入居時に見落としがちなものとして、今回遮光カーテン【英語ではBlackout Curtains:ブラッカウトゥ・カーテンと発音】を取り上げたいと思います。遮光カーテンについてはこちらのページで詳しく説明されています。
日の出の遅いシンガポールでは、週日はまだ暗いうちから起きるのが普通であまり必要はありません。ただ週末ちょっと遅くまで寝ていたいという方、特に東向きに寝室の窓がある場合はかなり強い朝陽が差し込みますので必要かと思います。ただこの遮光カーテンが結構曲者です。
今回私が担当していた入居者の方に起きた件で、私もちょっと見落としていたことが悔やまれるケースを紹介します。
遮光カーテンは通常の布地だけのカーテンと違い、裏面を樹脂などでコーティングしていることが多いです。ただシンガポールでは真昼は太陽がほぼ真上に上がるため、逆に太陽が傾いている朝や夕方に強い日差しが家の中に入ります。ということで東や西向きの窓のカーテンは劣化が激しいようです。この為以下の写真で見られるような、樹脂が溶けてカーテンの布地がくっつきあったり、退去時に義務となっているカーテンのドライクリーニングで裏地にひび割れや穴が開いたりします。
布地がくっついているのが見えます。
裏地にひび割れや穴が開いた跡をクリーニング業者が修復のためテープで張ったものと思われます。
かなり近寄ってみると実際に裏地に穴が開いて、透けて見える部分があります。(これは別件で入居時に見つけたものですが。)
今回は退去時に家主が念入りにチェックして上の写真のようなものを見つけて、2年しか滞在していないテナントに遮光カーテンの取り替え費用を請求してきました。この家主は当初(コンドは2013年完成)からこの物件を持っていたわけではなく、数年前に購入したようです。通常中古物件の購入では現状渡しが慣習で購入者は入念なチェックをしませんので、これらの傷や不具合がその時からあったことも考えられます。ただこのテナントさんが入居した時は、ご主人のみ先に赴任されており、勤務日の朝に引き渡しが行われたと記憶しております。家主側エージェントが事前に物件の状態を示す細かい写真を準備していたことや、テナントさんが勤務に戻らなければならずあまり細かく点検する時間が無かったと記憶しております。遮光カーテンの裏側もきちんとチェックして置けば、上記と同じような状態ではなくてもある程度カーテンの劣化を示すものが見つかったのではないか、つまりテナントさんの責任ではなく経年劣化であることを証明できたのではないかと思います。
今回少額裁判所への提訴も考え、色々同じようなケースが無いか調べましたが、カーテン等に関してオーストラリアの裁判で争われたケ
以下簡単に要約しますと、
- 経年劣化とは通常の使用において起こるもので、
意図的もしくは過失によっておこったものではない。 - 家主が保証金から弁済費用として差し引く場合には、
経年劣化を超えたものであるという証明が必要である。 - 一方テナントの方も家主のかかるクレームに対しては、
以下のような証拠を提出するのが望ましい。
- 入居時の当該物の経過年数、状態を示すもの。
- 当該物の通常の耐用年数
- 当該物の通常の利用年数
- 当該物に関して規定する契約条項
- 当該物件の過去のテナントの詳細や居住年数
- 実際にオーストラリアで争われたケースで、以下のような判決が出ている。
- 10年経過のブラインドについて耐用年数を超えているので、
テナントが専門業者を使い清掃していれば、 損傷については経年劣化とする。 - 5年経過のブラインドは耐用年数には達していないので、
テナントは取り替え費用の50%を負担する。
- 10年経過のブラインドについて耐用年数を超えているので、
- カーテンやブラインドの耐用年数は10年なので毎年10%
で償却する。
この家主はかなりしたたかでした。まだエージェントが動けないフェーズ1の時に予告なしにテナントさんのオフィスを訪れ、カーテン費用($600位の様でした)他を差し引いた保証金返還の小切手を持参して、最終清算の書類にもサインさせて帰って行ったということでした。『会社の方でも金額がそれ程大きくなかったので会社負担にて収めようと決めた矢先だったので』とちょっと圧倒された感じのテナントさんの説明でした。
いずれにしても、入居時には遮光カーテンは裏側のチェックも忘れないようにしてください。
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