【不動産のエージェントの責任範囲】

シンガポールにおける不動産の責任範囲は、不動産エージェントの監督官庁であるCEA(Council for Estate Agencies:不動産仲介業者に関する評議会)の発行文書にて以下のように記載されています。

Typically, an agent’s responsibilities end after the landlord and tenant sign the tenancy agreement and the property is handed over to the tenant.

Some agents may step in to help resolve landlord-tenant issues out of goodwill, but they are actually not obliged to do so. However, you can negotiate with and formally engage your agent to manage your property if he is agreeable to do so. Remember to document the agreed terms in writing.

通常不動産エージェントの責任は、家主とテナントが賃貸契約にサインして当該物件がテナントに引き渡された時点で終了する。時としてエージェントが家主ーテナント間の問題に関して善意で手助けをすることがあるが、エージェントはそのような手伝いをする義務はない。もし(家主が)当該不動産の管理を任せたいのであれば、その条件を交渉してきちんと契約の上任命すべきである。その場合には書面にて契約条件を明記すること。

 

つまり契約がサインされて引渡しが終われば、エージェントの業務は終了するということになります。

 

【日本の宅建業者の責任】

日本でも宅建業界のウェブサイトにて以下のように説明されています。

 

賃貸借契約における仲介業務について説明しましょう。仲介業者は、借主に対して、賃貸物件の紹介、現地案内、物件や条件に関する重要事項の説明を行います。そして、貸主・借主双方の間に入って条件交渉を行い、交渉が成立すれば、賃貸借契約書を作成して契約を締結させます。その他、必要書類や諸費用の授受等の入居手続きのサポートを行い、物件の鍵を渡して物件を引き渡します。ここまでが、一般的な仲介業務の流れです。

 

一般的には、契約・物件の引き渡しまでが仲介業者の仕事、入居してから契約終了・明け渡し手続きまでが管理会社の仕事といえます。ということで、引渡し後は管理会社が行うことになると説明されています。

 

また分譲貸マンションの場合、区分所有者(貸主)からその部屋の管理を任されている[管理会社A]と、マンション全体の管理を管理組合から委託されている[管理会社B]の2つの管理会社が関わってくることとなります。[管理会社A]は主に部屋の中に関すること、いわゆる専有部分の管理を行います。一方、[管理会社B]は部屋の外側の共有部分に関する管理を行います。

 

ということで日本でも仲介業者の業務範囲は賃貸契約締結と引渡しで終了ということになるようです。ただ実情としてシンガポールでは、上述のような規定にも関わらず引渡し後も家主もしくはテナントに賃貸期間中面倒を見るエージェントが多いかと思います。

 

【シンガポールにおける管理会社とは】

シンガポールの場合コンドで分譲されたコンドの区分所有者が集まってMCST(Management Corporation Strata Titleの略で日本で言うマンションの管理組合にあたる)を組織し、そこが管理会社(不動産会社の建物管理部門)を任命して、この会社がコンドの管理を担当することになります。ただこの会社の業務はあくまでも、コンドの共用部分(つまり廊下や、エレベーター、プールや駐車場などの施設)に限定されます。皆さんにも経験のある方がおられるかもしれませんが、『家の電気が点かないとか窓が開かない』と駆け込んでも、『各ユニット内の問題はご自身でもしくは家主に依頼して業者を手配して修理してもらってください』といわれることになります。つまりシンガポールでは上述の日本の例で出てくる管会社Bしかいないことになります。もちろん日本でもいつも管理会社Aがいるわけではなく、1棟のアパートを賃貸している場合などは家主が管理している場合も多いかと思います。

 

では日本の管理会社Aの役割はシンガポールでは誰がやるのかというと、家主本人もしくは家主のエージェントが担当することになります。ただ多くの場合、家主は購入を担当したエージェントに賃貸も任せ、エージェントは将来の物件売却や複数物件の購入などの機会もあることから家主の面倒を見て専任のエージェントになろうとします。

 

【実際のテナントエージェントの役割】

テナント側の方もお客さん獲得のため、サービスで競争しお客さんを確保するようになります。もし引渡しが完了して『はい、これで私の業務は終了です。また移転ご希望の際はお声をお掛けください。』というよりも、『退去まで面倒見させていただきますので、次の移転時にもよろしくお願いします。』といった方がお客さんも『次もこの人に頼もう』ということになるからです。こういう事情から、最初に説明した公の業務責任とは裏腹にエージェントのサービス範囲は拡張してしまったという背景になります。

 

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