クリスマスが近付いてきた。

街もイルミネーションでキラキラしてて。

写真を撮ったりお出かけしたりしたくなる。



…なのに、そんな時期に限ってなんと私は体調を崩してしまった...。

ミーグリもお休み。

きっとクリスマス前だから色々準備してくれてたファンのことを考えると申し訳なくなる。

でも、休ませてもらったおかげで、だいぶ復活。

ただし、年末に向けてもありがたいことに忙しくさせてもらってるから、まだしばらく自宅待機を命じられた。




夏「はぁ...リハ行きたいなぁ...」




そんな気持ちを汲み取ってか、色んなメンバーが連絡を来れ、リハ動画や今日のポイント等を教えてくれる。

有難いが、余計みんなに会いたくなる。

体調が悪い時、人肌恋しくなるって本当なんだな...



少しずつ戻ってきた食欲。

初めの方は、みんなからの連絡の全てが「ご飯食べた!?」だった。笑

たしかに、おーぞのちゃんとかほのとかに「食べるタイミング下手」とは言われるけど、食べる時は食べるんだぞ!

と思いつつ、たしかに連絡を貰った時は何も食べる気がなく、図星を突かれた状況だった。




元気になってきたからこそ、気になることがもう1つ。

前々からクリスマスには約束をしていた。

そう。愛しの彼女と。

そんな彼女はやっぱり人一倍心配してくれて。

「夏鈴!何か持っていくよ!」
「夏鈴!私が看病してあげる!」

とすぐさま連絡をくれた。

でも、うつしたくないから何度も断った。

...そして昨日、念の為、ということで約束していたクリスマスデートも延期しようと伝えたのだ。



「わかった!また行こうね!」



と、いつものように明るく返事をくれた。

でも去年、ほのとひかるがイルミネーションを見に行ったと聞いた時から、「来年は一緒に行きたい!!!」って言ってたから、絶対に落ち込んだはずだ。

それを見せない彼女は、本当に歳下なのだろうかと不思議に思う。




ピロン

彼女のことを考えていると、それを知ってか知らずか、その彼女から連絡が来た。



「見て!!きれい!!」
(写真)



夏「...は?」




なんと彼女からはイルミネーションの写真が送られてきたのだ。

...そうか。夏鈴と行けないことがわかったから、誰か別の人と行ったんだな。

夏鈴じゃなくてもよかったんだ。

そう思うと思わず涙が溢れてきた。

また頭が痛くなってきた気がする。

もういいや。寝よう。












ピンポ-ン

チャイムの音で意識が浮上してくる。

あのままふて寝をしてしまったようだ。

誰だろう。こんな日に。


そう思いながらインターホンを見ると

そこには愛しの彼女


天の姿があった。





夏「...はい。」

天「やっほー!夏鈴!元気になった?」

夏「何しに来たん?」

天「え、何その言い方。いいから開けてー!」

夏「嫌。うつしたくない。帰り。」

天「いーやーだー!!!開けて!開けてくれるまで帰らないっ!」

夏「そんなこと言ったって...」

天「かりんちゃーん!てんちゃん、凍えちゃう!風邪ひいちゃう!体調崩しちゃう!!」

夏「あーもうっ!分かったから!静かにして!」



彼女の声量には負ける。

近所迷惑になってもいけないと思い、ドアを開けた。



ドアが開くと共に飛びついてくる、大型犬のような天。

天「かりーん!会いたかったよ〜!」

夏「...ん。夏鈴も。

天「...ねぇ、やっぱりご飯ちゃんと食べてないでしょ。痩せたよ?」

夏「んー。そうかな。」

天「そうだと思ったからいろいろ買ってきた!!天ちゃんがご飯を作ってあげよう!!」


そう言うやいなや、私をソファに座らせて、キッチンでテキパキと料理をし始めた。

夏「...」ギュッ

天「うぉ!?どした??」

鼻歌を歌いながら、時々ダンスしながら料理をする天の後ろ姿を見ると、いてもたってもいられなくなり、後ろから抱きついてしまった。

天「もうすぐできるよ〜夏鈴ちゃ〜ん」



天が作ってくれた料理は消化に良さそうで、あまり大したご飯を食べていなかった私の胃にはちょうど良かった。

今日のみんなの様子やリハの話を箸が止まるくらい話してくれる天の姿を見ていると、元気が出てきて、思っていたよりもちゃんと食べることができた。




ご飯を終えてひと息ついていたら、ふとあのことを思い出してしまった。

天「よし!片付けもおしまい!」

夏「...」

天「夏鈴?どした?何ふてくされてんの?」

夏「...あれ、誰といったん。」

天「あれ?」

夏「イルミネーション...。夏鈴と行く約束してた。夏鈴が体調崩して一緒に行けんなったから別の人と行ったん?夏鈴やなくてもよかったん??」




突然、堰を切ったように思いが溢れてしまった。


沈黙が続く。

やっぱりまだ体調が戻ってないんだ。

いつもみたいに感情を上手くコントロールすることができない。

このままだと天を傷つけちゃう。




夏「...突然ごめん。お風呂入ってくるね。今日はありがとう。」

天「...待って。」



お風呂に入ろうと立ち上がった私の手を天の手がグッと掴む。




天「誰とも行ってないよ。私は夏鈴と行くのを楽しみにしてたから。」

夏「じゃあ、あの写真は...」

天「さっき言ったじゃん。いろいろ買ってきたよって。スーパーの近くにたまたまキレイなところがあって、夏鈴にお裾分けしよって思って撮っただけだよ(笑)」

夏「あ...。そうだったんだ...ごめん、そうかもしれないとか、そこまで頭が回ってなくて...」

天「いいよ。大丈夫。それより、それって嫉妬??」

夏「...しっと...?」

天「夏鈴、嫉妬してくれたんでしょ?!嬉しい〜!

夏「な...!」


確かにそうかもしれない。私は見えない誰かに嫉妬したのだ。面と向かって言われると恥ずかしい...。

天「夏鈴ちゃん、可愛いねぇ〜」

夏「馬鹿にしないで!あ、そうだ。」


恥ずかしくなったのもあるが、せっかく来てくれた彼女に、渡したい物があった。


夏「はい。天。メリークリスマス。本当はお出かけした時に渡したかったんだけど...」

天「え!クリスマスプレゼント!?やったぁ!開けていい?」



彼女が開けた箱の中にはネックレスが入っていた。

天「かわいい〜!つけてつけて!!」

夏「ん。」


後ろを向いた彼女につけてあげる。
つけるとすぐに鏡の前に行き、よりテンションが上がったようだった。

天「かわいい!!ありがと!!」

夏「うん。よく似合っててかわいいよ。」


赤くなった彼女はもっと可愛かった。



天「あ、夏鈴。私からもクリスマスプレゼントある...んだけど、ちょっと準備したいから目つぶってて?」

夏「ん?分かった。」











天「もういいよ。目開けて?」

夏「...なっ!!!」


目を開けて驚いた。

なんと目の前にはサンタコスチュームを着た天がいたのだ。




...しかもミニスカの。




天「...かりん?」

夏「ど、うしたの?」

天「夏鈴、メリークリスマス!クリスマスプレゼントは、私...だよ?」







...ずるいって。










その後は体調を崩していたことも忘れて、天からの、いや、天というクリスマスプレゼントを存分に楽しんだ。









天「...激しすぎやろ。ほんまに病人やったん?」

夏「誰のせいやおもてんねん。てか、こんなこと、天は思いつかんやろ。誰の入れ知恵や?」

天「えっとー。(棒)」

夏「まあええわ。今度楽屋行ったら目線やらなんやらで分かる気がするから。」

天「ハハハ...」

夏「でも、今日天に会えて嬉しかった。来てくれてありがとうな。天、改めてメリークリスマス。」

天「メリークリスマス!夏鈴!早く治してデート行こうね!」







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Merry Christmas🎁

今年も一応登場!SiNサンタです。

去年の方が自分的には好きだなぁ...笑

でも、てんかりん書きたかったんです。

よかったら去年のお話も読んでくださいm(_ _)m

よいXmasをお過ごしください🎄



夏鈴ちゃん、元気になってますように。



SiNサンタ🌱🎅