東京に戻ってきてから彼は仕事に戻り、
私は幸せな気分で自分の家に戻った。


しばらくして母親からの電話。


「同居するなら結婚しなさい」



はっ??


理解してくれたんじゃないの?
ついさっきだよね?




母親は近所のおばさんに話をしたところ、
「同居するのに結婚しないのはおかしい」と言われ
あわてて電話したそうだ。


ちゃんと会って説明したのに、近所のおばさんの一言で
覆された。


何も言う気力がない。




忙しい彼も時間を作ってきちんと挨拶行き、説明したのに。



母親はもう気が狂ったように電話口で怒鳴っている。

いつもそうだ。

どんなに説明しても私のことを理解してくれない。
信じてくれない。

母親がいままで苦労してきたことや、頑張ってきたこと
いろんな気持ちを考え、私なりに歩み寄ろうとしてきても
見事にぶちこわされ、傷ついてきた。


その時彼に夢中だった私は母親が心から嫌いだと思った。


お母さんが居なければいいのに・・・・


そんなことさえ思った。
毎日のように一緒にいるのが当たり前になってきた頃、
彼のアパートの更新をきっかけに引っ越すことになり
一緒に住むことになった。


変なところで律儀な彼は私の母親に挨拶をして
了解を得てから一緒に住むと言いだし、
一緒に実家に帰ることになった。


母親はいわゆる愛人。

片親で育ててきた妙な自信と後ろめたさ、
男に裏切られた傷を負った母は男性だけでなく
人間そのものを心から信用することが出来ない人間。

信じられる物はお金のみ。

親子でさえ信頼関係が成り立ってない。

何度母親の言葉で傷ついたかなんて数えられない。


今ではもう麻痺さえしてる。


そんな母親に合わせるのは凄く嫌だったけれど、
それでもやっぱり母親は母親。
祝福して欲しいと思い、勇気を出して合わせた。


意外にも母親は対応がよく、彼の前では笑顔を絶やさず
すごく優しい対応をしてくれた。
同居の話しも理解してくれて、うきうき気分で東京に戻った。

彼と出会って約一年。

デートのドタキャンは当たり前、待ち合わせに遅れることもしばしば。
その上連絡も取れない。
他の女性の陰もちらつきつつも
なんとなく付き合っているような雰囲気が出てきた頃


妊娠。


その時私は23歳


正直仕事が面白くて仕方がない時期。
母性本能が強くない私は彼に黙っておろすつもりでした。


でも親友に相談したら、どんな理由があっても産んで欲しいと
言われ、自分なりにすごく悩み考えて彼の意見も聞いてから
結論を出そうと決めた。


予想通り彼はおろすことを承諾。
「いずれ一緒になるとしても、やっぱり順番が違うと思うし」


・・・・・。だったら避妊しようよ。
と心の中で思った。


中絶はものすごく不安だったし、怖かったけど
友達と彼に支えられなんとか乗り越えることができた。



その事を境に彼との距離が近くなった。