最近(2025年5月)出版された「刑事コロンボ」に関する翻訳本「刑事コロンボとピーター・フォーク(その誕生から終幕まで)」(デイヴィッド・ケーニッヒ著)を参考に、前回に続き私の好きな「刑事コロンボ」第2シーズン(第10話~第17話)を、ストーリーよりもエピソード重視で投稿します。
<ピーター・フォーク「刑事コロンボ」>
【過去の投稿】「刑事コロンボとピーター・フォーク」デイヴィッド・ケーニッヒ著
ご訪問下さい。
「刑事コロンボ」は倒叙形式(最初から犯人が分かった状態)のミステリードラマ、その面白さにテレビやDVDで何度も観ました。
それでは「刑事コロンボ」第2シーズン(第10話)からスタートです。
第2シーズン(1972年 - 1973年)
<10>黒のエチュード(Etude in Black)
初放映:1972年9月17日
監督:ニコラス・コラサント
脚本:スティーブン・ボチコ
共演:ジョン・カサヴェテス
<ピーター・フォークとジョン・カサヴェテス「黒のエチュード」より>
第2シーズンの開幕「黒のエチュード」は、ピーター・フォークの親友でインディペンデント映画の監督・俳優として有名なジョン・カサヴェテスのゲスト出演と、コロンボの愛犬が登場する大サービス、96分の長尺です。
オーケストラの指揮者アレックス(ジョン・カサヴェテス)が、自殺を装って愛人のピアニスト・ジェニファー(アンジャネット・カマー)を殺害、アリバイ作りに奔走します。
<ジョン・カサヴェテス、アンジャネット・カマー「黒のエチュード」より>
被害者の自殺を装うアレックス(ジョン・カサヴェテス)に、犯人と睨んだコロンボお馴染みのセリフ「すみません もう一つだけ・・・」。
コロンボ:「そうそう もうひとつありました」
コロンボ:「上司がこれを他殺だと信じてくれましてね 正式に担当することになりました」
コロンボ:「私 これが専門なんです 殺しがね」
ベネディクト(ジョン・カサヴェテス)の妻ジャニス(ブライス・ダナー)が印象深い。
ブライス・ダナーの長女は女優グウィネス・パルトローで「恋におちたシェイクスピア」(1998年)で第71回アカデミー賞主演女優賞を受賞しています。
<ジョン・カサヴェテス、ブライス・ダナー「黒のエチュード」より>
シーズン2でNBCが「刑事コロンボ」のプロデューサーに、年下の警官、家族など第二のレギュラー出演者を要求。
プロデューサーは渋々受け入れ、脚本のスティーブン・ボチコに「黒のエチュード」でコロンボに犬を与えるよう指示します。
コロンボの愛犬「ドッグ」の登場です。
犬好きのフォークは、歳を取った無気力なバセットハウンドに心を奪われたそうです。
<マイケル・フォックス(獣医)、ピーター・フォーク「黒のエチュード」より>
獣医:「1週間したら また(注射)打ちます」
コロンボ:「グーとも言いませんね」
獣医:「ああ 痛くないんです 何歳になります?」
コロンボ:「判らないんです 池で溺れかけていたのを助けたんですがね いい犬です」
獣医:「これが予防注射済のタッグと鑑札」
コロンボ:「えっ 鑑札がいるんですか?」
獣医:「条例でね 無鑑札だと逮捕されますよ」
コロンボは何処へ行っても、新しいペットの名前を募ったが、最終的に、犬には名前を付けないことに決まった。
コロンボは「ドッグ」と呼ぶことになる。
<コロンボの相棒「ドッグ」>
ゲストのジョン・カサヴェテスとピーター・フォークは公私にわたる仲間で、カサヴェテス監督の「こわれゆく女」(1974年)ではカサヴェテスの妻ジーナ・ローランズとピーター・フォークが主演を務めています。
精神を病んだ妻とその夫の愛と葛藤を描いて、カサヴェテス自身がアカデミー監督賞候補、妻が主演女優賞候補と夫婦揃ってノミネートされました。
ジョン・カサヴェテス監督の代表作の1つとなった傑作映画「こわれゆく女」、お薦めです。
<ピーター・フォーク、ジーナ・ローランズ「こわれゆく女」より>
<11>悪の温室(The Greenhouse Jungle)
初放映:1972年10月15日
ニールセン順位:2位
監督:ボリス・セイガル
脚本:ジョナサン・ラティマー
共演:レイ・ミランド
<ピーター・フォークとレイ・ミランド>
犯人役は「失われた週末」(1945年)、「ダイヤルMを廻せ!」(1954年)に主演の名優レイ・ミランド。
蘭を愛する犯人が仕組んだ偽装誘拐と殺人。
「指輪の爪あと」にゲスト出演したレイ・ミランドが、今回は犯人役で登場します。
脚本のジョナサン・ラティマーはミステリー作家兼脚本家で、「弁護士ペリー・メイスン」の多産な脚本家でした。
監督はチャールトン・ヘストン主演「地球最後の男オメガマン」(1971年)などのボリス・セイガル。
NBCからの長年の要望により、コロンボの相棒・ウイルソン刑事(ボブ・ディシー)が登場します。
ボブ・ディシーはフォークのニューヨークの俳優仲間で、コロンボと対照的な型通りの捜査をする刑事を演じます。
フォークは彼を一度の登場で十分だと思ったそうですが、第5シーズンの「魔術師の幻想」にもウイルソン刑事で再登場します。
<ピーター・フォークと相棒の刑事役ボブ・ディシー「悪の温室」より>
<12>アリバイのダイヤル(The Most Crucial Game)
初放映:1972年11月5日
監督:ジェレミー・ケイガン
脚本:ジョン・T・デュガン
共演:ロバート・カルプ
フリーランサー(専属でない脚本家)ジョン・T・デュガンが「ホリスター将軍のコレクション」の次に書いたオリジナル脚本「アリバイのダイヤル」は本格的なアリバイ崩しミステリー。
短気なプロフットボールチームのマネージャー(ロバート・カルプ)が巧妙なアリバイを作って、プールから上がってくるチームのオーナー(ディーン・ストックウェル)を氷の塊で撲殺する。
ロバート・カルプは「刑事コロンボ」で、コロンボと対峙する犯人役にピッタリで、シリーズで3度(「指輪の爪あと」「アリバイのダイヤル」「意識の下の映像」)犯人役を務めており名演でした。
<ロバート・カルプ「アリバイのダイヤル」より>
ロバート・カルプは日本ロケの回もあったTVシリーズ「アイ・スパイ」(1965年~1968年)が懐かしい。
CIAのエージェントであるロバート・カルプとビル・コスビーが、テニス選手とトレーナーとして世界を転戦しながら、さまざまな任務を遂行する物語。
<ビル・コスビーとロバート・カルプ「アイ・スパイ」より>
「アリバイのダイヤル」でプールを捜査中に靴を濡らして台無しにしてしまうコロンボ。
<ピーター・フォーク「アリバイのダイヤル」より>
通りがかりの被害者の弁護士(ディーン・ジャガー)に、靴の値段を尋ねます。
<ピーター・フォークとディーン・ジャガー「アリバイのダイヤル」より>
コロンボ:「恐縮ですが」
弁護士:「何です?」
コロンボ:「立ち入った質問しても よろしいでしょうか?」
弁護士:「どうぞ」
コロンボ:「その靴いくらでした?」
弁護士:「確か 60ドルかな」
コロンボ:「うっかり水に入って 靴ダメにしちゃったんですが」
コロンボ:「そんな感じのやつを20ドルで売ってるとこ知りませんかね?」
弁護士:「20ドルくらい? 心あたり ありませんな」
コロンボ:「どうも」
コロンボが見知らぬ人に、身に着けている物の値段を尋ねるコント?が受けたので それ以来ネクタイやズボンなどの値段を尋ねるシーンが登場します。
<13>ロンドンの傘(Dagger of the Mind)
初放映:1972年11月26日
監督:リチャード・クワイン
脚本:ジャクソン・ギリス
共演:リチャード・ベイスハート、オナー・ブラックマン
<リチャード・ベイスハート、オナー・ブラックマン、ピーター・フォーク>
イギリスのロンドン視察旅行中のコロンボが事件を解決する、豪華な布陣で繰り広げるシリーズ初の海外ロケ作品。
「マクベス」初演前夜、俳優の夫婦(リチャード・ベイスハート、オナー・ブラックマン)が、出演する舞台のプロデューサー(ジョン・ウィリアムズ)をはずみで殺してしまう。
<オナー・ブラックマンとリチャード・ベイスハート「ロンドンの傘」より>
二人は事件を偽装しようとするが、偶然にもロンドンを訪れていたコロンボが調査にあたる。
「ロンドンの傘」は「刑事コロンボ」NHK視聴者投票結果ベスト10の第7位。
(「刑事コロンボ」NHK視聴者投票結果ベスト10は“(第1シーズン)”をご訪問下さい。
【過去の投稿】「刑事コロンボ」シリーズを語る(第1シーズン)
共演のリチャード・ベイスハートはフェデリコ・フェリーニ監督の「道」(1954年)、ジョン・ヒューストン監督の「白鯨」(1956年)などに出演した名優で、TV・SFアドベンチャー「原子力潜水艦シービュー号」(1964年~1968年)のネルソン提督役で日本でも親しまれた。
<リチャード・ベイスハート、デヴィッド・ヘディソン「原子力潜水艦シービュー号」より>
【過去の投稿】「原子力潜水艦シービュー号」シリーズの魅力」
ご訪問下さい。
<「原子力潜水艦シービュー号」より>
オナー・ブラックマンは「007 ゴールドフィンガー」(1964年)のプッシー・ガロアー役でボンドガールを演じ注目された女優。
<オナー・ブラックマン「007 ゴールドフィンガー」より>
それに「ロンドンの傘」では、ロンドン警視庁の刑事部長役でTVドラマ「奥様は魔女」(1964年~1972年)のドクター・ボンベイ役が懐かしいイギリス出身のバーナード・フォックスが出演しています。
<ピーター・フォークとバーナード・フォックス「ロンドンの傘」より>
<バーナード・フォックス、エリザベス・モンゴメリー、アグネス・ムーアヘッド「奥様は魔女」より」>
監督のリチャード・クワインは役者から監督に転向した人で、カーク・ダグラスとキム・ノヴァク主演の「逢う時はいつも他人」( 1960年 )、オードリー・ヘプバーンとウィリアム・ホールデンが共演した「パリで一緒に」( 1963年)などを監督した名匠。
「刑事コロンボ」では 「ロンドンの傘」「偶像のレクイエム」「意識の下の映像」(第3シーズン)を監督しました。
日本語吹替えの高橋昌也(リチャード・ベイスハート)と岸田今日子(オナー・ブラックマン)がいい。
コロンボは風邪をひいている設定で、吹替の小池朝雄もハスキーな風邪声。
小池さんも偶然に風邪をひいていたとか、舞台の仕事で喉を痛めたとか、ピーター・フォークに調子を合わせた風邪声とかの諸説があります。
<小池朝雄(ピーター・フォークの日本語吹替は絶品)>
<14>偶像のレクイエム(Requiem for a Falling Star)
初放映:1973年1月21日
監督:リチャード・クワイン
脚本:ジャクソン・ギリス
共演:アン・バクスター、メル・ファーラー
<ピーター・フォークとアン・バクスター「偶像のレクイエム」より>
「偶像のレクイエム」は映画スタジオを舞台にした、いわゆるハリウッドの内幕物で、脚本のジャクソン・ギリスは、「イヴの総て」(1950年)でアン・バクスターが演じたキャラクターの20年後を想像したそうです。
歳老いてなお、過去の栄光に生きる大女優ノーラ(アン・バクスター)は、ゴシップライターのパークス(メル・ファーラー)に脅迫され、パークスのガレージにガソリンを撒いて車ごと爆発させた。その後、コロンボ警部と共に現れたのは、ノーラが殺したはずのパークスだった。
車で焼死したのは秘書のジーンだったのだ。
ジャクソン・ギリスのどんでん返しを使った脚本が、倒叙形式(最初から犯人が分かった状態)のミステリードラマながら、本当は誰を殺したかったのか、分からない展開となっている。
アン・バクスターは1950年の「イヴの総て」、セシル・B・デミル監督の超大作「十戒」(1956年)のエジプトの王女ネフレテリが懐かしい大女優で、1970年以降なTVにも進出した。
<アン・バクスターとユル・ブリンナー「十戒」より>
パークス役のメル・ファーラーは5度の結婚歴があり、4度目の妻は女優のオードリー・ヘプバーン。
ヘプバーンとの共演作に「戦争と平和」(1956年)、監督作に「緑の館」(1959年)、プロデュース作に「暗くなるまで待って」(1967年)など夫婦一緒の仕事も多かった。
<メル・ファーラーとピーター・フォーク「偶像のレクイエム」より>
コロンボがロサンゼルスに住んで14年、初めての映画スタジオ訪問。
映画撮影所正門で、コロンボの愛車を撮影で壊す車と勘違いする撮影所門番(ジャック・グリフィン)とのコント!?
<ピーター・フォークとジャック・グリフィン「偶像のレクイエム」より>
門番:「遅いじゃないか」
コロンボ:「あぁ 高速が混んじまってねえ」
門番:「スタントカーの場所はねぇ ここをまっすぐ行って・・」
コロンボ:「あたしゃねぇ スタントカーじゃなく ノーラさんに面会に来た警察のコロンボ」
門番:「このポンコツ ぶっ壊すのに使うんじゃないの?」
コロンボ:「あぁ 新車もあるんだが カミさんが使っててね」
門番:「刑事さん 車 変えた方がいいんじゃない」
コロンボ:「動きゃいいんだよ」
門番:「だいじょぶかねぇ」
コロンボの愛車「プジョー403」初登場のエピソードは”第1シーズン”「指輪の爪あと」をご訪問下さい。
ユニバーサルは、ほとんどの場面をスタジオ周辺で撮影できるので、この設定がお気に入りだったようです。
<15>溶ける糸(A Stitch in Crime)
初放映:1973年2月11日
ニールセン順位:2位
監督:ハイ・アヴァーバック
脚本:シリル・ヘンドリックス
共演:レナード・ニモイ、アン・フランシス
<ピーター・フォーク、ウィル・ギア、レナード・ニモイ「溶ける糸」より>
「刑事コロンボ」の高視聴率によって、ドラマのアイデアを売り込むフリーランサー(専属でない脚本家)が増えてきたそうです。敏腕外科医による完全犯罪、シリル・ヘンドリックスの脚本は独創的でした。
名声を独占したい野心家の外科医メイフィールド(レナード・ニモイ)が時限装置的な殺人を計画する。
それは邪魔な師であるハイデマン博士(ウィル・ギア)の心臓手術で、数日後に溶ける糸を使うこと。
脚本のヘンドリックスは実際に病院の外科責任者に、溶ける糸のアイデアがあり得ることを確認しています。
「溶ける糸」は「刑事コロンボ」NHK視聴者投票結果ベスト10の第4位。
ハイデマン博士の心臓手術で、糸が変だと疑惑を抱く看護師シャロン(アン・フランシス)。
<アン・フランシス「溶ける糸」より>
糸のすり替えがバレたと感づくメイフィールドは、看護師シャロンを撲殺してしまいます。
コロンボは、やがて溶ける糸にたどりつく。
堪忍袋の緒が切れたコロンボは、怒りをあらわにメイフィールドを追い詰める。
<レナード・ニモイとピーター・フォーク「溶ける糸」より>
コロンボ:「あたしゃねぇ あんたがシャロンを殺したと思ってる」
コロンボ:「そしてハイデマン先生をも殺そうとしている」
メイフィールド:「まさか本気で言っておられるんじゃないでしょうな(笑)?」
コロンボ:「ハイデマン先生が死ぬと アンタは終わりだ」
コロンボ:「死ぬようなことがあれば検死解剖で調べますからね」
共演のレナード・ニモイは「スタートレック」や、「スパイ大作戦」(原題: Mission: Impossible)の第4シリーズからレギュラー参加が懐かしい。
<レナード・ニモイ(左)「スパイ大作戦」(第4シーズン)より>
アン・フランシスは、SF映画の古典「禁断の惑星」(1956年)でのヒロインが懐かしい。
「死の方程式」では秘書役、「溶ける糸」では殺害される手術助手のシャロン・マーチン役を演じた。
<レスリー・ニールセン、アン・フランシス「禁断の惑星」より>
<16>断たれた音(The Most Dangerous Match)
初放映:1973年3月4日
ニールセン順位:5位
監督:エドワード・M・エイブラムス
脚本:ジャクソン・ギリス
共演:ローレンス・ハーヴェイ
<ピーター・フォークとローレンス・ハーヴェイ「断たれた音」より>
聴力に障害があるチェス世界チャンピョンのクレイトン(ローレンス・ハーヴェイ)は、元世界チャンピョンのデューディック(ジャック・クリューシュン)とのチェス対決の惨敗を恐れ、稼働中のゴミ粉砕機に突き落とす。
しかし、病院に搬送されたデューディックは一命を取り留めた・・・。
犯人役でコロンボと対決するローレンス・ハーヴェイ、セットにいる他の俳優は知らなかったが胃がんを患っており「断たれた音」放映の8カ月後45歳で逝去、この作品がハーヴェイの遺作となりました。
ローレンス・ハーヴェイが末期の胃がんと闘いながら演じた鬼気迫る名演でした。
<ピーター・フォークとローレンス・ハーヴェイ「断たれた音」より>
「断たれた音」でコロンボの愛犬が「黒のエチュード」に続き2度目の登場。
<ピーター・フォークと相棒の愛犬「断たれた音」より>
獣医のベンソン(マイケル・フォックス)も再登場です。
<ピーター・フォークとマイケル・フォックス「断たれた音」より>
<17>二つの顔(Double Shock)
初放映:1973年3月25日
ニールセン順位:2位
原案:リチャード・レヴィンソン、ウィリアム・リンク、ジャクソン・ギリス
監督:ロバート・バトラー
脚本:スティーブン・ボチコ
共演:マーティン・ランドー
「刑事コロンボ」第17作にして第2シーズン最後のエピソード「二つの顔」は、原作者のリチャード・レヴィンソンとウィリアム・リンク、「二枚のドガの絵」のジャクソン・ギリスがアイデアを出し、脚本が「構想の死角」「パイルD-3の壁」「黒のエチュード」のスティーブン・ボチコという究極の布陣で楽しめます。
「二つの顔」では「スパイ大作戦」初代変装の名人、マーティン・ランドーが、ひらめきで殺人犯の兄弟に選ばれたという。
<マーティン・ランドー(二役)「二つの顔」より>
料理研究家のデクスター(マーティン・ランドー)が、富豪の叔父クリフォード(ポール・スチュアート)を殺害したように見えるが、彼にそっくりな双子の兄ノーマン(マーティン・ランドー・二役)がいて、視聴者は兄弟のどちらが殺人者か分からない。
コロンボが、犯人の料理研究家デクスターが出演の生放送料理ショーに助手として飛び入りで出演するシーンが面白い。
脚本にはなかったフォークのアドリブで完璧なシーンとなった。
<マーティン・ランドーとピーター・フォーク「二つの顔」より>
共演のマーティン・ランドーは1966年から放送されたTVシリーズ「スパイ大作戦」(第1シリーズ~第3シリーズ)が懐かしい。
「スパイ大作戦」「スペース1999」(1975年~1977年)では彼の妻だったバーバラ・ベインと共演、映画「エド・ウッド」(1994年)でアカデミー助演男優賞を受賞した。
<マーティン・ランドー(左)、バーバラ・ベイン(中央)「スパイ大作戦」より>
監督のロバート・バトラーは「逃亡者」「鬼警部アイアンサイド」「ベンケーシー」など多くのテレビ映画を手掛け、映画ではディズニーの「テニス靴をはいたコンピューター」(1970年)、「ハダシの重役」(1971年)、「そら、見えたぞ、見えないぞ!」(1972年)などが懐かしい。あの頃はディズニーのコメディ映画をよく観ていました。
<ロバート・バトラー監督の映画「そら、見えたぞ、見えないぞ!」ポスター>
「二つの顔」監督のロバート・バトラーは「私はディズニーの仕事で、双子の扱いはわかっていた。マーティ(マーティン・ランドー)は二つの際立ったキャラクターを見事に演じた。」と回想している。
「刑事コロンボ」はシーズン開幕作の視聴率はそこそこだったが、その後は持ち直し、2位から6位のあいだをキープしており、シーズン1の視聴率を十分上回った。
「刑事コロンボ」第2シーズン投稿・おわり。
文中、敬称略としました。ご容赦ください。
「刑事コロンボ」シリーズは現在NHK・BS4Kで毎週放送中。(2025.07.09現在)。
綺麗な4K映像で「刑事コロンボ」をお楽しみいただけます。