雨の休日、自然観察には行けないので、
博物館へ行くことにしました。
近々行きたいと思っていた博物館、
去年11月にオープンしたばかりの
北谷町立博物館へ行ってきました!

真新しい現代的なオシャレな博物館。
コンクリートのシンプル外観。
入口は階段を上がった2階にありますが、
バリアフリーでエレベーターもあり。

さて、皆さん北谷町のイメージって
どんな感じでしょうか?
アメリカンビレッジを代表とする
異国感あるコースタルリゾートの街、
という観光イメージが強いかと思います。
北谷町は元々基地の街でしたが、
1970年代頃から基地経済からの脱却を図り、
1980〜1990年代にはハンビー地区の開発、
その後は皆さんご存知アメリカンビレッジ、
という風に西海岸の開発が行われ、
県内有数の観光都市となっています。

では、近代の観光の街ではなくて
北谷町の歴史のイメージはどうでしょう?
知らない方も多いのかなと思います。
北谷町には前職でだいぶ関わったので、
ちょっと知ってはいたのですが、
改めて博物館で学んできました。

博物館入口は中が見えない黒い自動ドア。
北谷町立博物館では北谷町の歴史、
その中でも縄文をメインとした博物館です。
北谷町と縄文、イメージありますか?
実は北谷町は縄文時代の遺跡が
数多く発掘されている地域でもあります。
ちなみに日本でいう縄文時代と弥生時代、
沖縄では「貝塚時代」という時代になります。
貝塚時代が長く続いた後に「グスク時代」。
各地で力を持ったリーダーが現れています。
そしてその後はご存知「琉球」が始まります。
元々の北谷町の生活の地域は山の手、
国道58号より東側の高台なので、
西側は基地の返還地や埋立がほとんど。
現在の国道58号よりも東側、
国道沿いにチェーン店が立ち並ぶエリアは
この10年くらいで開発が進んだ
基地返還跡の区画整理エリアです。
この北谷町立博物館がある近くで
縄文時代早期からグスク時代までの
約7000年に渡る人々の暮らしの跡が
発掘された伊礼原遺跡があります。
割と近年発見された遺跡なので、
国指定の史跡に登録されたのは2010年。
町立博物館はこの遺跡に隣接しています。
このエリアから東側は傾斜地があります。
山があり谷があり湧き水があり湿地があり、
そして海岸に近いという条件で
人々が暮らしやすい環境だったよう。
住みたい街ランキング常連の北谷町、
実は大昔から住み良い場所だった。

博物館は伊礼原遺跡を中心とした
北谷町の縄文時代の遺構や遺物などから
当時の暮らしを表した展示が中心です。
それほど大きくはない常設展だけど、
結構楽しめる展示内容です。
ちなみにこちらの博物館は入場無料。
施設や遺跡の維持管理のための募金は
常設展の入口前に募金箱で募っていて、
これが貝殻にお金を入れる形になってて、
貝殻から下へとお金が落ちていきます。
たぶん子どもとか喜んで入れそうなので、
普通の募金箱とかより多く集まりそう。
一般的な入館料程度は入れてきました。

入るとすぐ目の前に映像が映し出されて、
床に映し出された足跡の位置に立つと
概要紹介が自動でスタートする仕組み。
7000年の歴史の旅へと導かれる感じ。
この博物館のプロローグといったところ。
目の前には各時代の地層が映し出されて、
足元の床にも概要の説明映像が映し出され、
没入できる感じで観ることができます。

真ん中には円形のジオラマがあります。
森があり、人々が暮らす集落があり、
湿地やマングローブがあり、海があり。
人々の表情とかもユニークだったりで、
可愛らしい感じもあって見て楽しめます。
森や海の色んなところに生き物がいて、
隠れた生き物を探すのも楽しい。
遺跡からはドングリがたくさん発掘され、
イノシシの骨もたくさん見つかったそう。
ケナガネズミの骨も見つかっているそう。
そこですぐに気づいたことがあります。
今のやんばるの森と同じ環境じゃないかと。
3月に2日連続で大宜味村と東村の山に登り、
その地質と植生の違いに気がついたんだけど、
それがここにもまた繋がりました。
北谷の遺跡からオキナワウラジロガシや
イタジイなどのドングリが発掘された。
そしてドングリを好むイノシシもいて、
ケナガネズミなども生息していた。
ということは、縄文時代の北谷には
今のやんばるのような森があった、
というのが推測できます。
ドングリが豊富にあったということは、
酸性土壌ということではないか???
というのを先月の山登りで得た知識から
推測したわけなんですが。

予想、大正解でございました!!
北谷町まで北部からの酸性土壌が繋がり、
ちょうどアルカリ土壌との境目だそう。
もうドングリで酸性土壌って分かるし、
それから昔の風景まで予想できちゃう。
土壌のpH値だけで色んなことが見える。
自然から学ぶこと多くないですか???
土壌が分かるとそこの植生帯が分かる。
植生が分かるとそこの生態系が分かる。
植生から何が実るかが分かってくると、
人々が何を食べていたのかとか、
地質、地形で暮らしが分かってくる。
山から学んだ知識が歴史と繋がった!
民俗学も辿って遡っていくと、
背景にはその土地の自然がある。
自然を学ぶって実はすごく深いのでは?!
と学問のおもしろさを今更実感してます。
子どもの頃にこういう学び方したかった。
自然は自然、歴史は歴史じゃなくて、
様々なジャンルの学問を結ぶというか。
自然的な背景があって人の暮らしがあり、
こういう自然だからこういう地理だから
こういう人々の暮らしに繋がっていて、
そこからこういう文化が生まれてって。
42歳、まだまだ好奇心旺盛。
いや、むしろ40過ぎてから好奇心、
行動力が湧いてきている。
雨の日は博物館巡りも良いなと、
新たな趣味ができそうになってます。
休みの日の時間が足りない!!
無性にレキシ聴きたくなりました。
個人的には縄文土器が好きです。
