"Flowers grow where I lay at rest" /我が身憩う処に花々は咲く | BLoG! BaBY BLoG! Re-Boot!

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名古屋で活動中のPop/Rockユニット、SiNG! BaBY SiNG!のギター兼サウンドデザイナーSHiGe Mのブログです。
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去る2018年9月29日、シカゴ・ブルーズの巨人、偉大なる左利きギタリスト/シンガー、オーティス・ラッシュ(Otis Rush)氏が83歳で亡くなられました。

2004年ジャパン・ブルース・カーニバルのための来日公演の半年足らず前に脳梗塞で倒れ、リハビリののち急遽カーロス・ジョンスン(Carlos Johnson)をサポートギタリストとして公演をこなして以降、公の場に姿を見せることも稀となったまま他界されました。…本当に残念なことです。

 

ここでMr. ラッシュのバイオグラフィーを改めて記すことは致しますまい。

興味のある方、確認なされたい方は以下のリンク、あるいはGoogle等で検索を…

 

Wikipedia日本語版

Wikipedia English

 

個人的な思い出を語れば、筆者は1990年5月に2度、1992年5月に1度の計3回オーティスのライヴを観ています。

 

1990年はビリー・ブランチ(Billy Branch)、ジミー・ジョンスン(Jimmy Johnson)を伴って来日、名古屋のライヴハウスElectricLadyLand(現在の伏見通ではなく大須通にあった)で見たのち当時大阪で開催中だった国際花と緑の博覧会に、大阪の姉妹都市シカゴから招聘という形で行われたステージの最終日にもう一度見に行きました。

1980年代後半から1990年代初頭にかけ、何人かのブルーズ・アーティストが来日する度に見に行っていたのですが、この1990年5月ほどたくさんの思い出に満ちた時はありませんでした。

花博での会場裏でMr.ラッシュが一緒に写真に収まってくれたこと、

当時のラッシュ・バンドのドラマーの方が「サインは貰ったの?」と訊いたので「書くものがなくて…」といいかけると「OK、ちょっと待ってて」といい、会場に貼ってあったライヴ告知ポスターをひっぺがして出演者全員のサインをもらってきてくれたこと、

 

 

いまやブルーズ・ハーモニカの大御所となったMr.ブランチの招きで一緒に見に行っていた相方と共に御一行宿泊中のホテルに赴き、色々な話をしていたロビーでMr.ラッシュにコーヒーとケーキをおごってもらい、その時Mr.ラッシュの独特な握手の仕方(各自が親指を上に握りこぶしを出し、お互いに上へ上へと重ねてゆく)を教えて貰ったこと…

他にも書き尽くせないほどのことがありました。

 

1992年は開館して間もないクラブダイアモンドホール(現在はダイアモンドホール)で、2日連続で行われたジャパン・ブルース・カーニバル名古屋公演の2日目第2ステージにMr.ラッシュが出演、前回よりもスケールの大きなプレイでした。

(ただ第1ステージのジュニア・ウェルズ(Junior Wells)の演奏中にマナーの悪い観客がいたため、後味の悪い日になってしまいました…)

 

決して順調ではなかったキャリアの中、歴史に残るような凄まじいプレイを音として残して下さったMr.ラッシュ、個人的な思い出も含めて本当にありがとうございました。

あなたが眠るこの世界には、あなたが咲かせた花々が咲き乱れ、その花を胸に抱いたたくさんのプレイヤーたちがさらなる花々を咲かせています。

 

最後に1990年花博での思い出の写真から、肖像権の問題が生じなさそうな一葉を…

 

 

 

RIP

 

 

 

 

※SHiGe M本日の1曲:

Otis Rush "My Love Will Never Die"

 

世評に高いコブラ・レコーズ時代の名作(1956年)。

プロデュースとベースで参加のウィリー・ディクスン(Willie Dixon)の在籍していたThe Big Three Trio1952年作品のカヴァー(あまり原型無いが)ながら、オリジナルを完全に凌駕してしまっている。

コブラ時代のラッシュの録音、特にスロー物はよく日本のブルーズ関係の文章で見られる「悶絶」「必殺の」「エグい」とか、なにやらすんごい表現がぴったりきてしまう凄まじさである。

これらの音源を初めて聴いた時、録音状態やアレンジ等も相まってボードレールの『深き淵よりわれ叫びぬ』なんてタイトルの詩を思い出してしまった。

のちマジック・サム(Magic Sam)やマザー・アース(Mother Earth)、最近でも2014年にホージア(Hozier)の味のあるカヴァーが生まれている。