私の好きな、DVD化された原子力潜水艦シービュー号(Voyage to the Bottom of the Sea)をご紹介します。

シニア世代には懐かしい、若い方には新鮮なTV海洋SFシリーズです。

 

20世紀フォックスのSFプロデューサーと言われたアーウィン・アレンが、「宇宙家族ロビンソン」「タイムトンネル」に先がけて1964年から1968年まで手掛けたTV海洋SFシリーズ全110話。

「ミクロの決死圏」(1966年)、「トラ・トラ・トラ!」(1970年)などを手掛けた、L・B・アボットのスケール感満点の特撮はエミー賞特撮賞を2回受賞しています。これは科学の粋をこらして作られた原子力潜水艦シービュー号の冒険物語。

日本では、モノクロの1シーズンがNET(現テレビ朝日)で、2シーズン以降のカラー版が東京12チャンネル(現テレビ東京)で「原潜シービュー号 海底科学作戦」のタイトルで放送されました。

過去にレーザーディスクで全話発売、DVDでは第2シーズン以降のカラー版がBOXで発売されており、シニア世代からのお薦めです。

本日は

第1シーズンのモノクロ版エピソードから第7話「孤島の大怪竜」を、

第2シーズン以降のカラー版エピソードから第33話「決死救助隊」第57話「機械人間危機一髪」の計3話をご紹介します。

ご一緒に如何でしょうか。

<第1シーズンのオープニング・タイトル>

リチャード・ベースハート(ネルソン提督)

リチャード・ベースハートは、映画「道」(1954年 フェデリコ・フェリーニ監督)、「白鯨」(1956年 ジョン・ヒューストン監督)などに出演した名優。原潜シービュー号では、シービュー号の設計者兼最高責任者。同時にアメリカ海軍で提督でもある。

デヴィッド・ヘディソン(クレイン艦長)

デヴィッド・ヘディソンは、映画「蝿男の恐怖」(1958年)、「失われた世界」(1960年 アーウィン・アレン監督)、「007/死ぬのは奴らだ」(1973年)などに出演しており、ボンド役のロジャー・ムーアとは親交があったそうです。原潜シービュー号では、艦長として指導力を発揮して数々の危機を乗り越える。

アーウィン・アレン(プロデューサー・監督)

20世紀フォックスのSFプロデューサーと言われたアーウィン・アレン。TVシリーズ「宇宙家族ロビンソン」(1965年~1968年)、「原子力潜水艦シービュー号」(1964年~1968年)、「タイムトンネル」(1966年~1967年)、「巨人の惑星」(1968年~ 1970年)を製作しています。映画監督作品の「失われた世界」(1960年)、「地球の危機」 (1961年)、「気球船探険」 (1962年)は、何れもDVD化されています。代表的なプロデュース作品「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年)、「タワーリング・インフェルノ」(1974年)は大ヒットとなり、パニック映画ブームのきっかけとなりました。

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第7話「孤島の大怪竜」“Turn Back the Clock”

南極の地底に、恐竜の住む古代世界があったというSFアドベンチャー・ストーリー。

<ストーリー>

南極で調査のため、潜水鐘で潜ってから9ヶ月も行方不明になっていた研究団の一人、ジェイソン(ニック・アダムス)が生還した。

ジェイソン:「何も覚えていないんだ」

彼は、ジュラ紀の恐竜の内臓のようなものを持っていたが、潜ってからの記憶が全くない。

ニック・アダムス(ジェイソン)>

ジェイソン:「驚いたかい? キャロル 南極の地底に 熱帯の海があるなんて」

 

東宝「フランケンシュタイン対地底怪獣」「怪獣大戦争」などのニック・アダムスがゲスト出演しています。

<リチャード・ベースハート、イヴォンヌ・クレイグ

ネルソン提督:「小さな事でも 思い出してくれると助かる」

 

ネルソン提督(リチャード・ベースハート)、クレイン艦長(デヴィッド・ヘディソン)は原因調査のため、原子力潜水艦シービュー号で、生還したジェイソン、研究団のデニング博士(レ・トレメイン)と娘のキャロル(イヴォンヌ・クレイグ)も同行し、南極に出発します。

南極で行方を絶った場所に到着したネルソン提督一行は、潜水鐘に乗り、潜り始めます。

クレイン艦長:「潜水鐘の準備だ」

 

潜水鐘が深度1200mに達すると、高潮に襲われ、たどり着いた場所は、巨大な恐竜や、中世代の植物が生い茂る熱帯気候、まるで別世界だった。

南極の地底に棲息する恐竜と古代世界に驚愕する。

クレイン:「わが目を疑う ここは まるで別世界だ」

 

ネルソン提督一行は原住民に襲われ、南極の地底は爆発寸前。

脱出を試みるネルソン提督一行の前に、古代の恐竜が現れ、絶体絶命。

湖底から巨大な恐竜出現。

デヴィッド・ヘディソン(クレイン艦長)

 

南極の地底が大爆発する寸前、ネルソン提督一行は、辛くもシービュー号に帰還できた。

第7話「孤島の大怪竜」 おわり

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「原子力潜水艦シービュー号」第1シーズン・モノクロ版(第1話~第32話)は、レーザーディスクで発売されました。DVDは未発売。

「原子力潜水艦シービュー号」第7話“孤島の大怪竜”が収録されたレーザーディスクのジャケットです。

レーザーディスクはメルカリに出品しました。(2022年4月現在)

 

原子力潜水艦シービュー号」第1シーズンの高視聴率により、第2シーズン第33話からカラーで製作されています。第2シーズン以降のカラー版は懐かしい日本語吹替版でDVD化されています。

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<第2シーズンのオープニング・タイトル>

ナレーション(浦野光):「原潜シービュー号 海底科学作戦 これは 科学の粋を凝らして創られた 原子力潜水艦シービュー号の21世紀の世界を探る 海底科学作戦である」

第33話「決死救助隊」“Jonah and the Whale”

名作SF「ミクロの決死圏」を想わせる、巨鯨の体内に潜入する救出スペクタクル。

<ストーリー>

米ソ共同開発中の海底農場が、クジラの大群で大きな被害を受けた。シービュー号は調査のため、ネルソン提督リチャード・ベースハート 黒沢良)とソ連の女性科学者リスカ博士(ギア・スカラ 来宮良子)が調査に向かう。

ギア・スカラ、デヴィッド・ヘディソン、リチャード・ベースハート>

ネルソン提督:「どうかしたか?」

クレイン艦長:「ソーナーが反応をキャッチしました」

ネルソン:「何だ」

クレイン:「クジラの大群です こっちへ向かってます」

ネルソン:「海底研究所を破壊したのは それだな」

 

リスカ博士:「提督 なぜ早くテストしないんですか」

ネルソン提督:「クジラが この海域を去るのを 待ってるんです」

リスカ:「どれくらい?」

ネルソン:「早くて 今週いっぱい」

リスカ:「そんなに待てません」

ネルソン:「我々は科学者ですから 危険は冒せません」

 

ネルソン提督とリスカ博士が潜水球で海底に降り、調査開始。

ネルソン提督と潜水球に乗ったからリスカ博士は、破壊された海底研究所の写真を撮る。そこにシービュー号のモートン副長から無線が入る。

<ロバート・ドーデル(モートン副長 二瓶秀雄)>

モートン副長:「こちらシービュー 緊急連絡です」

ネルソン:「どうした モートン」

モートン:「ソーナーに巨大なクジラらしい反応が現れています」

ネルソン:「距離は」

モートン:「2キロ以内です 物凄いスピードで接近しているんです」

ネルソン:「わかった 引き上げてくれ」

リスカ博士:「待って もう1分だけ 詳しく記録しなければ」

ネルソン:「調査は この次に」

リスカ:「この次では ダメなんです」

 

そこに、巨大なクジラが出現。二人が乗った潜水球を飲み込んでしまいました。

ネルソン:「つかまって!」

リスカ:「わーっ!!!」

 

シービュー号と潜水球を繋ぐワイヤーも切れた。巨鯨を見失っては潜水球の酸素も切れて、二人の命が危ない。追跡するシービュー号。

クレイン:「あのクジラのあとを 追いかけるんだ」

モートン:「アイアイサー 至近距離まで接近します」

クレイン:「見失うな!」 

 

クレイン艦長(デヴィッド・ヘディソン 納谷悟朗)は、部下のコワルスキー(デル・マンロー 羽佐間道夫)とシャーキー(テリー・ベッカー 椎原邦彦)に命令を出す。巨鯨に鎮静剤を打ち込んで眠らせる作戦だ。

クレイン:「弾頭に鎮静剤をいれろ 巨鯨に打ち込むんだ」

コワルスキー:「艦長 どうやって二人を助けるんですか」

クレイン:「クジラの 腹の中に入るんだ」

シャーキー:「飲まれるんですか?」

クレイン:「ミサイルルーム 艦長だ 4番発射管を準備しろ」

クレイン:「今だ 発射!」

 

鎮静剤の効果か、海棚でおとなしくなった巨鯨。

クレイン艦長は救助隊を組んで、巨鯨の体内に潜入して潜水球救出を試みる。

眠っている巨鯨の口から体内に潜入。

救助隊は巨鯨の体内に潜入し、二人が乗った潜水球を捜索。

巨鯨の体内を進む救助隊は、ついに潜水球を発見!

ネルソン提督:「ありがとう クレイン」

無事、救出成功です。

 

シービュー号第33話「決死救助隊」は、米国のカラー版第1話で「聖書」のエピソードから作られた。20世紀フォックスのステージ一杯に巨鯨の体内セットが作られ、クレイン艦長たちがネルソン提督らの潜水球を救出する。巨鯨の体内に乗り込んでいくスペクタクルは特撮美術の見せ場で、アメリカの「TVガイド」が、この話を激賞したとのこと(レーザーディスク解説書より)

第33話「決死救助隊」おわり

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第57話「機械人間危機一髪」“The Mechanical Man”

不気味なアンドロイド(機械人間)が、地球を危機に陥れる。

<ストーリー>

原潜シービュー号は、海底研究所のポール・ワード博士(アーサー・オコンネル 勝田久)に協力するため、海中に停泊していた。

ワード博士が助手として自ら作ったアンドロイド(機械人間)オマイヤージェームス・ダーレン 愛川欽也)が、海底を採掘しているうちに、革命的な元素、サブテラニウムを発見する。

<ジェームス・ダーレン(オマイヤー)、アーサー・オコンネル(ポール・ワード博士)>

オマイヤー:「僕が創り出したエネルギーを吸収すれば、太陽にも劣らぬ力を持てる」

ワード博士:「悪魔の力だ わしは恐ろしい怪物を作ってしまった」

オマイヤー:「想像を絶する 偉大な力を 自由にできるぞ」

ワード博士:「誰がだね 悪魔のようなお前がか」

オマイヤー:「天才として創られた 一人の機械人間が支配する時代へ」

 

この元素を体内に取り入れたオマイヤーは、ワード博士を無視して、やがて宇宙を支配しようと採掘を続ける。

ゲストは、後にアーウィン・アレンのTVシリーズ「タイムトンネル」のトニー・ニューマン博士役に抜擢されるジェームス・ダーレンと、「ミクロの決死圏」などの名優アーサー・オコンネルを迎えた異色作。

 

海底での元素の採掘に危険を察知したクレイン艦長だが、オマイヤーがシービュー号に現れて採掘を続行させる。この機械人間を止めないと人類の未来が危ない。

クレイン:「採掘を中止する すぐシャフトを閉鎖しろ」

オマイヤー:「そうはいかんぞ シャフトを閉鎖すると 元素が手に入らない」

クレイン:「原子炉ルーム 作業を中止して ケーブルを外せ」

オマイヤー:「自分のを使う いま威力を見せてやる」

 

オマイヤーはクレイン艦長を倒して、自分と同じ機械人間にしようと企てる。

 

ラスト、ワード博士が、元素を持って現れ、オマイヤーと対峙する。

オマイヤー:「サブテラニウム(元素)を持ってこい 実験を始めよう」

ワード博士:「この辺で 終わりにしよう 今度は わしが命令を出す」

ワード博士:「両方の元素を近づけて エネルギーを出すぞ」

オマイヤー:「出してどうなる よし 話し合おうじゃないか 興奮するな」

ワード博士:「製錬措置を破壊する 本気だぞ わしは」

 

シービュー号の魅力は、巨大モンスターやメカ特撮ばかりでなく、スーパー人間も何度か登場する。第57話「機械人間危機一髪」は脚本の工夫、監督の奮戦で最も成功したエピソードである。(レーザーディスク解説書より)

第57話「機械人間危機一髪」おわり

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記述した3話のストーリーは概要で、本編はもっと面白く、何度観ても楽しめる、シニア世代からのお薦めです。

「原子力潜水艦シービュー号」実際の撮影用ラジコン模型。ライトやコクピットも点灯し、実際に潜って進みます。凄い!!

 

<参考>

カラー化された「原子力潜水艦シービュー号」第2シーズン(第33話~第58話)のエピソード・タイトルです。アドベンチャー、アクション、スパイ、ホラー、巨大海洋生物、宇宙人との戦いまで、あらゆるジャンルのストーリーが展開します。

33 決死救助隊(今回記述 DVD-BOX1に収録)

34 スパイ対スパイ

35 28年目の浮上

36 サイボーグ

37 死を招くメロディ

38 左ききの悪魔

39 危険な怪電波

40 海底の巨人

41 恐怖のプロトン爆弾

42 破壊された宇宙船

43 秘密スパイ団X

44 無人サブの逆襲

45 宇宙怪獣SOS

46 生きていた大怪竜

47 ミサイル海戦

48 脱獄囚潜入

49 Uボート444号の亡霊(前編)

50 燃える南半球

51 200歳の令嬢

52 泳ぐ核爆弾/

53 海賊の呪い

54 艦内連続殺人事件

55 潜水艦を包む巨大なクモの巣

56 海底の人体実験

57 機械人間危機一髪(今回記述 DVD-BOX2に収録))

58 Uボート444号の亡霊(後編)

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「原子力潜水艦シービュー号」の原点は、1961年製作のシービュー号が活躍するSF映画「地球の危機」 Voyage to The Bottom of The Sea(アーウィン・アレン監督)です。

キャストは「禁断の惑星」のウオルター・ビジョンがネルソン提督を演じているほか、ジョン・フォンテン、ピーター・ローレなどの名優で、横長のシネマスコープを生かしたフレーミングや、L・B・アボットの特撮が楽しい。

映画「地球の危機」は、シービュー号内部のセットに40万ドルをかけて製作しており、TVシリーズは、この映画のセットを流用しているので豪華です。

 

TVシリーズ「原子力潜水艦シービュー号」のDVD(新品)は、アマゾンで一部品切れのようです。

レーザーディスクはメルカリに出品しました。(2022年4月現在)