今回は、以前日本人の方から相談を受けたケースで、SOHO物件で遭遇した問題について取り上げます。

 

【SOHOとは】

SOHOとはSmall Office Home Officeの略で、自宅とオフィスを兼用するようなコンセプトです。日本でも聞かれることがあると思います。また今回のCovid-19では在宅勤務をする方が増えましたので、これからこういった形で家で仕事をされる方が増えるかと思います。自宅でPCとインタ-ネットを使って、来客無し・スタッフ無し・自分一人で仕事をする場合は、日本でもシンガポールでも誰にもとがめられることはないと思います。

 

【不動産の用途】

ただ自分がシンガポールで住もうと賃貸物件として探す場合にはこのSOHOといううたい文句には気を付けましょう。というのはシンガポールでは、不動産の用途として住宅とオフィスは別物で同じ物件が両方の用途として許可されていることはないからです。この同じ物件というのは、同じ建物内という意味ではありません。例えば最近はオフィス街にもオフィス、住宅、ショッピングモールという複合施設が増えています。あるいは古くからあるシンガポールのショップハウスと言われる不動産は1階が店舗で2階は住宅という用途になっていることが多いです。例えばショップハウスの場合、店舗として用途が定められている1階部分を住居として使用することは出来ないということです。因みにこの用途を調べる確実な方法は、URAのMaster Planです。詳しくはこのページの1番下で説明します。

 

【問題ケース】

私が相談されたケースでは、SOHOと紹介されたJoo Chiat RoadにあるThe Modulesという物件で室内にはベッドや浴室もあり(以下リスティングの写真)全く住宅と思い賃貸契約し住み始めたということです。

 

 

ただEPの規則で、住所変更の場合にはでMOMにオンラインで住所変更をしなければなりません。この変更登録しようとしたところ、住居ではないので住所登録できないという警告が出て来たという話でした。色々調べた結果やはり用途はオフィスということが分かり、紹介された不動産エージェントに解約と保証金の返還を求めたが、家主が海外出張中であることを理由にのらりくらりと動く気配がないということで私の方へ電話相談してこられました。私からは、エージェントの所属不動産仲介会社に状況を説明して、即刻解約手続きと保証金の返還を求めるとともに、不動産仲介会社の対応が悪ければ監督省庁であるCEA (Council for Estate Agencies)for Estate Agencies)へ、オフィス物件を住宅物件として紹介したとして担当エージェントの不正行為を報告することを示唆するようアドバイスしました。

 

私の方でも調べたところ、エージェントが物件をリスティングしていたのはPropertyguruや99.co等でしたが、Propertyguruは住宅専門の不動産ポータルであり、同グループではオフィスや工場等の物件ははCommercialguruという別のポータルがあり、オフィス物件はそこにリスティングすべきであり、オフィスをPropertyguruに掲載すること自体がミスリーディングでエージェントとして不正な行為であると思います。

 

同不動産エージェントのコンプライアンス部門の担当者からは、あくまでこれはテナントと家主の問題でありLOIにはテナントが住宅使用目的であったことは一切明示されていないという趣旨の回答がありました。またその時点で賃貸契約も締結していないということも書かれており、そういう状況でエージェントの過失は特にないという趣旨の説明でした。ただ上記Propertyguru への掲載など、明らかに住宅として使用されることを想定してマーケティングしていたということは明白で、争えばこちらの言い分が通ると考えていました。ただCEAに報告するまでもなく、すぐに当該エージェントから保証金の返還がなされたということで、多分会社の方でエージェントに対して何らかの指示がなされたものと推測しています。

 

この日本人の方はご自分でメールや電話で不動産会社と話をされていましたので、英語には自信がある方だと思います。ただこういう話を聞くにつけやはりこれは言葉の問題ではなく、地元の不動産事情を知らない方が異国の地でご自身で契約等を行うのはリスクがあるかということを痛感します。テナントさん側に立つ経験の豊富なエージェントが居れば、こんなことは起こらないと思うからです。レントが$3,500⁻4,000以上の方は必ずテナント側に立つエージェントを雇うべきですし、ご予算が無い方には契約だけに絞ったサポートサービスを提供できないか検討したいと思っています。

 

【自宅で仕事をするには】

ではシンガポールで実際に住居をオフィスとして使用するにはどうしたら良いかのでしょうか。

 

URA(シンガポール都市再開発庁)がこちらのページでHome Office Schemeとして説明しています。以下がその基準ですが、基本的に隣近所の住人に迷惑をかけないという基本原則です。

  1. 非入居者のオフィススタッフは2名以下とする
  2. 看板等の掲示禁止
  3. 騒音、煙、臭い、埃、廃棄物を排出するような事業は禁止
  4. 自動車販売、商店、その他の小売業などは禁止
その他に細かい条件や基準はこちらのリンクからどうぞ。

 

実際の登録はコンド等の場合ははURA、HDBはHDBへ行います。

 

【マスタープランで不動産の用途を調べる】

以下にマスタープランで不動産の用途を調べる方法を説明します。最新のマスタープランはMaster Plan 2019でこちらから開きます。そして以下の手順で用途を調べます。

 

 

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