宮古島からこんにちは!
インストラクターの西村です

 

買い物籠にお寿司やオードブル、お菓子がごっそり!
近所のスーパーは信じられないほどの大混雑でした

↑ 家族が集まれるように、お墓の前は広く設計されている

 

↑ 家族を大切にする文化が今日まで継承されている


今月 3 日はあの世の正月といわれる旧十六日祭
宮古島で見た初めてのビッグイベントは
お墓の前で繰り広げられる、まるでお正月の家庭内の風景そのものでした

 

「本州の人は、お盆になるとどうして旅行に行くの?」

 

生まれも育ちも宮古の知人から訊かれました
折角ご先祖が集まるというのに、なぜ外出するんだ、と
確かに、と思いながらすぐに答えが出ませんでした

 

そこでふと頭をよぎったのが
娘の授業参観で見たヌチヌグスージー (いのちのまつり) の話でした

沖縄には独自の信仰形式として祖先を崇拝する文化があります
私たちの生命は写真のように
数え切れないほどの先祖から継承された唯一の生命であり
彼らが一人でも欠けたら私たちはこの世に存在しなかった


肉体があっても、無くても、同じ魂の生命体として共に生きている
宮古に住んでいると、家族について考えさせられます

 

  オハナは家族、家族はいつもそばにいる、なにがあっても。

 

 

大好きなアニメ 「リロ & スティッチ」 の
この言葉にはいつも胸を打たれます
家族や仲間と共に過ごす時間こそが
くつろいだ、親密で、充実感に満ちたものだからです


デンマーク語に Hygge(ヒュッゲ) という言葉があります


  デンマーク語の「ヒュッゲ」とは (中略)
  物理的な居心地のよさを軸としながら
  そこには「精神的な幸福感」や「周りとの一体感」も含まれます
  自分自身、そして周りの人たちとの親密さ、つながり、あたたかさを
  丁寧につくっていく
。そのアプローチ全体が、
  デンマーク流の「心地いい」暮らし方なのです

北欧生まれの「世界一幸せなライフスタイル」実践法より抜粋

 

 


一息ついて緊張をゆるめ、スローダウンしながら
音楽と対等に向き合っていく
ここに歌のヒントがあります

 

早速レッスンしていきましょう

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■ 沖縄の深イイ話 !! ~ 歌唱に特化した呼吸法について学ぼう
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私たちの生活が多様化していくように
音楽もまた技術の進歩と共に変化していきます
大切なことは
どの環境下におかれても自分にとって居心地の良い場所を
積極的に作ること
ではないでしょうか


居心地の良いときは呼吸が安定しています
反対に、居心地が悪いと呼吸も乱れます
そして私たちが歌う楽曲を
最後まで安定した呼吸で歌いきるのは極めて困難と言えます


安定した呼吸は継続的なトレーニングによって解決します
呼吸法といってもヨガやマラソンなど様々で
またトレーニング方法も異なります
歌唱については歌唱に特化した呼吸法を学ぶべきでしょう


歌唱に特化した呼吸法について記述します


まず第一に
声をより上質なものにしたいなら
yawn a lot (あくびをたくさんしろ)
世界的な俳優、モーガン・フリーマンは言っています
もちろん、【息を吸う】【息を吐く】の両方においても
あくびの状態を保つことは絶対条件です



※ 0:21 ~
  あくびは喉や声帯の力を和らげ、深みのある上質な声にします

 

第二に
歌唱では 【息を吸う】【息を吐く】それぞれが
全く相反する動作となります

細かく見ていきましょう


【息を吸う】
■ 1. 音を出さない
あくびの状態で息を吸う ので、音は出ません
※ 音が立つ理由は、舌根や声帯に力が入り腔内の空気の通りが狭まるためです

 

■ 2. 一瞬で吸う
→ 楽曲の中では、すぐに歌い出ださなくては間に合わない場所がたくさんあります
※ 歌い出しに間に合わせようと焦り、その結果力ずくで解決しようとします
  力で解決しても喉が閉まるだけで、良いことは何もありません

 

■ 3. 丹田を一瞬で膨らませる
→ 丹田も呼吸と連動するので、一瞬で膨らみます
※ 力を入れすぎず、8 割程度の力に留めます


【息を吐く】
■ 1. 音を出す
→ 私たちはため息をつくとき、 「Ha (ハァ)」 と言います
  この子音の 「H」 を無声声門摩擦音といい、 「H」 の音を出します
※ 無声硬口蓋摩擦音とは区別する必要がありますが、本記事では割愛します

 

■ 2. 長く吐く
→ 例えば 5 秒間吐く場合、5 秒まで同じ息量で吐き切ります
※ 途中で無声声門摩擦音が弱まることがないようにします

 

■ 3. 丹田を徐々に凹ませる
→ 丹田も呼吸と連動するので、徐々に凹ませます
※ 力を入れすぎず、8 割程度の力に留めます

 

以下の動画では
無声声門摩擦音の 「H」 を発声してから母音に繋げています
発声時、すぐに母音を出すのではなく
無声声門摩擦音を出して (息を吐いて) から
その息の上に声を乗せます

※ 1:28 ~
  Hi (ハァ~イ) の 「H」 を発声後、母音にスムーズに繋げます
  息に声が埋もれて、かすれ声にならないようにします

 


以下の動画では、静かに息を吸う大切さを説いています
静かに息を吸うことが次の発声に直接影響するのが解ります

※ 音を出さないで吸う 2:05 ~
  音を出して吸う 2:20 ~


ボイトレは短距離走というより長距離走です
そして私たちが歌う楽曲のほとんどが 3 分以上です
従って、3 分ないしそれ以上の時間を
継続して繰り返しトレーニングすることで柔軟性を養います

混乱して 【吸う】 【吐く】 が同じ動作になってしまわないためです

 

ボイトレによって呼吸の柔軟性が身に付くと
息は効率よく循環し、歌声に味と深みを持たらします
楽曲に流される事無く "ヒュッゲ" な状態で音楽と対等に向き合い
この歌詞はこう唄ってみたい
このフレーズはこう変えてみたい、

私たちの表現欲求は際限なく刺激されます

 

自分が付加価値を感じる場所にこそ
"ヒュッゲ" は存在し、それが個性的な歌唱につながる
と考えます


ものの解釈は人によって様々です
「いいね!」の数、レビューの星の数、再生回数といった
数値化された付加価値は
初めて訪れる人には良い評価基準となるでしょう
しかし
持ちつ持たれつといった、決して数値化できない直感的な付加価値は
自分だけの "ヒュッゲ" として
音楽に新たな魅力を与えるもの
と強く信じています


他人の付加価値を
自分の付加価値に合わせようとする必要はない

旧十六日祭からまた多くを学びました
"ヒュッゲ" に満ちた歌を歌いましょう!


2018/03/12
西村