前回は長調のダイアトニックコードのお話をしました。
で。
今回は予告の通り、短調のダイアトニックコードのお話をしたいと思います・・・が・・・
実はダイアトニックコードと言うのは、本来は長調に出来る7つのコードの事なんですよ。
なので、短調でダイアトニックコードを作ると、長調とは若干、雰囲気が変わった表記になってしまいます。
前回のハ長調の平行調、イ短調のダイアトニックコードです。
上のコードは、イ短調の自然短音階に準じたダイアトニックコードです。
以前のお話で、短調には3つあるとお話したのを覚えていらっしゃいますか?
自然短音階、和声短音階、旋律短音階の3つです。
それぞれに準じたダイアトニックコードが短調には存在するので、長調よりも少し面倒に思われるかも知れませんが、コードの構造は調が何であれ、同じなので、混乱しないようにして下さいね。
ちなみに、上の例で最後に()されているのは、和声短音階になった場合の第七音のダイアトニックコードを参考にいれてあります。
さて。
長調と同じく、短調のダイアトニックコードにも7つそれぞれに役割や性格があります。
それをこれからお話して行きましょう。
Ⅰ)トニック
短調の場合でも、ダイアトニックコードの主役はやはりトニックのⅠ。ただし、短調なのでコードの形としてはマイナーコードのⅠmになりますね。明るい響きが特徴だった長調のトニックに比べると、やや落ち着いた感じの明るさ・・・とでも言いましょうか?そんな中にもちゃんと存在感があるような響きですね。とりあえずどのコードへ進行しても問題ありませんが、定番ならトニック⇒Ⅳmってパターンがあります。基本、Ⅰmの3和音で事足りますが、進行の流れでⅠm7の形になる事も。
イ短調ならAmがこれにあたります。
Ⅱ)
短調におけるⅡは、いわゆるマイナーセブンス・フラットファイブになります。なので、単体での響きは非常に不安定、かつ収まりの悪いものなので、早く落ち着く先に進行したくなるのですが、面白い事にその進行先はほぼ間違いなくⅤへ進みます。理論書によってはこれを「2-5モーション(ツー・ファイブ・モーション)」なんて呼ぶ事もありますが、まぁ、これは知識で覚えておいて下さい。長調ではまず出てこないコードですが、短調の楽曲ではまま見掛ける事があるので、短調での作曲、アレンジの際は思い出してやって下さい。
イ短調ならBm7(-5)がこれにあたります。
♭Ⅲ)
Ⅰm7の根音を抜いた形の♭Ⅲはメジャーコードになります。存在感、響きも含めてトニックに非常によく似ていますが、相性はあまりよくありません。しかし、使いどころをしっかり見極めると暗くなりがちな短調の楽曲に、少しばかりの明るさとアクセントをつける事が出来ます。長調と違って、♭Ⅲmaj7の形で使われる事も多いこのコードですが、他のコードへはあまり進行したがりません。それどころか、平行調のトニックである事をいい事に、ひとまずこのコードで終わっておいて、そのまま平行調へ転調しちゃったりもします。
イ短調ならCがこれにあたります。
Ⅳ)サブドミナント
短調でもⅣのコードはサブドミナントの役割を持ちます。マイナーコードになる短調のⅣは、長調のサブドミナントに比べて、響きがやや暗く寂しい所を除けば、役割は長調のⅣとあまり変わらなかったりします。Ⅳm、Ⅳm7、Ⅳm6など、長調同様にいろんな形で登場し、他のほとんどのコードへ進行する事が出来ます。特にⅤのコードへは進みやすく、Ⅳm6⇒Ⅴなんてパターンはよく見掛ける組み合わせですね。
イ短調ならDmがこれにあたります。
Ⅴ)ドミナント
長調では、とかくトニックへの回帰コードみたいな性格だったドミナントですが、短調ではちょっとした2面性を見せてくれます。まずⅤm、又はⅤm7の形で、他のコードへ進行するよりは、響きの切なさで曲を彩る面と、Ⅴ7の形で現われ、トニックへの強烈なまでの進行を促す面の2つです。短調の楽曲ではこのどちらの面も多用される為、使い分けを覚えておくと便利なコードですよ。
イ短調ではEm、E7がこれにあたります。
♭Ⅵ)
短調のダイアトニックコードの中では、ひときわ明るさを際立たせる♭Ⅵはメジャーコードになります。実はサブドミナントのⅣ以上に、他のコードとの相性がよく、♭Ⅵ、♭Ⅵmaj7、♭Ⅵ6等の多彩な響きで進行をリードする万能選手みたいな存在です、が・・・実はトニックとはあまり相性が良くない為、トニックから♭Ⅵへのコード進行はありますが、♭Ⅵからトニックへの進行はほとんど見掛けません。また、やたらとテンションノートが付く事も特徴のひとつとして覚えておいて下さい。
イ短調ならFがこれにあたります。
♭Ⅶ)
短調の♭Ⅶは、長調におけるドミナントコードに相当し、響きの力強さも手伝って強力にトニックへの進行を促すドミナントコードの役割を代行します。ただ、♭Ⅶからは♭Ⅲへ進む方が全体の調和として安定するので、むしろトニックへ進むよりは♭Ⅲへ進む方が多く見られますね。ほとんどの場合3和音の形で現われるコードですが、♭Ⅶ7の形を取ると、Ⅱm7(-5)と構成音が似るため、サブドミナント代理の機能まで持ってしまうんですねぇ。(代理コードの話は、もう少し後でw)
イ短調ならGがこれにあたります。
と・・・
以上が自然短音階に基いたダイアトニックコードになります。
小難しい解説を読むよりは、実際に自分でコードを弾いてみて、耳で聞きながらコードを進ませてみるとわかりやすいと思います。
ギター、鍵盤をお持ちの方は、ぜひやってみて下さいね。
さて。
次回は「基本3和音のお話」をします。
トニック、サブドミナント、ドミナントの3つについて、もう少し掘り下げてお話しますね。