ピーンポーン
夏『…はい』
保「よっ。生きてるか?笑」
夏『…何の用?』
保「用がないと来たらあかんのかー!暑い!溶ける!開けて!」
夏『…』ガチャッ
夏「で、何?」
保「やーっぱり。夏鈴、外出てへんな?真っ白やん!」
夏「暑いし、外に出る理由もない。補講は終わったんやから、あとをどう過ごそうが俺の勝手。」
保「…とか何とか言いながら、落ち込んでるんやろ。」
夏「はっ?なにに…」
保「ひかるちゃん。」
夏「…っ」
保「夏祭りの最後の日に、連絡先を渡しました。数日間、スマホと睨めっこしました。連絡が来ませんでした。落ち込みました。食欲も出ません。外に出る意欲もでません。そんなところ?」
夏「…」
保「図星か。笑」
夏「…そ。まあ、そういう事だから。」
保「おーい、閉めようとするな笑。おばちゃんから聞いてん。夏鈴の様子が変だって笑。今の推理もほぼおばちゃんから教えてもらったこと。笑」
夏「なんだよ。」
保「ま、このあと天くんも来るから。3人で遊ぼうぜ!もちろん室内でいいから!笑」
夏「…もう決定事項やん。」
保「…でさ、このキャラクターは…」
天「やばいやばい!!」ドタドタ
夏「なんで天は入ってこれてんねん。」
天「そこで、夏鈴のおばちゃんと会った!買い忘れ思い出したからって鍵預かった!」
夏「なんでやねん。笑」
天「そんなことより!大変やねん!」
保「どしたん?」
夏「どーせ、大したことやないやろ。」
天「夏鈴が失恋して落ち込んでるから、夏祭りの写真でも見て元気づけようと思って見返してたんだよ!」
夏「なんで失恋したことになってんだよ。てかなんで天も知ってんねん。」
保「まあ、それはおいといて。で、天くんどしたん?」
天「これ!見て!」
そう言って天が見せてきた屋台前で射的をしている写真。
そしてかき氷を食べてる写真。
お面を選んでる写真…
夏「ああ、やったな、こんなことも。」
保「よー撮れてる!流石天くん!写真撮るのうまいなぁ!」
天「ありがとう。って、そうじゃなくて!撮った写真に1枚も写ってないんよ。」
保「写ってないって誰が?」
天「ひかるちゃん!!!」
夏「…え?」
保「嘘だぁ。画角的に入ってへんかっただけとちがうん?ほら、他の写真もよく見てみよ。」
そう言って、天が撮ってくれてた写真を1枚1枚見返した。
3人で。
6つの目で。
でも確かに、紫陽花の浴衣姿のひかるは1枚も写っていなかった。
保「これって…どういう…」
天「分からへん。俺もさっきこのカメラの写真を見返し出て気づいたから。でも俺は確実に夏鈴と保乃とひかるちゃんが写るように写真を撮った。ほら、この階段で焼きそば食ってる写真とか、明らか画角変やろ?」
保「え、ってことは、ひかるちゃんって…」
夏「…紫陽花…夏祭り…」
保「夏鈴?大丈夫か?なんか顔色悪ない?」
夏「…っ、ちょっとな、頭痛いわ。」
天「ちょ、おい、大丈夫か?俺、なんか飲み物取ってくる!」
夏「…んんっ」
保「夏鈴?大丈夫か?」
夏「あれ?俺…」
天「飲みもん飲んだ瞬間、力抜けて、気失ってたで。ちゃんと飯食ったんか?」
夏「食べ…た?」
保「なんで疑問形やねん笑」
夏「…」
天「ん?どした?まだ体調悪いか?」
夏「…なんか、んー、でもなぁ、」
天「なんやその歯切れの悪い感じ!はっきりせい!」
夏「…俺、ひかるのこと知ってる気がする。今回で、じゃなくて。前から。」
保「え?どゆこと?」
夏「…別れ際、ひかるが“また”会えてよかった、って言ってた。それが引っかかってて。…でも、なんも思い出せん。」
天「んー。写真にわざと写らんかったのか、ひかるちゃんが“写らない存在”なのか…。とりあえずここで悩んでても分からん!行こう!」
保「行くって?!どこへ?」
天「そら決まってるやろ!あの夏祭りがあった地域に!さ!行くで!」
夏「ちょ、待って、今から?」
天「当たり前やん!思い立ったが何とやらと言うやろ!まだ昼やし、行こうぜ!」
保「まあ、天くんは言い出したら聞かんからな。笑」
天「あちー。」
保「そらそうやろ。真昼間。夏鈴、大丈夫か?」
夏「…なんとか。」
保「さっき倒れたばっかやねんから、無理はするなよ。」
夏「おう、さんきゅ。」
3人で電車に乗って夏祭りをしていた場所までやってきた。
あの時は賑わっていたものの、やっぱり田舎。
セミの大合唱以外何も聞こえないし、車も滅多に通らない。
と、いうことはもちろん人も居ない。
保「まあ、これだけ暑かったら地元の人らも家におるよな。」
天「んー。どうすれば…。あ!なんか今学生通った!」
そこから出会う人出会う人に「ひかる」について尋ねた。
しかし誰からもはっきりとした返事は聞けない。
「聞いたことない」
「同級生にはいない」
「だれ?」
そんな返事が返ってくる。
その度に3人で落ち込み、3人揃って幻覚を見ていたのか、と自分たちを疑い始めた。
保「…でも、3人揃って幻見て、幻と喋って、幻との思い出があるってありえへんやろ。」
天「それに、夏鈴が会ったことあるかもって記憶あるんやろ?」
夏「ん…。でも、気の所為かもしらん。」
天「ちょい!もう夏鈴の記憶だけが頼りやねん!頑張って思い出してくれ!」
夏「…っ、」
保「ちょい、夏鈴大丈夫か?また顔色悪いわ。天、ちょい休も。」
天「…はぁ、せやな。」
天「ほい。茶。」
夏「さんきゅ…」
天「部屋に引きこもってるからや。てか、このお茶買いに行くだけで小さい商店まで走ったんやからな!ほい、保乃も。」
保「ありがとうなぁ〜」
軽い熱中症になったのか、なにかを思い出そうとしているからなのか、頭が痛く、気分も悪くなった俺をふたりは例の神社まで連れてきてくれた。
境内の周りには木々が生茂り、丁度良い影を作ってくれていた。
登ってきた石段を見ると、ひかると出会ったあの夏祭りの日を思い出す。
夏「ひかる…」
?「あれ?君たちどうしたんだい?見慣れない顔だねぇ。体調でも悪いのかい?」
後ろから声がして振り返ると、そこには神主さんがいた。
保「あ、すみません勝手に。ちょっとこの子が体調が悪くなってしまい、休ませてもらってます。」
神「そうかいそうかい。それはいくらでものんびりしていいからの。…ん?あれ、君、夏鈴君じゃないのかい?藤吉さんとこの。」
夏「え?」
天「じいさん、こいつのこと知ってんの!?」
保「こら!天くん!神主さんのこと、そんな呼び方せんの!」
神「はっはっはっ。元気な子やなぁ笑。知ってるも何も、小さい頃よくこの神社で遊んでたではないか。」
天保「ええっ!?」
夏「…っ」ズキッ
神「それで小学生が終わる頃、引っ越していったろ。まあ、あんなことがあったからなぁ。」
夏「…っ!はぁっ、はっ…」ズキッ
天「おいっ!夏鈴!」
神主さんと話していると激しい頭痛に襲われた。
天や保乃の焦る声と表情を最後に、俺の意識は暗闇へと沈んでいった。
「かりんっ!あーそーぼっ!!」