佐々木譲さんが書いた『総督と呼ばれた男』という小説が、シンガポールを舞台にした話だと知り、これは絶対に読まねばと読んでみたので、感想めいたことを書いてみたいと思います。
とにかくこれは本当に面白かった
面白くて読み始めてからあっという間に読んでしまいました。
どこがって、今まさに自分が住んでいる所が舞台なので、知っている地名、通り名がバンバン出てくることに加え、ストーリーがスリリングでスピード感があり読みやすく、一瞬でハマってしまいました
なんていったって、主人公の男が格好いい

豪快で大胆なことを考えるけれど、決して無鉄砲なわけではない思慮深い策略家で。
過去の恩、仇は絶対に忘れず、後にそれをきっちり返す義理堅さ、情の深さ。
これぞ男の中の男
男気の塊のような人物なのです。
本当に男として最高
女なら絶対にホレるし、一度は抱かれたいと思うはず(笑)
こんなに主人公の男にホレるなんて、韓国ドラマでは何人かいたけれど、小説では初めてでした
さて、この話は第二次大戦前の1923年から始まり、日本がシンガポールを占領し、敗戦に至るまでの話です。
なので、その時代のシンガポールの様子、特に日本人がその時代にどのようにシンガポールで生きていたのかを知ることができ、とても興味深かったです。
戦争前にもシンガポールに住んでいた日本人はたくさんいたこと、占領中、日本軍がどのようなひどいことを華人に行ったのかも改めて知ることができました。
華僑集団検証では、華僑の人や抗日分子だと決めつけられた人々が、ブラカン・マティ島などに強制連行され、拷問や虐殺に遭いました。
拷問の最も多かった方法は、逆さ吊りにされた上でホースを口に突っ込まれ、水責めにされるというものだったよう。
一方で、そのような状況下でも、主人公の辰也のように、ある所では日本人と華人との交流、信頼関係が続いていたということは嬉しく、心がホッとなる部分でした。
辰也は日本人であるが故に表面上は日本軍に協力しますが、親しい華人や恩のある華人を助けるためには正々堂々と力を尽くします。
しかし、やはり日本人が華人を中心としたシンガポール人にしたことは見過ごすことはできません。
戦後、リー・クアンユーが日本との経済関係を重視するために、公的な犠牲者の調査も真相究明も行わなかったということですが、それに対してシンガポール人がどんなに辛く、苦々しい想いを抱いていたことか。
リー・クアンユーが言ったこととはいえ、「はい、ではすべて水に流しましょう」なんて簡単に気持ちを切り替えることは到底できなかったはず。
それでも、現在こうして日本人を差別なく受け入れてくれているシンガポール人の懐の深さには改めて尊敬を感じます。
さて、まとめ。
この本は、シンガポールのことをまた一歩深く知れたことはもちろんですが、単純に物語としてもとても面白く、読み応えのある小説でした。
そして今回、自分が歴史好きなのに歴史小説ってほとんど読んだことがなかったことに気づきました。(アンナ・カレーニナは下の途中で挫折したし…
)
なので、これから佐々木さんの本はもちろん、他の歴史小説(特に東南アジアが舞台のもの)をもっと探して読んでみたいと思ったのでした。