用と時間を費やして「どうしても乗りたい」っていう欲求がわいて来なかった。

もちろん、湯水の様に金を使えるのなら欲しい物はいくらでも有る。

だけど、現実的に僕が使える予算を考慮した上で、コストパフォーマンスならぬ費用対満足度を考えたら、どれも僕を満たす事は出来ないんじゃないかって思う。

「これだけの金を使うなら、他にもっと・・・」って思ってしまう。

僕は、もうバイクには欲情しなくなったんだろうか?

熱い情熱とか、とめどない欲求とか、そういうの無くなっちゃったのかな。


そんな時に、突然目の前に降って湧いた「カブ」。

ピン!ときたんだ。

あぁ今の僕に必要なモノってコレだ!って・・・

もちろん、「タダなら」っていう要因によるところも大きいけど。




それは、今だからなんだと思う。

もし125のスクーターに乗る前だったなら、僕はそこまで原付に興味を示せなかっただろう。

バイクの免許が有るのに、しかも限定解除までして、何でわざわざ原付に乗らなきゃいけないんだって。

そして、K125をつぶさに観察する機会が無かったら、シンプルな原動機にここまで魅了される事もなかったと思う。

カブが面白いかもって思えたのは、多分今だからなんだ。


たまたま最近Sさんがカブのエンジンをオーバーホールしている所を見る機会が多かった。

それで、カブのパーツは普通のバイクに比べるとかなり安く、長年使われてきたバイクだからパーツも多い事を知る事が出来た。

そして、極めてシンプルな造りだから、自分で整備する事も出来る。

だから、あんまりお金を使わなくても走れる状態に出来るだろうし、エンジンを80cc位にして原付2種登録する事も出来るだろう。

それは、想像するととてもワクワクする。



それは、まるでオモチャみたいだ。

1/1の模型みたいな。